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伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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言葉にできない感覚の世界 芸術・スポーツほか

2024-12-10 13:05:11 | 心の時代

「わざ言語」生田久美子ほか慶應義塾大学出版会

サブタイトル<感覚の共有を通しての学びへ>

 

芸術や高度な技能、スポーツ等の頂点では、

言葉では伝えられない、あるいは

言葉にできない「感覚」をとおして

後継者へ伝承したり、指導が行われています。

 

この本はさまざまな分野を取り上げていますが、

非常に共感したのは和太鼓の話。

太鼓には音階はありませんので、

通常はリズムを感じるだけの楽器です。

 

達人・佐藤三昭氏はこのように弟子を指導します。

 『太鼓で歌って』

 

『道場針』にある「太鼓打ちから太鼓弾きへ」の意味を

佐藤氏は次のように説明します。

 「私にもよくわからないのです」

 「打つのではなく弾くという感覚が実際にあるのです」

 「私がなくなるような感覚、打っている太鼓がメロディを

  弾き始めたような感覚に至るとき、世界が深まるのです」

 

私は以前からジャズ・ドラマーの

エルビン・ジョーンズは、ドラムで歌っている

と感じていましたので同じ感覚にビックリ。

私の独りよがりの感覚ではなく、

達人も同じ感覚だったので、

音楽を感じる感覚に自信を持てました。

 

 

 

(教育におけるわざ言語の役割)p28

 

多田要約:本稿は暫定的にわざ言語の役割を3つに分類

1 比ゆ的な感覚の表現を通じて行為の発現を促す

2 ある種の身体感覚を持つように促す

3 教えるものが学ぶものに対して自らが到達した状態を

  わざ言語を通して突きつける

 

その分野のトップの方が努力を重ね

晩年になってようやくたどり着いた境地・極意を

もし自分が若いころから悟っていたなら、

もっと上達できたであろうと思う場合、

上記のわざ言語の役割3番をとおして

弟子を指導すれば、その夢がかないます。

弟子はその境地から始められるのです。

 

 

 

(陸上100m競技 朝原宣治)

 

朝原さんは日本の陸上短距離の第一人者でした。

毎日びっしりと「感覚ノート」を書きました。

練習する時に自分はどう感じていたのか、

それを忘れないように書いておいて、

練習の前、試合の前に見直して、

「ああ、そうそう。こういう感覚で走っていたんだな」

と思い返すのです。

(中略)

こうして始めると自然と自分の体としっかり対話ができる

ようにもなりますし、自分の体調の変化やバランスが

崩れていることに敏感になります。

 

競技で培ってきた自分自身の感覚にこだわり過ぎない

というのがまずは指導者になるにあたって大事なことと思います。

(中略)

自分の感覚は置いておいて、

選手がどのような感覚を持っているのか、

コミュニケーションを通じて聞くことによって、

その人が口に出す感覚と、実際の動きに

関連性がでてくると思います。

 

100m走・日本歴代1位の伊藤浩司選手については、

彼が意識していたことであったり、感覚的なものは、

私(朝原)の走りからは見た目は遠いのですが、

コアな部分は、求めているものは同じだと思います。

それをなんとかして聞き出そうとするのですが、

なかなか教えてくれない。

何か感覚的なものがあって、なるほどというものを

たぶん持っていると思うのですが、

そこまでまだ聞き出せていません。

 

<多田コメント>

100m走のトップ選手の争いは、

感覚の世界だったのですね。

細かい身体の動かし方ではなく、

どんなイメージを持って走るかの勝負。

 

 

 

(さいごに)

 

この本では上記の分野のほかに、

歌舞伎、宮大工、看護、スピードスケート、助産師

などについても当事者と研究者の言葉が書かれています。

 

言葉にできない、言葉以上の奥深い「感覚」の世界は、

いろいろな分野のトップに方にとって

とても重要だということが分かりました。

 

各分野を鑑賞したり楽しまれる方、

実践される方、指導者の方にとっては

とても有意義な一冊です。

 

 

 

 

 

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