(一般質問とは)
議会では色々な質問の形式があります。
その中で一般質問は、市の所管する事なら、
自由なテーマで質問できます。
伊勢崎市議会の場合、
一年の中で定例会が4回あります。
そして、議員一人当たり
年間2回ほど一般質問の順番がまわってきます。
伊勢崎市の場合、一般質問は
持ち時間40分の中で質問し、
市長からの答弁も40分の中で行います。
今回は、まもなく世界遺産に登録される予定の
富岡製糸場に関連した田島弥平旧宅と
旧宅がある島村地区について質問しました。
田島弥平旧宅も、世界遺産になる予定です。
(質問と答弁概要)
私の質問とその解説、及び質問に対する
市長・教育長の答弁の要旨などをご報告します。
これは私のメモを元にしたのもなので、
正しい議事録は、後日ネットにも公開されますので、
そちらで御確認下さい。
************************************************
会派「政経クラブ」を代表して、
通告に従い質問させて頂きます。
世界遺産と島村地区について質問いたします。
1 世界遺産と島村地区について
(1)田島弥平旧宅の保護
境島村地区の田島弥平旧宅が、
まもなく世界遺産として登録される見込みです。
伊勢崎市民にとりまして、たいへん喜ばしい出来事であり、
これまで取り組んでこられた関係者の皆様の
御努力に敬意を表します。
世界遺産について定めた「世界の文化遺産及び自然遺産の
保護に関する条約」の目的は、「文化遺産及び自然遺産を
人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から
保護し、保存するための国際的な協力及び援助の体制を確立
すること」となっております。
今年5月に、私が田島弥平旧宅を訪問したところ、
残念なことに世界遺産を構成する敷地内の建物の屋根が
何箇所も損傷していました。
これでは世界遺産制度の目的から外れてしまいます。
人類共通の財産を預かる地元自治体の責任として、
しっかりと保全・復旧に取り組まなくてはなりません。
田島弥平旧宅の損傷について市では具体的に
どのように把握しておられるのか、それを県や国へ
どのように伝えてあるのかお尋ねします。
(答弁)
・田島弥平旧宅敷地内の別荘、桑場の屋根や下屋に
損傷がある。
・2月22日に文化庁へ棄損届け提出した。
・2月に文化庁が視察に来て、応急措置として
落ちかかっている瓦などを取り除いた。
(解説)
「世界遺産」制度の第一の目的は貴重な遺産を
人類共通の財産として守ることです。
現在、壊れている部分がありますので、しっかりと
保全していけるように確認の質問をしました。
(2)文化財保護法上の管理者と費用負担
田島弥平旧宅は、現在個人所有でありますが、
法的な管理責任者及び修復の際の費用負担は
どのようになっているのでしょうか。
また今後の管理体制及び復旧についてはどのように
していく予定であるのかお尋ねします。
世界遺産を見に訪れるのは、伊勢崎市民だけではありません。
富岡製糸場でも見学料を徴収していることから、
今後は田島弥平旧宅の管理においても、市の支出を全て
伊勢崎市民の負担でまかなうのでなく、見学者から
受益者負担として見学料やパンフレットの資料代等を
適切に徴収することや、寄付の受け入れ態勢も
検討する必要があると考えますが、
市長のお考えをうかがいます。
(答弁)
・田島弥平宅は個人の所有なので見学料はとらない。
・富岡製糸場などはパンフレット代をとらないので、
伊勢崎市もとらない。
・所有者は個人だが、文化財保護法上の管理責任者は
伊勢崎市となっている。国の史跡なので費用の50%は
国の補助、15%は県から補助金が来る。
(解説)
・世界遺産が個人の所有物というのは、珍しいと思います。
しかし、維持管理していくには巨額の費用がかかります。
どのように維持管理を行うのか、法的責任者を確認する
とともに、費用負担についても確認しました。
(3)景観重要建造物の指定と補助制度
島村地区には大型養蚕農家が多数あり、世界遺産に
ふさわしい景観を形成していますが、この景観は
積極的に保全しなければ失われてしまいます。
伊勢崎市では「景観まちづくり条例に基づき、
「境島村景観重点区域」を定め、
新規の建物の建築や改築を規制しています。
しかし現状では、建物の取り壊しには
なんら制限がないようです。貴重な大型養蚕農家群を
保全していくためには、同条例に基づく「景観重要建造物」
