自治体の首長には、たんに政治家であるだけでなく
「信念」「哲学」が必要です。
本日PHP研究所が開催したシンポジウムに参加しました。
同じ会派の馬庭議員も一緒です。
以下、ご報告します。
「地域主権時代の自治体トップマネジメントを問う」
~マニフェストの実践過程をどうデザインするか~
講演 藤沢市長
パネリスト 新潟市長、越前市長、高萩市長
コーディネーター 荒田PHP総研主席研究員
PHPによれば、このシンポジウムの目的はつぎのとおり。
自治体首長に求められる地域経営能力を「首長術」と捉え、
これからの地域リーダーのマネジメントのあり方について、
意欲的に地域経営に取り組む現役首長を交えて、
その実践を共有・発信して参ります。
今回は、ローカル・マニフェストを首長術推進の羅針盤と捉え、
マニフェスト(公約)の遂行局面で、その成否を左右すると考えられる
諸課題について議論を進めます。
本日の論点
・首長術(自治体経営)の観点から見たマニフェストの位置づけ
・マニフェストと規定計画(総合計画等)との調整、変換のあり方
・政策体系の中での関連施策相互の進捗管理のあり方
・議会への説明責任をどう果たすか
・市民との情報共有をいかに進めるか
・マニフェスト評価を、だれがどう行うか
1 藤沢市長の基調講演
自分は市議を16年やって市長になった。
107項目のマニフェストを書いたが、マニフェスト大賞はとれなかった。
理由として、元三重県知事の北川さんから、市の総合計画と市長のマニフェストと
どちらにしたがったらよいか職員が混乱すると指摘された。
振り返ってみると、自分は総合計画の委員だったが憶えていない。
市職員も、総合計画のキャッチコピーさえ憶えていない。
理由を考えた。多くの自治体がコンサルタントに総合計画の作成を
依頼して出来上がったものを受け取るからだ。
これではいけないと考え、従来の作り方を改めた。
これまでは、市役所が一方的、画一的に作成した。
新しいやり方は、市内を13地区に分け、予算、権限も配分。
それぞれの地域やコミュニティが作成し、活用できる計画を作った。
市民の意見を取り入れる工夫として、討論型世論調査を取り入れた。
(多田の感想)
自治体の総合計画は、役所が作るものと思っていたが、
地域や市民が作ると聞いて、目から鱗。
これなら、市職員が憶えていないどころか、
市民がよ~く憶えていて、実行も任されています。
2 パネルディスカッション
・首長術(自治体経営)の観点から見たマニフェストの位置づけ
(新潟)政令市に合併する時に市がマニフェスト作った。
(越前)マニフェストは、毒にも薬にもなる。
マニフェストは「ベクトル」。方向性と優先順位示す。
国の影響が大きすぎて、自治体レベルで財源示せない。
(高萩)マニフェストには、財源、指標、期限を示す。
市民との契約である。
(司会)政治家の掲げたマニフェストは、行政に組み込まれ、
そして市民のものになる。
・マニフェストと規定計画(総合計画等)との調整、変換のあり方
(新潟)総合計画の計画年数と、市長の任期が合っていないので直した。
(越前)合併し新市が出来たので、市長のマニフェストと市の
総合計画は一致している。
今の日本の閉塞感を打ち破るマニフェストにしたかった。
松下幸之助の言葉:人間が行き詰まるのは真理からはずれた時。
それは自分さえよければという考えや、目先の利益など。
絶対に今やらなければならないことをやりたい。
(高萩)総務省のガイドラインでは総合計画は10年とされている。
当市は盲従しており、市長のマニフェストと整合していない。
・政策体系の中での関連施策相互の進捗管理のあり方
(新潟)3月に部長を集めマニフェストを示し、実行できるか確認。
4月にはどのように実施するかレポートを出させて管理・評価。
部長のレポートは公開しているので市民との約束である。
4半期ごとに部長から報告し、年1回外部評価する。
(高萩)就任後、土地開発公社と住宅公社の負債返済の道筋つけた。
以前の問題だが、責任を取って市長の給与カットした。
・議会への説明責任をどう果たすか
(越前)議会1週間前には、議案をよく説明する。パブリックコメントの前にも
議会へ説明する。
(新潟)議会は、最終決定権有るので責任もあると思う。
・市民との情報共有をいかに進めるか
(新潟)マニフェストを作る前に、市民に現状を伝えなければならない。
住民に対する情報量を上げていくことが政策の質を上げる。
(越前)市内を17小学校区に分け、自律活動用に1億円配っている。
地域自治の場合、住民代表と議員との関係は今後の課題。
(高萩)市民との相互通行のツールはメールやハガキなど8種類ある。
・マニフェスト評価を、だれがどう行うか
(新潟)まず内部評価、次にJCなどの外部チームの評価。
行政が都合のいい情報だけ出してもだめ、全部出せ。
・その他 マニフェストに書いてなかったことに、どのように対応するか
(新潟)新潟県と政令市である新潟市が合併する新潟州構想浮上。
他の政令市地域の先鞭になる。準備には数年かかる。
県や市町村の足腰を強くする前に、都道府県合併だけしてもだめ。
3 会場からの質問
(多田)市長のマニフェストを実行する上で、行政職員の
モチベーションや意識が重要。しかし、今の役所では
年功序列人事のため、能力のない者が部課長になることもある。
能力のない管理職は降格させる必要があると考えるが、
どのように人事マネジメントと行っているか?
