伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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コンベンション 災害時の物流センターに

2015-09-14 15:11:44 | 政治・政策・経済
群馬県が高崎市に予定しているコンベンション施設。
ホームページによれば、今年度に工事着工、
29年度中施設オープン
のようです。
改訂案では29年度工事着工のようです)


計画では防災拠点機能を持たせるようですが、
せっかくの立地と機能を活かすには、住民避難所ではなく、
支援物資等の受け入れ・調整・搬出等を行う、
災害時の物流センターの役割を提案します。



(コンベンション施設の機能)

コンベンション施設は、大規模な展示会などを行うので、
巨大な空間と、大量の資機材を搬入・搬出するための機能が重要です。

県が高崎市にこの施設を作る理由として、
新幹線や高速道路の充実による交通の利便性を上げています。
群馬県は大きな災害が少ないことも自慢です。



(施設整備基本計画)

「群馬県コンベンション施設整備基本計画」では、
施設の基本コンセプトの3番目に、
災害時における防災拠点としての機能を挙げています。

(4)災害時における防災拠点としての機能(6ページ)
  平成 23 年に起きた東日本大震災は、災害時の対応や
  防災に対する考え方を改める契機となった。
  福島県の「ビッグパレットふくしま」のように展示施設そのものが
  住民の避難所として有効に機能した例があり、新しい施設を
  整備するにあたっては、災害に対する備えについて考慮する必要がある。
  本施設は、非常用自家発電装置、自然エネルギーを活用した設備、
  緑地や通信設備など災害時に活用が可能な設備についても同時に整備し、
  災害時における防災拠点としての機能を備えた施設を目指す。



(多田の意見)

基本計画は、住民の避難所としての使用を想定しているようです。
たしかに屋根があって広い空間があれば「避難所」としても使えます。

しかし、それはコンベンション施設でなくても、
体育館や公民館等でも避難所として活用できます。

せっかくの交通の拠点としての立地と、
大量の物資の搬入・搬出機能を備えているのですから、
コンベンション施設ならではの災害時の活用をするべきです。
そうでなければ宝の持ち腐れです。



(どうやって物資をさばくか)

第二の災害」というコトバがあります。
これは、大規模な災害が発生した際に、被災地域に届けられながらも、
役に立たないなどの理由で、余計な混乱を被災地域に発生させる
膨大な量の救援物資のことです。

1995年の阪神・淡路大震災では約100万個の小包が届けられ、
その膨大な量にボランティア関係者が忙殺されました。
2004年の新潟県中越地震では一般からの小包が殺到、
長岡市では約4万7千件4,500トンの救援物資が届けられ、
市職員が不眠不休で仕分け作業に追われましたが、
それでも捌ききれず翌年7月になっても倉庫に大量に残りました。

国土交通省は、このような事例を踏まえて、
支援物資物流システムの基本的な考え方」(平成23)等において、
東日本大震災時の反省としてバックヤードの必要性を述べています。

 Ⅲ 支援物資物流の実現に向けて解決すべき課題及び改善策について

 Ⅲ-6 燃料油不足への対応
 ○ 燃料は輸送機関の活動のエネルギーであり、支援物資輸送を担う車両や
  運転者の不足とともに、燃料油の不足は円滑な支援物資物流の実施に
  支障をもたらすことが今回の東日本大震災で明らかになった

 Ⅲ-8 物資集積拠点
 ○ 物資集積拠点は、支援物資物流システムの円滑な稼働のために
  必要不可欠なものであり、かつ、これが適切に運営されなければ
  被災者への物資供給に支障が生じることになる。
  物資集積拠点となり得るためには、建物自身に一定のスペースが
  必要であるとともに、大型トラックが直接施設内に入構できること、
  フォークリフト等の機材が使用できること等の条件が満たされ
  なければならない。従って、平時の段階からこのような施設を
  あらかじめリストアップするとともに、緊急時に使用できるよう
  都道府県のみならず、市町村においても、物流事業者等との間で
  災害時の使用協定の締結を進めるとともに、フォークリフト等の
  機材の確保が必要である。

 ○ 一次物資集積拠点は、物資の搬入、仕分け、搬出の重要な拠点
  であることからこの機能が円滑に確保されるためには、同拠点を
  被災地ではなく、被災地から離れた場所に設置することが
  全体の支援物資物流の円滑化につながるという指摘もなされている。
  都道府県のエリアを越える広域災害の場合には、被災した都道府県の外側に
  一次物資集積拠点を設置し、この拠点を核として被災都道府県内の
  二次物資集積拠点に仕分けされた物資を搬入していくことも必要であり、
  広域的な物資集積拠点の確保という視点も重要である。