の指定を行っていくことが必要と考えますが、
現状と今後の対応についてお伺いします。
また、景観重点区域の皆さんには、良好な景観を
保全するという公共的な目的に御協力していただく
わけですから、住民の生活を制限するだけでなく、
建物の建設や改築に当たっては、高崎市のように
何らかの公的助成制度を伊勢崎市にも整えることが
必要であると考えますが、市長のお考えをお伺いします。
(答弁)
・景観重要建造物の指定を受けると、所有者は建物の
外観を自由に変更できなくなる。
・島村地域の特徴ある景観を守っていくには、所有者の
同意を得ながら、国土交通省の基準に合う建物は
景観重要建造物として指定できるようにしたい。
・補助制度は、先進自治体の取り組みを研究する。
(解説)
・世界遺産の近くは「緩衝地帯」として、雰囲気が
失われないように保護されています。
・伊勢崎市では条例により建物の新築と改築は制限して
いますが、現状では取り壊すことには制限がありません。
・地域にある大型養蚕農家群は、独特の貴重な景観であるので、
その建物が失われないように保全することが大事です。
・そのためには「景観重要建造物」としての指定が必要なので、
市の対応について確認しました。
・増改築を制限するだけでは住民にメリットがありませんので、
高崎市のように、景観に配慮した外観にしていただく場合は
なんらかの補助金を出す制度が必要と思います。
(4)県境を越える景観の保全
世界遺産登録推薦書では、田島弥平旧宅を中心に、
県境を越えて本庄市内にも緩衝地帯が設定されています。
この緩衝地帯を守るためには本庄市と連携して
景観を保全していかなければなりません。
現状では本庄市に景観条例が無いため、この地域には
埼玉県の景観条例が直接適用されています。
本市の条例と比較してそん色ないか、そして今後の
埼玉県及び本庄市との連携についてお伺いします。
(答弁)
・世界遺産を守る緩衝地帯の区域及び環境を守る規制は、
イコモスの調査により適切と評価された。
・伊勢崎市側は条例により厳しく守っている。
・本庄市側は埼玉県の条例で特定課題対応区域に定め
伊勢崎市側とそん色なく守っている。
・富岡市など2県、5市町の協議会を通じて、
今後も連携を図っていく。
(解説)
・田島弥平旧宅は群馬県伊勢崎市内にありますが、
それをとりまく緩衝地帯の一部は、埼玉県本庄市も含みます。
・本庄市側は、世界遺産のすぐ近くにあり、大型養蚕農家の
建物も含んでいます。
・伊勢崎市側だけでなく、連携して地域の景観を守って
いけるように確認の質問をしました。
(5)文献資料等の保存
平成24年第5回市議会における山越議員の質問に対し、
「建物も重要でありますけれども、それ以上に
残っている文献等を初めとする資料をどう保存するか、
このことを考えるべき」という市長答弁がありました。
その後文献等の資料はどのような保存法方が
とられるようになったのか尋ねします。
また、「群馬県立日本絹の里」とはどのような連携を
図っているのか、あわせてお尋ねいたします。
(答弁)
・未調査の資料が約2千点ある。
・資料は田島弥平旧宅の母屋の二階に保存してある。
・資料の整理保存は、関係機関の助言・指導を受けながら
すすめていく。
(解説)
・建物ばかりでなく、書類や本を印刷した版木、
顕微鏡などの資料もしっかりと保存できるように
確認の質問をしました。
・せっかく県立の絹文化を研究する機関がありますので
しっかりと連携を取っているか確認しました。
(6)島村地区のまちづくり
今まで島村地区の伝統的な建物や景観を大切
守ってこられた地域の皆様にとっては、
世界遺産も大事ですが、地域での生活も大事です。
この両立を図って行く事が重要と考えます。
現在、田島弥平旧宅を活用したまちづくりを総合的に
推進するため「伊勢崎市境島村まちづくり推進会議」を
設置し、地元住民手作りの「境島村まちづくりビジョン」
の策定を目指しているそうですが、
それらの進捗状況をお伺いします。
(答弁)
・推進会議の中に女性部会も作りビジョン骨子ができた。
・本年度にビジョン確定をめざしている。
・本年度住民説明会を3回開き地域との連携を図っている。
(解説)
・世界遺産ばかりでなく、地元の住民のみなさんの
生活をしっかりと守り、調和を図っていくことも重要なので、
それを確認するための質問をしました。
(7)パンフレットの充実
島村地区を紹介するパンフレットは複数ありますが、