(新潟)部を横断するプロジェクトでは、40代の生きのいい職員でやる。
部長クラスを並べて議論してもダメ。
女性を係長にする登用率は目標を掲げている。課長以上は枠はない。
(越前)職員年齢のちょうど中間は48才。上下同じ人数がいる。
あと10年で半数の職員が退職するので中堅職員の育成が課題。
年功序列だけでなく、優秀な職員は55才前に抜擢する。
降格処分もしたことがある。
(高萩)人事観は、信賞必罰、適材適所。降格も何回かやった。
人材力アップは、組織の活性化、専門性の向上、適材適所。
新人は3年で異動。中堅は4~5年。幹部は随時異動。
40才までに全ての部を経験するようにしている。
大学院にも行かせている。
(多田感想)
私は公務員の意識改革のためには、年功序列人事でなく
能力による幹部職員の登用と、能力不足の管理職の降格が
必要と、かつて修士論文で指摘しました。
幹部職員を降格させることは、首長にとっても辛いことですが、
先進的と評価されている越前市長、高萩市長は実行されていました。
驚きと同時に、私の研究は正しかったと感じました。
(私の論文要旨は、三菱総研のホームページにも掲載して頂いてます。)
立派な市長さんは、目に輝きと力があります。
自分の自治体を支えてリードしていくのだという
気概と信念、そして言葉からは哲学を感じます。
P.S.
会場で元厚木市職員で、仕分け人仲間の片山清宏さんに会いました。
現在、市を退職し松下政経塾31期生。シンポの受講と手伝いでした。
いい顔をしていました。
志を持った、政治家になって下さい。
「信念」「哲学」が必要です。
本日PHP研究所が開催したシンポジウムに参加しました。
同じ会派の馬庭議員も一緒です。
以下、ご報告します。
「地域主権時代の自治体トップマネジメントを問う」
~マニフェストの実践過程をどうデザインするか~
講演 藤沢市長
パネリスト 新潟市長、越前市長、高萩市長
コーディネーター 荒田PHP総研主席研究員
PHPによれば、このシンポジウムの目的はつぎのとおり。
自治体首長に求められる地域経営能力を「首長術」と捉え、
これからの地域リーダーのマネジメントのあり方について、
意欲的に地域経営に取り組む現役首長を交えて、
その実践を共有・発信して参ります。
今回は、ローカル・マニフェストを首長術推進の羅針盤と捉え、
マニフェスト(公約)の遂行局面で、その成否を左右すると考えられる
諸課題について議論を進めます。
本日の論点
・首長術(自治体経営)の観点から見たマニフェストの位置づけ
・マニフェストと規定計画(総合計画等)との調整、変換のあり方
・政策体系の中での関連施策相互の進捗管理のあり方
・議会への説明責任をどう果たすか
・市民との情報共有をいかに進めるか
・マニフェスト評価を、だれがどう行うか
1 藤沢市長の基調講演
自分は市議を16年やって市長になった。
107項目のマニフェストを書いたが、マニフェスト大賞はとれなかった。
理由として、元三重県知事の北川さんから、市の総合計画と市長のマニフェストと
どちらにしたがったらよいか職員が混乱すると指摘された。
振り返ってみると、自分は総合計画の委員だったが憶えていない。
市職員も、総合計画のキャッチコピーさえ憶えていない。
理由を考えた。多くの自治体がコンサルタントに総合計画の作成を
依頼して出来上がったものを受け取るからだ。
これではいけないと考え、従来の作り方を改めた。
これまでは、市役所が一方的、画一的に作成した。
新しいやり方は、市内を13地区に分け、予算、権限も配分。
それぞれの地域やコミュニティが作成し、活用できる計画を作った。
市民の意見を取り入れる工夫として、討論型世論調査を取り入れた。
(多田の感想)
自治体の総合計画は、役所が作るものと思っていたが、
地域や市民が作ると聞いて、目から鱗。
これなら、市職員が憶えていないどころか、
市民がよ~く憶えていて、実行も任されています。
2 パネルディスカッション
・首長術(自治体経営)の観点から見たマニフェストの位置づけ
(新潟)政令市に合併する時に市がマニフェスト作った。
(越前)マニフェストは、毒にも薬にもなる。
マニフェストは「ベクトル」。方向性と優先順位示す。
国の影響が大きすぎて、自治体レベルで財源示せない。
