熊本レポート

文字の裏に事件あり

熊本県知事選挙は自民党県連の圧勝で蒲島知事初4選 第4回

2020-02-25 | ブログ
選挙は蓋を開けなければ判らないというが、そんな見解が出てしまう逆転劇だって、生板に必要な材料さえ出揃うと、殆んど結果通りの予測は可能である。
熊本県知事選挙は投票日まで1ヶ月を切ったが、当初からの「4選」という予想に反して、地元紙某支局の支局長が「互角以上の勝負も可能」と幸山陣営に語ったという事で、敢えて4回と執拗な形となった。
勿論、天下の地元紙さんと競う事など、そんな傲りなど全くないが、蒲島4選を予想した立場上、その理由の再説明である。


当初から述べている通り「政策、自治の面で能力的に幸山候補が劣る」という理由ではなく、その理由は政治的センス。
政治家には、その資質が求められるのは当然だが、党内活動や議会対策と同じく選挙戦での作戦、行動等を含むセンスも求められる。
蒲島氏は幸山氏との討論会で、「加藤清正公の藩政23年」を挙げて幸山候補の多選批判を封じたが、これも政治的センス。勿論、これが決め手ではなく、そもそも今回の選挙は自民党県連VS幸山であって、それを幸山陣営が何の理由なのか、避けている点に敗北の理由がある。
蒲島県政が、県民の3分の1でも憤慨するような失政が有ったのであればともかく、それが見当たらない中では、「県民生活1人に200万円づつ支援金」といった愚策でも持ち出さない限り、絶対多数の現状維持の中で見えない政策論争なんか無駄な話。


また、幸山陣営は野党に支援を取り付けたが、黙っていても反自民党の立場から支援すると計算出来る野党に対して、なぜ敢えて握手を求めに走ったのか、地方自治に国政を持ち込んだ地方分権のリスクである。
そもそも蒲島県政は、本人がどう否定しょうが、自民党県連の県政。
それを理由にして幸山氏の支持者が当初、自民党反県連であった事は事実。そこには大義があった。
だが、その見える大義を棚に上げ、何処に県民を揺り動かす風など起きるだろうか。まして野党支援の幸山候補となれば、当初の支援者一部が無投票の姿勢に戻るのも明らか。
熊本県政史には自民党県連、農協軍団という大票田の組織に風が起き、それが番狂わせを演じて来たが、頭が教科書通りなら、勇気ある改革者どころか残るのは甲羅に頭を隠す参謀らの陣容。


選挙戦術の草案は4ヶ月前が締め切りと語られる。11月の半ば「K代議士なら勝てる」(元国会議員談・仮定論でK代議士は不承知)という読みも出た程、決して安泰に見える4選ではなかった。
だが、幸山陣営は「県民を揺り動かす大義」を下ろした。
3月22日の熊本県知事選挙は、暗黙の蒲島支持も棄権し、投票率は前回を下回って50%以下。それでも120万票以上の得票で蒲島4選は明らか。
さらに追い討ちを掛けるような話になるが、二回も敵にした相手を三回目には自ら擁立する自民党県連など想定されず、また三回目には付き合いますと、8年も待つ、そんな甘い県民などいない事も確か。
熊本県56名の学生諸君、政治家の命運を決める岐路での決断、それを理解して頂けたら幸いである…。

自民党熊本県連の圧勝で蒲島知事初四選! 第3回

2020-02-08 | ブログ
元民主党は勿論、共産党、さらにれいわまで支持を表明すると、表上は自民党系の支持者が担いだ候補であっても最早、野党連合の幸山候補。
ここに幸山陣営の最終的な選択が、想定とは大きく異なった。
そもそも2人以上の出馬があった場合、自ら擁立するか否かには関わらず、元民主党を中心とする野党主力が支援するのは、反自民党候補と彼らが見る2番手の候補。即ち、彼らが自ら候補を担がない今回は、100%の投票率はともかく、黙っていても元民主党を中心とした野党は幸山候補へ向かったはずだ。


それを今回、危機感の打開策として判断したとは断定しないが、自ら支援の要請に動いた。それを、どう否定しようが結果は、そういう陣容を生んでしまったのである。
ここで語るまでもなく、反自民の民主党政権は、自民党の分裂によって誕生し、ここに来て理想の二大政党が失敗だったと、中選挙区制度への復帰が叫ばれている中、野党の政権奪還など夢物語の政局にあるのは常識。これは地方の政局にも言える訳で、結果的に幸山陣営の選択肢という読み違いがここにある。
また政策においては、中央政権での改憲への動きは地方自治の改革も視野にあって、そうした中で浮上するのが在日の参政権、その生活支援の問題。
その良し悪しはどうあれ、こうした急激な変化も地方自治は求められて来る。仮に共産党、れいわ支持を取り付けた幸山県政が、仮に誕生した場合、知事はそこで如何なる施策を遂行するのか、その辺での懸念である。こうした点を考えると、明らかに保守系支持者は幸山候補に距離を置くのではなかろうか。