パンフレットによって掲載されている大型養蚕農家
がまちまちで、抜け落ちている場合もあります。
島村地区の住民の方には広い敷地の除草をしたり、花を植えたり、
よそからの訪問者に親切に対応して頂いています。
自分の家の情報がパンフレットに正しく掲載されて
いるか否かは当事者にとっては大問題であり、
もし抜け落ちていれば一生懸命協力しているのに
大変なショックであろうと拝察いたします。
今年5月に島村地区で行われた世界遺産の地元説明会では、
この問題を指摘する厳しい意見が複数の住民の方から出され、
私は大変重要な問題と受け止めました。
これから島村地区にある田島弥平旧宅が世界遺産の
認定を受け、住民の皆さんが生活されていく中で、
周囲の環境も含めて保全して頂くためには、
地元の皆さんのご理解とご協力が欠かせません。
行政と住民の方との信頼関係を築いていくには、
団体との協働だけでなく、パンフレットに掲載されている
お宅一軒一軒のみなさんとの、コミュニケーションと
確認作業の積み重ねが大切と考えますが、
市長のお考えをうかがいます。
(回答)
・パンフレットの地図は地元の団体が作成したもの。
・パンフレットの作成は、地元の住民の方と作った。
・パンフレットを更新する際に、修正したい。
(解説)
・地元の代表の方や、団体代表の方といっしょに
パンフレットを作ることは大事です。
・しかしそれだけでなく、実際に自分の家がパンフレットに
掲載されりるお宅には、市職員が直接訪問して、
掲載希望の有無や、内容の確認などをして
信頼関係を作っていくことが大事と考え質問しました。
(8)織物文化の保持
田島弥平旧宅の保全と伊勢崎市の織物文化の
関係についてお伺いします。大正から昭和にかけて、
伊勢崎銘仙は全国的に大流行しました。
着物と言えば「銘仙」でした。
今年四月の読売新聞によれば、銘仙の一種である
「伊勢崎絣」を製造し、弟子を育成されている方が
「伝統技法は一度失われたら取り返しがつかない。
50年後100年後も伊勢崎の織物が残るように
務めたい。」と語っていました。
世界遺産として田島弥平旧宅の建物や資料が残れば
良いと考えるのか、それとも伊勢崎銘仙の伝統技法も、
あわせて後世へ伝えようと考えるのか、今その
分かれ道にきていると思います。市の判断と
今後の対応についてお伺いします。
(答弁)
・イベントで機織の実演をしたり、解説をしている。
・今後はホームページに掲載するなどしたい。
(解説)
・糸から銘仙を織り上げるまで、沢山の工程があり、
それぞれ専門の職人さんがいたそうです。
・今80歳以上の方は、実際にそのようなお仕事をされ、
お話をうかがうことができます。
・その貴重な知識・経験・技術を、なんとか残せないか
という思いで質問しました。
(9)トイレの整備
多くの来訪者を迎えるに当り、トイレがきちんと整備
されていることは最も重要な事であります。
「島村蚕のふるさと公園」駐車場のトイレはきれいに
整備されましたが、田島弥平旧宅直近のトイレは
集落センターの建物の陰に仮設トイレが3基置いてあるだけです。
先日、島村地区を訪問した際にある住民の方から
「世界遺産のトイレが仮設ではみっともない」と御意見を
いただきました。これから世界遺産に認定された場合、
直近のトイレが工事現場のような仮設トイレでは
私も恥ずかしく感じます。
これ以外の来訪者用トイレは、田島弥平宅から
徒歩5分以上かかる「島村蚕のふるさと公園」と、
境島小学校東の「田島弥平旧宅案内所」にしかありません。
お客さんの中には車椅子の方や高齢者、小さなお子さんなど、
さまざまな方がいらっしゃると思います。
私はどんな方でも利用しやすいバリアフリーな
トイレが望ましいと考えますが、どのような理由で
直近のトイレが仮設のままなのか、そして今後の対応は
どのように考えているのか市長のご所見をお伺いします。
以上で私の質問を終わりますが、
御答弁によっては再質問をさせていただきます。
(答弁)
・世界遺産の推薦にあたり、文化庁から周囲の景観は
変更せず現状維持するように指導があった。
・そのためトイレ等の建設はできないので仮設となった。
・駐車場には多目的(バリアフリー)トイレを整備した。
・今後は県や国の指導を受けながら対応したい。
(解説)
・世界遺産のトイレが仮設トイレでは、あまりにひどいと
思い質問しました。
・周囲の景観を変更できないということですが、今後は
なんとか工夫して、多くの見学者に対応できるように
して欲しいと思います。
