選挙とは明るいものか、それとも暗いものかと考えると、いつの時代のどんな選挙でも、清々しい明日を目指す割には、決して清いものとは限らない。種々の利権を得る産業団体の長を決める選挙ともなれば、それは尚更、そうした実態を見せる。
2014年7月1日のJA熊本県中央会での会長選挙もそうで、100万円程度の札束が動いた。
後日、それを証言したのは、専門農業団体の会長。
「持って来たが、返すつもりだ」
これは同選挙前での話ではなく、その金は選挙後も手元にあった。
さて、選挙は帰熊して2人の関係者から聞いたが、内容はこうだ…。
「2名の欠席者があり、単農協と専門農業団体の代表からなる選挙人、被選挙人は19名。ところが結果は同数票となった」
「1名が余るが…」
「それは白票で、無効票となったんだ。そこで同数票の2人が抽選となり、会長(前)が負けた」
大成建設を推していた会長が、その発注を前に敗れた。
それより、退く事になった会長は、さぞ悔しかったはずだ。なぜなら、札束を貰って、返す予定だと語った専門農業団体の会長は、それまで反対派というのは周知の事実で、彼さえ支持してくれたら「勝った」となる。即ち、返金したのか否かに関係なく、その金の受け取りを認めた以上、彼は約束を反故としたのだ。
それから1ヶ月程して、入札が1ヶ月前となった頃、戸田建設の九州支店に電話を入れた。
JA新熊本会館の建設に向けて、その入札に参加するのは大成建設、清水建設、そして戸田建設の3社だと判明したのである。
そこで同支店に勤務する知人へ、同事案に対する探りにあった。
「うちは、行かんよ。当社の場合は予算を聞いた時点で、規模との概算見積りで予定から排除」
彼は、手短に応えた。会社によっては抱えている資材、下請け業者等によって、見込みの利益が大きく違う場合もあるが、同社の場合は他の仕事との兼ね合いからも難しく、該当物件に対してはオリンピック精神、即ち義理に応えた形での入札参加。
まァ入札に当たって、消極的ではあっても「頑張る」と誤魔化す者はいても、「やる気ない」と言って落札に積極的な業者など存在しない。
これで勝負を争うのは大成建設と、野田事務所の推す清水建設。
後押しの会長が選挙で負けて退いた事で、大成建設には向かい風となったが、半年以上も前から工程に入ったという強味がある。それに発注者は、会長選挙とは無縁のJA三井リース。むしろ変化があれば、同社の意向である。
そして9月19日、その決戦は清水建設に勝利となった。
3ヶ月前、「120%、大成建設」と落札を事前に予想し、「潰して欲しい」という要望に「無理だ」と応えて、それでも条件に乗せられて動いて来た結果も、上京の際に期待もあって感触を得た「逆転」である。
高ぶる自らの気持ちを抑えて、それから1週間程して千代田氏に電話を入れた。
「清水建設が落札しましたね」
電話の向こう側には、聞き覚えのある声が、会話として彼のバックに聞こえた。彼の姿は、野田事務所と推察した。
「うん、清水だった」
悦びの弾んだ声でないのは、あれから時が経ち過ぎた理由と考えた。
それが次に、意外な言葉を返したのだ。
「いやァ、戸田であったら(落札)良かったんだが、それなら金も払えたんだけど…」
聞いた途端、『馬鹿にすっな~』と腹から突き上げて来る3ヶ月間の思いだ。
彼は仕事の依頼において、『大成さえ潰せば金を払う(経費を最低限に理解)』という条件にあった。こちらサイドの理解とすれば、「理不尽な大成の落札阻止が叶えば支払う」である。
そこには大成建設と交渉せよとか、公正取引委員会と密な関係で進めよとか、そういう方法論の条件などはなく、条件は何度も繰り返す1点。
勿論、事後に出た「戸田の落札」という捏造にしたって、それは当初から有り得なかったのだ。
受注代表ともなる支店サイドを飛び越えて、積算にも何ら関与せず、同社の社長が野田事務所と約束したのか、という異常な想定話となる。
結果、野田事務所は嘘と誤魔化しを重ねて信義を反故にした。
野田毅代議士とは側近中の側近と自称するだけあって、やはり彼は詐欺師であった。また、前述した話の経緯からして、その代議士との関わりだけでなく、野田事務所との約束と見るのは当然で、千代田氏個人の話で通用しないのは常識。
冒頭に述べた通り、野田毅代議士は小泉元総理の靖国参拝には強硬に反対し、また北朝鮮への経済制裁にも反対して、さらに地方議会への在日参政権を訴える議員の一人。
即ち、実父が大阪で朝鮮人の仕切り役であったという帰化議員。
本来、人権的にも倫理的にも民族の差別があってはならないが、この6年の間、この該当事案について考えると、あの拉致被害者の悔しい思いも重なり、野田事務所の姿勢の原点もそこにあるのではと考えた。
そして噂として届いたのが、今期での勇退説。6年も待って、ここに語る理由が、そこにある。信義なき野田毅事務所であった…。