(高萩)マニフェストには、財源、指標、期限を示す。
市民との契約である。
(司会)政治家の掲げたマニフェストは、行政に組み込まれ、
そして市民のものになる。
・マニフェストと規定計画(総合計画等)との調整、変換のあり方
(新潟)総合計画の計画年数と、市長の任期が合っていないので直した。
(越前)合併し新市が出来たので、市長のマニフェストと市の
総合計画は一致している。
今の日本の閉塞感を打ち破るマニフェストにしたかった。
松下幸之助の言葉:人間が行き詰まるのは真理からはずれた時。
それは自分さえよければという考えや、目先の利益など。
絶対に今やらなければならないことをやりたい。
(高萩)総務省のガイドラインでは総合計画は10年とされている。
当市は盲従しており、市長のマニフェストと整合していない。
・政策体系の中での関連施策相互の進捗管理のあり方
(新潟)3月に部長を集めマニフェストを示し、実行できるか確認。
4月にはどのように実施するかレポートを出させて管理・評価。
部長のレポートは公開しているので市民との約束である。
4半期ごとに部長から報告し、年1回外部評価する。
(高萩)就任後、土地開発公社と住宅公社の負債返済の道筋つけた。
以前の問題だが、責任を取って市長の給与カットした。
・議会への説明責任をどう果たすか
(越前)議会1週間前には、議案をよく説明する。パブリックコメントの前にも
議会へ説明する。
(新潟)議会は、最終決定権有るので責任もあると思う。
・市民との情報共有をいかに進めるか
(新潟)マニフェストを作る前に、市民に現状を伝えなければならない。
住民に対する情報量を上げていくことが政策の質を上げる。
(越前)市内を17小学校区に分け、自律活動用に1億円配っている。
地域自治の場合、住民代表と議員との関係は今後の課題。
(高萩)市民との相互通行のツールはメールやハガキなど8種類ある。
・マニフェスト評価を、だれがどう行うか
(新潟)まず内部評価、次にJCなどの外部チームの評価。
行政が都合のいい情報だけ出してもだめ、全部出せ。
・その他 マニフェストに書いてなかったことに、どのように対応するか
(新潟)新潟県と政令市である新潟市が合併する新潟州構想浮上。
他の政令市地域の先鞭になる。準備には数年かかる。
県や市町村の足腰を強くする前に、都道府県合併だけしてもだめ。
3 会場からの質問
(多田)市長のマニフェストを実行する上で、行政職員の
モチベーションや意識が重要。しかし、今の役所では
年功序列人事のため、能力のない者が部課長になることもある。
能力のない管理職は降格させる必要があると考えるが、
どのように人事マネジメントと行っているか?
(新潟)部を横断するプロジェクトでは、40代の生きのいい職員でやる。
部長クラスを並べて議論してもダメ。
女性を係長にする登用率は目標を掲げている。課長以上は枠はない。
(越前)職員年齢のちょうど中間は48才。上下同じ人数がいる。
あと10年で半数の職員が退職するので中堅職員の育成が課題。
年功序列だけでなく、優秀な職員は55才前に抜擢する。
降格処分もしたことがある。
(高萩)人事観は、信賞必罰、適材適所。降格も何回かやった。
人材力アップは、組織の活性化、専門性の向上、適材適所。
新人は3年で異動。中堅は4~5年。幹部は随時異動。
40才までに全ての部を経験するようにしている。
大学院にも行かせている。
(多田感想)
私は公務員の意識改革のためには、年功序列人事でなく
能力による幹部職員の登用と、能力不足の管理職の降格が
必要と、かつて修士論文で指摘しました。
幹部職員を降格させることは、首長にとっても辛いことですが、
先進的と評価されている越前市長、高萩市長は実行されていました。
驚きと同時に、私の研究は正しかったと感じました。
(私の論文要旨は、三菱総研のホームページにも掲載して頂いてます。)
立派な市長さんは、目に輝きと力があります。
自分の自治体を支えてリードしていくのだという
気概と信念、そして言葉からは哲学を感じます。
P.S.
会場で元厚木市職員で、仕分け人仲間の片山清宏さんに会いました。
現在、市を退職し松下政経塾31期生。シンポの受講と手伝いでした。
いい顔をしていました。
志を持った、政治家になって下さい。