議会では色々な質問の形式があります。
その中で一般質問は、市の所管する事なら、
自由なテーマで質問できます。
伊勢崎市議会の場合、
一年の中で定例会が4回あります。
そして、議員一人当たり
年間2回ほど一般質問の順番がまわってきます。
伊勢崎市の場合、一般質問は
持ち時間40分の中で質問し、
市長からの答弁も40分の中で行います。
今回は、まもなく世界遺産に登録される予定の
富岡製糸場に関連した田島弥平旧宅と
旧宅がある島村地区について質問しました。
田島弥平旧宅も、世界遺産になる予定です。
(質問と答弁概要)
私の質問とその解説、及び質問に対する
市長・教育長の答弁の要旨などをご報告します。
これは私のメモを元にしたのもなので、
正しい議事録は、後日ネットにも公開されますので、
そちらで御確認下さい。
************************************************
会派「政経クラブ」を代表して、
通告に従い質問させて頂きます。
世界遺産と島村地区について質問いたします。
1 世界遺産と島村地区について
(1)田島弥平旧宅の保護
境島村地区の田島弥平旧宅が、
まもなく世界遺産として登録される見込みです。
伊勢崎市民にとりまして、たいへん喜ばしい出来事であり、
これまで取り組んでこられた関係者の皆様の
御努力に敬意を表します。
世界遺産について定めた「世界の文化遺産及び自然遺産の
保護に関する条約」の目的は、「文化遺産及び自然遺産を
人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から
保護し、保存するための国際的な協力及び援助の体制を確立
すること」となっております。
今年5月に、私が田島弥平旧宅を訪問したところ、
残念なことに世界遺産を構成する敷地内の建物の屋根が
何箇所も損傷していました。
これでは世界遺産制度の目的から外れてしまいます。
人類共通の財産を預かる地元自治体の責任として、
しっかりと保全・復旧に取り組まなくてはなりません。
田島弥平旧宅の損傷について市では具体的に
どのように把握しておられるのか、それを県や国へ
どのように伝えてあるのかお尋ねします。
(答弁)
・田島弥平旧宅敷地内の別荘、桑場の屋根や下屋に
損傷がある。
・2月22日に文化庁へ棄損届け提出した。
・2月に文化庁が視察に来て、応急措置として
落ちかかっている瓦などを取り除いた。
(解説)
「世界遺産」制度の第一の目的は貴重な遺産を
人類共通の財産として守ることです。
現在、壊れている部分がありますので、しっかりと
保全していけるように確認の質問をしました。
(2)文化財保護法上の管理者と費用負担
田島弥平旧宅は、現在個人所有でありますが、
法的な管理責任者及び修復の際の費用負担は
どのようになっているのでしょうか。
また今後の管理体制及び復旧についてはどのように
していく予定であるのかお尋ねします。
世界遺産を見に訪れるのは、伊勢崎市民だけではありません。
富岡製糸場でも見学料を徴収していることから、
今後は田島弥平旧宅の管理においても、市の支出を全て
伊勢崎市民の負担でまかなうのでなく、見学者から
受益者負担として見学料やパンフレットの資料代等を
適切に徴収することや、寄付の受け入れ態勢も
検討する必要があると考えますが、
市長のお考えをうかがいます。
(答弁)
・田島弥平宅は個人の所有なので見学料はとらない。
・富岡製糸場などはパンフレット代をとらないので、
伊勢崎市もとらない。
・所有者は個人だが、文化財保護法上の管理責任者は
伊勢崎市となっている。国の史跡なので費用の50%は
国の補助、15%は県から補助金が来る。
(解説)
・世界遺産が個人の所有物というのは、珍しいと思います。
しかし、維持管理していくには巨額の費用がかかります。
どのように維持管理を行うのか、法的責任者を確認する
とともに、費用負担についても確認しました。
(3)景観重要建造物の指定と補助制度
島村地区には大型養蚕農家が多数あり、世界遺産に
ふさわしい景観を形成していますが、この景観は
積極的に保全しなければ失われてしまいます。
伊勢崎市では「景観まちづくり条例に基づき、
「境島村景観重点区域」を定め、
新規の建物の建築や改築を規制しています。
しかし現状では、建物の取り壊しには
なんら制限がないようです。貴重な大型養蚕農家群を
保全していくためには、同条例に基づく「景観重要建造物」
