熊本レポート

文字の裏に事件あり

水俣市長選挙に視る同市民の意外でもない政治意識

2018-01-13 | ブログ

 水俣病の発見から62年、新聞各社が熊本支局並みの取り扱いを続けても同市民の社会観が大きく変わるのは当然か。
 阿蘇市の特老施設・乙姫荘と天草市の宮地岳保育園を運営するのは社会福祉法人角岳会(阿蘇市)だが、同法人の理事長は両方の施設から130キロメートルも離れた水俣市選出の吉永和世県議会議長(52)。
 社会福祉法人施設における代表の責任は極めて重く、遠く離れて片手間でも出来る役責にはない、というのは希に聞く一般論だが、名誉職として名ばかりの兼職ならともかく、それが理事長報酬を受領しての県議会議員による兼職となると、果たして水俣市民の判断とはどういうものかと興味を抱かされる。
 地方自治法第92条では、「普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通公共団体に対し請負(公共建設事業等)をし、若しくは当該普通地方公共団体において経費を負担する事業につき、その法人の執行役、その支配人たることは出来ない」と、兼業禁止規定を定めている。ところが水俣市民の多くは、この吉永県議会議員の兼職について「違法性はない」とし、「政治倫理上も問題はなし」としてきた。
 こうした多くの有権者による水俣市長選挙の投票日は2月4日だが、出馬を表明しているのは現職の西田弘志氏(59)と、新人で前市議会議員の高岡利治氏(59)。
 西田市長は先の衆院選挙で金子代議士(自民党)の支援舞台で先頭に立っても、市政では共産党の党友という関係で二人の共産党市議会議員は与党という認識。
 一方、新人で出馬の高岡市議会議員は、先に述べた吉永県議会議員から「自民党議員除名」を受けた4議員の中の一人。この高岡氏を唯一、自民党籍で残った松本和幸市議会議員が支援するとなると、「水俣市議会から自民党議員は消える(除名)」という噂も浮上。
 西田市長の首長としての八方美人もここ水俣市では理解出来ないこともないが、市民の幸と繁栄に向けての舵取りで「非原理原則のスタンス」では、その能力からして疑問符が打たれる。
 また市議会から自民党色を一掃する自民党の県議会議員も不可解な行動で、反高岡で共産党とタッグを組むのはもちろん、「市長選挙とは距離を置かされた県議」と語られると実に異様な現在の水俣市。それを「意外でも何でもない」と同市民から否定されると、冒頭の話からして不可解な水俣市民の政治感覚というしかない。それだけに力学的に考えても、実に読み難い市長選挙の予測ということになる・・・。