そもそも、県民は現状の県政を維持する側にあって、ここで八代海に空港を建設するとか、また熊本駅から熊本空港までモノレールを通すとかの公約を掲げても、全体的に強い意識を動かされる訳ではない。県民1人に百万円づつ配りますといった愚策ならともかく想定内の提案、公約には、不信感もあって心を動かされない民意というのが、残念ながら現実。…となると、県民に判りやすい新人の県知事選挙というのは、極論ながら「蒲島県政への攻撃」に限定されて、周知の蒲島県政=自民党県連と想定した場合、今回の選挙は自民党県連VS幸山。
だが、それは幸山陣営=野党連合ではなく、自民党の中での改革という大義にあったはずで、本来の幸山陣営の主要が、こうした思いにあったのも確か。ここに幸山候補が何を目指すかがあって、この大義を県民は理解するか、否かの知事選挙であった、はずである。
昨年11月、この知事選挙とは別個で自民党熊本県連の元重鎮らによる対同県連へ向けた動きがあった。
また彼らは知事選に向けて、同意する地方議員らの第二連合会設立までも動いた。中身は少々違うが、大阪政変の熊本版、また小泉元総理による「自民党をぶっ壊す」に似た地方版。
だが、過激な言動を好まぬ幸山氏自身がこれを拒否し、それに除名を怖れた地方議員らが尻込みしたのである。時代は、変わった。政治は変わらないが、時代は政治家を変えた。
県民に判りやすい政治とは何か。それは県民のために政治家が、自らの損得抜きに大きく動く事ではなかろうか…。


自民党熊本県連の圧勝という蒲島知事初四選!

2020-02-08 | ブログ
熊本県知事選挙が終わり県政史上、初めて四選を果たした蒲島知事は、月末の定例記者会見で「相手の候補さんが多選の弊害を出して来ると予想し、そこで『四選に反対する人は誰1人といませんでした。また(加藤)清正公さんは23年間も実際は藩主を務めて居り、多選が全て弊害という訳では有りません』と、選挙前の討論会で先ず県民に訴えた」と開口一番、今回の選挙のポイントはここにあったと、自慢気に語った。
記者の間から『流石、政治学者』と期待の反応はなかったが、本人はその点を強調したかったのであった。蒲島郁夫氏という人物は、意外にも緻密な計算の上での政治家。
これは1ヶ月以上も先の想定だが、果たして当初のシナリオ通りの結果であっただろうか。即ち、再挑戦した幸山政史氏には、当選の勝ち目はなかったのか。
これを焦点として、蒲島流での幸山陣営の分析、検証である。
まだ選挙には1ヶ月以上も間があるじゃないか、そういう意見もあるだろうが、既に幸山陣営にあっては失礼ながら終わったと見ている。
だが幸山候補には、決して勝ち目のない選挙ではなかったと想定。そのスタンスの取り方が大きく異なり、ここに来ては、その修正も困難で、そういう意味で何ら影響もないと判断しての見解。


そもそも数字上から想定すると、幸山陣営にとって、決して楽観出来る二度目の挑戦でないのも確か。
先ず前回(2016年3月)の選挙結果だが、
蒲島 504931(68・1%)
幸山 201951(27・2%)
幸山候補は、その票差が約30万票というダブルスコアの敗北。これを逆転させる(幸山陣営)となると、それは至難の技。
また前回は、知名度不足という声も幸山陣営にあるが、前市長としての熊本市での結果を見ると、
蒲島 174459(64・8%)
幸山 81292(30・0%)
ここでもダブルスコア。
この前回の結果を見て、幸山陣営による4年越しの「逆転」を果たして信ずる者が居るだろうか。
それはともかく、毎日が選挙運動のような蒲島知事に劣らず、幸山前熊本市長も県内各地でミニ後援会を活発に開き、その支持者の拡大に務めている最中。
そして、そこに加わったのが旧民主党の地方議員、それに共産党も自主投票ながら幸山候補の支持を決めたようで、また勝手連としてれいわも応援に入った。正しく、『県民党の幸山』。
「野党が挙って支持する今回、互角の勝負体制が整った」
幸山陣営の1人は語るが、これでは蒲島VS幸山の勝負で有り、ここに失敗の原因がある。即ち、当選しても「ごった煮の県政」では、詳細は控えるが、その行政運営にも課題を残すと想定され、「幸山県政が何を目指すか」も不透明で有り、選挙には失礼ながら勝てないと結論。おそらく支持するか、支持しないかに関わらず、自民党支持者の県民の中には同じ思いも多いと推察。
先ずこの幸山陣営には、県民の心を揺り動かすだけの『大義』がない。
当初、幸山氏、幸山陣営に期待した戦略とは、小選挙区移行で大きな支持母体を失った小泉元総理の「自民党をぶっ壊す」で有り、また自民党だけでなく官公労まで除外し、「組織を造り直す」と旋風を引き起こした橋下元大阪府知事。この二人と同様な選挙戦略が、そもそもの期待であった。
最早、そのシナリオは幻となってしまったが、その関係者らの意見を交えて「大義」とは何であるか…。(次号へ続く)