の指定を行っていくことが必要と考えますが、
現状と今後の対応についてお伺いします。
また、景観重点区域の皆さんには、良好な景観を
保全するという公共的な目的に御協力していただく
わけですから、住民の生活を制限するだけでなく、
建物の建設や改築に当たっては、高崎市のように
何らかの公的助成制度を伊勢崎市にも整えることが
必要であると考えますが、市長のお考えをお伺いします。
(答弁)
・景観重要建造物の指定を受けると、所有者は建物の
外観を自由に変更できなくなる。
・島村地域の特徴ある景観を守っていくには、所有者の
同意を得ながら、国土交通省の基準に合う建物は
景観重要建造物として指定できるようにしたい。
・補助制度は、先進自治体の取り組みを研究する。
(解説)
・世界遺産の近くは「緩衝地帯」として、雰囲気が
失われないように保護されています。
・伊勢崎市では条例により建物の新築と改築は制限して
いますが、現状では取り壊すことには制限がありません。
・地域にある大型養蚕農家群は、独特の貴重な景観であるので、
その建物が失われないように保全することが大事です。
・そのためには「景観重要建造物」としての指定が必要なので、
市の対応について確認しました。
・増改築を制限するだけでは住民にメリットがありませんので、
高崎市のように、景観に配慮した外観にしていただく場合は
なんらかの補助金を出す制度が必要と思います。
(4)県境を越える景観の保全
世界遺産登録推薦書では、田島弥平旧宅を中心に、
県境を越えて本庄市内にも緩衝地帯が設定されています。
この緩衝地帯を守るためには本庄市と連携して
景観を保全していかなければなりません。
現状では本庄市に景観条例が無いため、この地域には
埼玉県の景観条例が直接適用されています。
本市の条例と比較してそん色ないか、そして今後の
埼玉県及び本庄市との連携についてお伺いします。
(答弁)
・世界遺産を守る緩衝地帯の区域及び環境を守る規制は、
イコモスの調査により適切と評価された。
・伊勢崎市側は条例により厳しく守っている。
・本庄市側は埼玉県の条例で特定課題対応区域に定め
伊勢崎市側とそん色なく守っている。
・富岡市など2県、5市町の協議会を通じて、
今後も連携を図っていく。
(解説)
・田島弥平旧宅は群馬県伊勢崎市内にありますが、
それをとりまく緩衝地帯の一部は、埼玉県本庄市も含みます。
・本庄市側は、世界遺産のすぐ近くにあり、大型養蚕農家の
建物も含んでいます。
・伊勢崎市側だけでなく、連携して地域の景観を守って
いけるように確認の質問をしました。
(5)文献資料等の保存
平成24年第5回市議会における山越議員の質問に対し、
「建物も重要でありますけれども、それ以上に
残っている文献等を初めとする資料をどう保存するか、
このことを考えるべき」という市長答弁がありました。
その後文献等の資料はどのような保存法方が
とられるようになったのか尋ねします。
また、「群馬県立日本絹の里」とはどのような連携を
図っているのか、あわせてお尋ねいたします。
(答弁)
・未調査の資料が約2千点ある。
・資料は田島弥平旧宅の母屋の二階に保存してある。
・資料の整理保存は、関係機関の助言・指導を受けながら
すすめていく。
(解説)
・建物ばかりでなく、書類や本を印刷した版木、
顕微鏡などの資料もしっかりと保存できるように
確認の質問をしました。
・せっかく県立の絹文化を研究する機関がありますので
しっかりと連携を取っているか確認しました。
(6)島村地区のまちづくり
今まで島村地区の伝統的な建物や景観を大切
守ってこられた地域の皆様にとっては、
世界遺産も大事ですが、地域での生活も大事です。
この両立を図って行く事が重要と考えます。
現在、田島弥平旧宅を活用したまちづくりを総合的に
推進するため「伊勢崎市境島村まちづくり推進会議」を
設置し、地元住民手作りの「境島村まちづくりビジョン」
の策定を目指しているそうですが、
それらの進捗状況をお伺いします。
(答弁)
・推進会議の中に女性部会も作りビジョン骨子ができた。
・本年度にビジョン確定をめざしている。
・本年度住民説明会を3回開き地域との連携を図っている。
(解説)
・世界遺産ばかりでなく、地元の住民のみなさんの
生活をしっかりと守り、調和を図っていくことも重要なので、
それを確認するための質問をしました。
(7)パンフレットの充実
島村地区を紹介するパンフレットは複数ありますが、
パンフレットによって掲載されている大型養蚕農家
