耐用年数を超えた水道管の更新 １６０年かかります

昨年度の決算審査の２日目。
私が最も心配している水道事業について質問しました。

大災害で、電気や水、都市ガスなどが止まると
生活に大きな支障が生じます。
それゆえ「ライフ・ライン」と呼ばれます。

もし、災害でもないのに、
管理が不適切だったせいで水道が止まったら、
市民生活は大混乱です。

実は伊勢崎市を含め多くの自治体で、
老朽化した水道管の交換が遅れており、
このままでは、時限爆弾のように
近い将来あちこちで水道管に穴が空き、
使えなくなってしまう危険性が高まっています。

今使っている鉄の水道管の寿命は４０年ですが、
多くの自治体でそれを越えたまま、
交換工事が追いついていません。

遅れている一番の理由は、
工事する「予算がない」から。

住民や市町村長さんにとって
水道料金の値上げは嫌なことです。
できれば避けたい。

ですが、水道管は地面の下にあって、
目立たないのをいいことに
先延ばし先延ばしを続けていけば、
将来あちこちで水が噴き出し、
一度に多額の工事費が必要になることは明らかです。

私としては、今さえ良ければ良いという
先延ばしはやめて、
必要なら水道料金を値上げして、
必要な水道管の交換工事をきちんと進めて、
安定した水の供給を続けることが
一番市民のためになると考えています。

このような問題意識のもと、
本日、水道事業について質問しました。
私の懸念が現実のことだと良く分かりました。


要点をご報告します。

（質問１）
　水道事業の財務は「資本的収支は基本的に赤字であり、
　それを収益的収支の黒字で補う構造である」と理解してよいか？
　（水道は初期の設備に多額のお金がかかる装置産業です）

（答弁）　そのとおり。



（質問２）　
　経営比較分析表では、
　「管路の更新は大きな課題であり更新投資を増やす必要がある」
　と分析しているが、昨年度はどのように取り組んだのか？
　そのペースで更新すると、完了するまで何年かかるか？

（答弁）

　（老朽管＝耐用年数４０年を超えた菅）

　経年化率＝１９．７％
　　　　　　全水道管の中の耐用年数を超えた菅の割合

　更新率＝０．６２％　（６％ではありません）
　　　　　菅全体の中で年度内に更新をした率　

　昨年度中に耐用年数を超えた老朽管が増えた距離＝３１km

　耐用年数を超えた菅の合計＝２６９．６１km

　昨年度中に老朽管を更新した距離＝約３km

　全部を更新するのにかかる年数＝１６１年



（質問３）
　経営比較分析表では、
　「水道料金以外の収益に頼らず健全な経営を維持していくために、
　　適正な水道料金の見直し等の検討もしていきたい」と書かれています。

　昨年度行なわれた第３回「水道事業経営戦略等検討委員会」では、
　「一般的に水道施設の資産の約７割が管路で～（中略）～
　　資産の更新時期に定期的に料金値上げをする必要性が生じます」

　「更新が足りていないというこごは良くわかりました。
　　伊勢崎市に余力がない状態であれば料金値上げが必要となって
　　きます」という意見が出されました。

　それらを受けて水道料金の値上げについてどのように考えましたか？


（答弁）
　水道料金の値上げについては、本年度の３月まで行う
　「水道事業経営戦略等検討委員会」の投資財政計画で検討中である。



（多田再質問）
　耐用年数を超えた菅の更新に１６０年もかかるという
　いまのスローペースでは、将来老朽管に穴が空き大変なことになる。
　この更新のペースについてはどのように考えているか。
　必要であれば料金の値上げもすべきではないか？

（答弁）
　工事の財源については経営戦略等検討会議の中で検討する。



（多田コメント）
・すでに耐用年数を超えた菅が約２７０kmもあります。
・さらに一年で３１km増えています。
・更新できた老朽管は一年で約３km。
・水道管の寿命は４０年しかないのに、４０年を超えている
　水道管をすべて交換するのに１６０年以上もかかる。
・このままでは近い将来、とんでもないことが間違いなく起きます。

・工事が遅れる理由が予算不足なら、市の予算の優先順位を変えるべき。
・伊勢崎市は、住宅リフォーム補助金やプレミアム商品券を配る以前に、
　水道管の交換工事を着実に進めるべきです。
・必要なら水道料金の値上げもすべき。