熊本地震で倒壊したブロック塀の下敷きになって死亡した遺族と、重傷を負った女性が今年10月、ブロック塀の所有者で益城町の社会医療法人理事長について、過失致死傷害容疑で熊本県警に告訴し、同県警はそれを受理した。
一般的に地震等の自然災害による責任(建物等の工作物で与えた損害)は、それは不可抗力として免れる。しかし構造物の設置、保存に瑕疵がある場合、そこには責任が発生する。今回の告訴には、その責任も考えられるとして同県警は受理したと想定される。
告訴状の写しによると、問題の壁は擁壁の上にブロック塀を設置した状態で(建築基準法に違反の容疑)、地震前から周辺住民は「危険だから塀を撤去して欲しい」と被告訴人に伝えてあり、同被告訴人は「(同)ブロック塀の危険性」を認識していたと主張。
告訴人の一人である女性は、「告訴するまでの間、被告訴人から謝罪や見舞いなどの連絡は全くなく、人の命を預かる側の人間として許せない」と憤る。
同病院は熊本地震において、「4本から5本のコンクリート杭(ピアノ筋の入った直径30センチ・長さ20メートル)が折れて横へ移動」と、二つの専門調査会社(機関)が判断。だが、同病院は約200名の患者を預かったままとし、「人命第一の病院には異例」と住民には批判の声も挙がった。
交通機関、また専門医の問題等から地方の住民には、都市部ほどの「病院の選択権」はなく、弱者は意地を通すことも困難な弱者であることも確か。
同病院が近々、同町広安小学校の裏手に移転新築する。S造6階建てで、建築面積は14430平方メートル。
「病院の建築は一坪で最低110万円として、その最低でも約48億円。50億円の事業」と、全国大手のゼネコンは試算。そして「多くて2割5分は震災補助金等の公金が導入されるはずで、そうなると会計検査院も対象にするが、なぜか当社の入札は認められなかった」と苦笑しながら続けた。
続いて語るのは建築許可を下す行政の側だが、「10月4日には提出資料は揃って出された」と、後は着工の段階と答える。それが、なぜに延び延びとなっているかだが、想定される理由が行政側にあるのでないことは確か。
改めて先述のゼネコンに電話を入れると、「福島の災害復旧です。巧みですよ」と、再び笑って応えた。
この謎解きにそれほどの時間は要しなかったが、「巧み」というより「利口」であることは明らか。
一方だけの主張ながら「人として許されない」、「病院経営者としては異例」という批判が浮上し、そして「利口」と評しても「弱者の意地」を発揮できる住民が果たしているだろうか。
ともかく、この正月にあなたは、この苦笑いしての謎かけが解けますか ?
皆様の輝かしい新年をお祈り致します