日本私立学校振興・共済事業団からの低利融資は、祟城大学に限ったことではなく、県内の他大学でも見られる。
だが祟城大学の場合、特記されるのは同大学の本校における土地が、その額面は先に送るとして三菱東京UFJ銀行、肥後銀行、また熊本ファミリー銀行といった市中銀行への担保提供で埋めつくされていることだ。
メジャーな教授を迎え、花形の専門技術者を育てると超高額の学費を設定して生徒を募っても、卒業後の就職が叶わないとなると入学者は現れないが、他大学と同じく少子化傾向と、同大学がコマーシャルベースに乗せようとした学科に人気が遠のくと、学校運営も決して左団扇といった状況ではない。
そうした背景でというわけではないだろうが、同大学には株式会社秀拓(多良木慶輝代表・熊本市西区上熊本三丁目)というグループ会社が存在する。建設、不動産業、そしてガソリンスタンドを主事業とするが、先に述べた君が淵学園所有の不動産は、同社が管理、運営している。
そして表①の通り、君が淵学園の発注する建設工事は、その九九パーセントが同社の元請けで、以前は松尾建設、小竹組、三津野建設といった同社よりも規模ランクで上位のブロック、地元ゼネコンへの下請け発注。その点から表現は悪いが、「ピンハネ」の秀拓と称された。
公的補助を受け「公の支配下に属する学校法人」が事業を発注する場合、そこには公正、透明性が求められる(文部科学省私学助成課)
あの事業は公的補助によるもので、この事業の原資は市中銀行からの融資といった区別などは無理。
さらに秀拓の場合、経営陣は社長を除く会長他の役員全員が君が淵学園関係者。
前号でも語ったが、これは一般法人法でも問われる利益相反行為。
すなわち同人物が、商取引関係での二者の役員を兼ねている際、一方の利益は片方にとって不利益となる行為。
企業は利益追求が目的であり、それが一方の学校法人に不利益を生むのは当然。まして、ここでは役員五人が利益相反の関係。
私立学校法第四〇条の四に抵触するか否かという論争以前の問題で、教育者としての品格が問われる。
現在、工期二年を要する研究棟の建設が大成建設によって進められているが、ゼネコン業界の「同大学卒業生の縁で大成が受注」といった噂など、それは可愛く思われる同大学の実態とはいえないか。
時効十年でも約一億五千四百万円分を県から特別供与受けた君が淵学園が、その価値が県民にあったか否かの判断は、不動産と秀拓の現状。
平成二十三年度の入学者数は、同二十年度の七〇パーセント。不動産業者の「バブルが弾け始めた」との評を素直に考えると、他の学校法人とは経営手法が異なったのではという思いが浮上する…。
(次号へつづく)