支援物資供給の手引き」国土交通省 平成25年9月
 Ⅱ.事前準備編

 第4章 施設・設備及び備品の準備
 第2節 物資拠点(集積所)の確保


 第3節 物資拠点の設営準備
  設営準備として行っておくと便利なものとしては、拠点内ロケーション
  の設定が挙げられます。具体的には次表に示す各エリアについて、物流
  業界団体や物流企業といった倉庫の専門家の協力を得て検討しておくと、
  より実効性の高い準備を整えることができます。
  各エリアの設定時にはトラックの動線、荷物を取り扱う人員の動線も
  考慮して設定してください。特に人員の動線については、各作業人員が
  交錯しないように設定をすると円滑に作業を進めることができます。




(群馬県の防災計画)

「群馬県地域防災計画」では次のように義援物資の集積場所を定めています。
所管する総務部危機管理室には、減災に頑張ってもらいたいと思います。

 <風水害・雪害対策編> 第2部 災害応急対策 
 第13章 自発的支援の受入れ 第2節 義援物資・義援金の受入れ
 1 義援物資の受入れ
 (2) 受入機関の決定
  県(健康福祉課)及び市町村は、相互に調整の上、義援物資の受入機関
  (県と各市町村が個別に受け入れるか共同で受け入れるか)を定めるものとする。
 (3) 集積場所の確保
  受入機関は、送付された義援物資を保管及び仕分けできる集積場所並びに
  仕分け作業に要する人員、資機材をあらかじめ確保するものとする。
  なお、集積場所の選定に当たっては、被災市町村における仕分け作業の
  負担増を避けるため、近隣市町村からの選定も検討するものとする。



(災害時のコンベンションの役割)

気象庁などによれば、
今後30年以内に首都直下地震が起こる確率は70%
東京や埼玉県が大きな被害を受けた場合は、近隣の群馬県などは
一番支援が期待されている立場です。

全国から直接被災地へ大量の物資が無差別に届けられると、
現地は大混乱します。

災害時にコンベンション施設の設備や機能を最大限活かすには、
住民の避難所よりも、物流拠点として使うべきなのです。

バックヤードとして群馬県が物資集積拠点の役割を果たし、
受け入れ、仕分け、適切なパッキング、発送を行えば、
大きな支援になります。

これは県外支援の場合だけでなく、
群馬県内の自治体で災害が起こった場合にも、
全国からの支援物資を受け入れ、調整するセンターとしても
役に立ちます。

行政職員は、物流については素人です。
コンベンション施設の設計や、運用計画の作成に当たっては、
運送会社や、地元のワークマン、ベイシアなどの企業の方に、
協力をぜひお願いすべきと思います。

せっかくコンベンション施設を作るなら、
ぜひ、このような視点でも検討し、
より役に立つものにして頂きたいと思います。

(注:ワークマンは伊勢崎市内に物流拠点を建設予定)



(補足)

県のホームページ「群馬県コンベンション施設整備基本計画」には、
何も書かれていませんでしたが、群馬県コンベンション施設整備基本計画改訂版(案)が
公表され、パブリックコメントも募集中
でした。

パブリックコメントを募集していることが非常に分かりにくい。
コンベンション施設整備」のページにも、
ぜひそのことを書いておくべきと思います。

改訂版(案)の防災機能は次のとおりです。

(4) 災害時における防災拠点としての機能
  平成 23 年に起きた東日本大震災は、災害時の対応や防災に
  対する考え方を改める契機となった。
  福島県の「ビッグパレットふくしま」のようにコンベンション施設が
  住民の避難所として有効に機能した例があり、新しい施設を整備
  するにあたっては、災害に対する備えについて考慮する必要がある。
  本施設は、災害時の避難所、救援物資の集積や被災地へ分配する物流拠点、
  消防や自衛隊等の支援部隊の一時集結所等の役割も果たすことができるよう、
  会議室や展示施設等のスペースを活用するとともに、災害時に必要となる
  物資の備蓄、非常用自家発電設備や非常時における通信機器等を備え、
  災害時における防災拠点としての機能を有する施設を目指す。

改訂案では、私の提案する物流拠点のコンセプトは盛り込まれています。
さらに、支援部隊の一時集結所の機能も考えているようです。
物流拠点として本当に機能するためには、トラックの燃料の備蓄も
ぜひ行ってほしいと思います。

私もパブリックコメントに出そうと思いますが、よいアイディアをお持ちの方は
ぜひ意見を出してください。よろしくお願いします。



(参考)

支援物資のノウハウ「NPOレスキューストックヤード

・支援物資として、何が入っているのか箱を開けてみるまで分からない、
という状態では、もらった方の自治体の作業負担が大です。
特に、腐る食品などが入っていると、ひどいことになります。
送る場合の荷物の標準化が、受け手の負担を減らします。






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