がまちまちで、抜け落ちている場合もあります。
島村地区の住民の方には広い敷地の除草をしたり、花を植えたり、
よそからの訪問者に親切に対応して頂いています。
自分の家の情報がパンフレットに正しく掲載されて
いるか否かは当事者にとっては大問題であり、
もし抜け落ちていれば一生懸命協力しているのに
大変なショックであろうと拝察いたします。
今年5月に島村地区で行われた世界遺産の地元説明会では、
この問題を指摘する厳しい意見が複数の住民の方から出され、
私は大変重要な問題と受け止めました。
これから島村地区にある田島弥平旧宅が世界遺産の
認定を受け、住民の皆さんが生活されていく中で、
周囲の環境も含めて保全して頂くためには、
地元の皆さんのご理解とご協力が欠かせません。
行政と住民の方との信頼関係を築いていくには、
団体との協働だけでなく、パンフレットに掲載されている
お宅一軒一軒のみなさんとの、コミュニケーションと
確認作業の積み重ねが大切と考えますが、
市長のお考えをうかがいます。
(回答)
・パンフレットの地図は地元の団体が作成したもの。
・パンフレットの作成は、地元の住民の方と作った。
・パンフレットを更新する際に、修正したい。
(解説)
・地元の代表の方や、団体代表の方といっしょに
パンフレットを作ることは大事です。
・しかしそれだけでなく、実際に自分の家がパンフレットに
掲載されりるお宅には、市職員が直接訪問して、
掲載希望の有無や、内容の確認などをして
信頼関係を作っていくことが大事と考え質問しました。
(8)織物文化の保持
田島弥平旧宅の保全と伊勢崎市の織物文化の
関係についてお伺いします。大正から昭和にかけて、
伊勢崎銘仙は全国的に大流行しました。
着物と言えば「銘仙」でした。
今年四月の読売新聞によれば、銘仙の一種である
「伊勢崎絣」を製造し、弟子を育成されている方が
「伝統技法は一度失われたら取り返しがつかない。
50年後100年後も伊勢崎の織物が残るように
務めたい。」と語っていました。
世界遺産として田島弥平旧宅の建物や資料が残れば
良いと考えるのか、それとも伊勢崎銘仙の伝統技法も、
あわせて後世へ伝えようと考えるのか、今その
分かれ道にきていると思います。市の判断と
今後の対応についてお伺いします。
(答弁)
・イベントで機織の実演をしたり、解説をしている。
・今後はホームページに掲載するなどしたい。
(解説)
・糸から銘仙を織り上げるまで、沢山の工程があり、
それぞれ専門の職人さんがいたそうです。
・今80歳以上の方は、実際にそのようなお仕事をされ、
お話をうかがうことができます。
・その貴重な知識・経験・技術を、なんとか残せないか
という思いで質問しました。
(9)トイレの整備
多くの来訪者を迎えるに当り、トイレがきちんと整備
されていることは最も重要な事であります。
「島村蚕のふるさと公園」駐車場のトイレはきれいに
整備されましたが、田島弥平旧宅直近のトイレは
集落センターの建物の陰に仮設トイレが3基置いてあるだけです。
先日、島村地区を訪問した際にある住民の方から
「世界遺産のトイレが仮設ではみっともない」と御意見を
いただきました。これから世界遺産に認定された場合、
直近のトイレが工事現場のような仮設トイレでは
私も恥ずかしく感じます。
これ以外の来訪者用トイレは、田島弥平宅から
徒歩5分以上かかる「島村蚕のふるさと公園」と、
境島小学校東の「田島弥平旧宅案内所」にしかありません。
お客さんの中には車椅子の方や高齢者、小さなお子さんなど、
さまざまな方がいらっしゃると思います。
私はどんな方でも利用しやすいバリアフリーな
トイレが望ましいと考えますが、どのような理由で
直近のトイレが仮設のままなのか、そして今後の対応は
どのように考えているのか市長のご所見をお伺いします。
以上で私の質問を終わりますが、
御答弁によっては再質問をさせていただきます。
(答弁)
・世界遺産の推薦にあたり、文化庁から周囲の景観は
変更せず現状維持するように指導があった。
・そのためトイレ等の建設はできないので仮設となった。
・駐車場には多目的(バリアフリー)トイレを整備した。
・今後は県や国の指導を受けながら対応したい。
(解説)
・世界遺産のトイレが仮設トイレでは、あまりにひどいと
思い質問しました。
・周囲の景観を変更できないということですが、今後は
なんとか工夫して、多くの見学者に対応できるように
して欲しいと思います。