
東京大学法学部大学院・金井利之教授に、
東大生が地方自治についてインタビューした記事を多田が要約しました。
概ね私も同意見です。
(地方創生について)
・日本全体の人口減少ははっきりしているのに、
国の「地方創生」戦略のせいで自治体は移住者の奪い合いになっている。
・自分のところに移住してほしいと、個々の自治体が
ミクロ的視点で行動するのは当然ですが、
ある自治体が移住者を増やしたら、他のところは困ります。
・「地方創生」は、マクロを考えるべき国の政策としては間違っています。
ミクロとマクロの視点を取り違えている。
・政権としても「地方創生」は店仕舞いを始めたようです。
(国はなにをすべきか)
・自治体も含め政府部門は、経済ではなくて、
人々の生活をどう維持するかを考えるのが仕事。
・政策で地方を活性化させることはできなくても、
公共サービスを維持することはできる。
公共サービスを維持して地域社会で人々が暮らしていけるならば、
結果として、そこに一定の需要が生まれます。
そういう意味で、政府部門によってある程度の需要創出ができて、
経済が循環する場合はあります。
(消費税)
・消費税増税を延期するような政権は話になりません。
公共サービスのための増税の意味を理解しない国民も問題。
・ミクロ的には増税は嫌に決まってるけれども、
個々が嫌がってることを社会共通の利益をマクロ的に考えて
どうやって決定するかが公的な意思決定。
個々が好き勝手やるのであるならば、それは市場経済の世界です。
(地方自治体の役割)
・公共サービスの維持が基本ですが、困難になってきているのが最大の課題。
・すでに公共事業の時代は終わったので、社会保障をすること、
そのためにどうやって税金を取ってくるかをガバメントが考えるべき。
・道路や橋の維持が大変になっていきます。本当に危機的で深刻です。
・人口は減るしお金もないし、税金もとれていないけれど、
それでも意思決定は行わなければならない。
「地方創生」のように、外国人観光客が増えましたとか、
そんな浮かれた話をしている場合ではないのです。
・ある程度の取捨選択はして行くにしろ、最低限維持していかなければならない。
そのためにどうして行くべきかを考えて行くのが自治体の役割。
・自治の話は、全然楽しい話にはなりません。
地方自治に関心のある若者は、「自分の地域を活性化させたい!」とか
バラ色のことを考えているかもしれませんが、
大体の自治はバラ色ではなく、イバラです。
・浮かれてないでまじめにやってくれ、と言いたいです。
少子化、介護難民・独居老人の増加、インフラの老朽化が進む東京も、
オリンピックなどをやっている場合じゃないのです。
オリンピックはやれば楽しいけど、
マクロ的に言えば、そんなことやっている暇はない。
他にやらなければいけないこといっぱいある。
(余計なことはするな)
・国政に余計なことをやらせないことも大事です。
政策を批判してやめさせるというとネガティブに思う人も多いみたいですね。
建設的でないとか、批判ばかりで提案がないとか。
すぐそういう短絡的な話が出てきます。
しかし、すべきでないこともあります。
マイナスのことはしない方が良いのです。