総合アドバイザーの手掛けた新ごみ処理施設の発注先で、同アドバイザーを発注グループに組み入れ、しかも組合議会では同構造を隠蔽して承認を得た宇城広域連合だけではなく、総合評価型の入札はその99パーセントが官製談合と見られている。
続いて実施計画に入った天草広域連合の新焼却施設の建設は、日鉄グループと関係の深い北辻宮城大学教授を選考、選定委員に迎えた事で、ここも1年先に向けて官製談合に入ったと見ていたところ、ここは離島特有の異色にあった。
失礼な表現ながら「貧すれば鈍する、鈍なれば貧する」である。
決して天草だけでなく、厳しい地方にあっては地方公務員から農業、漁業協同組合員まで、地域住民の大方が何らかの公的資金、補助を得ながらの生活地域に在る。
それを後押しして来たのが政治。
天草は、かって外務大臣まで務めた故園田直氏の出身地。その子息である故博之元代議士もまた、政党では「渡り鳥」と称されても親父の代から受け継いだ厚生族であった。
それなりの政治家あっての天草であった事は確かで、旧大蔵省出身であった故福島譲二代議士(後の熊本県知事)も同じである。
ところが現在はどうか。
天草からは遠く離れた人吉、球磨出身の金子恭之代議士で、天草にも縁は在ると言っても園田親子と比べたら順送りで得たような総務大臣。
また天草市長はどうかというと、市民は立憲民主党元秘書を選んだ。
決して悪いとは言わないが、「貧すれば鈍する、鈍なれば貧する」という政治の現実である。
さて本題に入ると、天草広域連合は中央からアクセス上も遠距離にあるにも拘らず、財政上から最終処分場を造らず、スラグ引き取り(メーカー)として計画をスタートさせた。
財政上も厳しく、補助金も見込みなしと、ここからの発進。
スラグ(鉱滓)の有害説が流れ、同1トン当たり8万円の引き取り手(セメント業界他)も少ない中、そこで浮上したのが「溶融スラグ細骨材を用いたコンクリートのポップアウトの抑制に対するエージングの効果」を発表していた北辻教授(日鉄エンジニアリングのスタッフとの共同研究)。
即ち、スラグの再資源化である。
日鉄エンジニアリングは日鉄グループ内に再資源化工場を持ち、他メーカーより先行しているのは確か。
「負の量から考えると、計算出来ない程の大差」(日鉄外のメーカー談)
こうして考えると、天草広域連合の官製談合(日鉄エンジニアリングへのシャフト型発注)は妥当ともいえる。
ただ世界的に脱炭素を言われる中で、苓北町の火力発電所と同じく年中、コークスを燃やし続けるシャフト型には問題も残るし、また外部へごみ(スラグ)を引き取り条件とする姿勢も決して褒められた話ではない。
財政的に厳しく、それを補填する補助金の獲得も困難な政治力となると、繰り返せば更に失礼ながら「貧すれば鈍する、鈍なれば貧する」の官製談合とは言えないか…。