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「科学的特性マップ」は原発推進の隠れ蓑か

2017年08月24日 | 東日本大震災・原発事故
 7月に公表された最終処分場の特性マップについて、世耕経産相は「重要な一歩であり長い道のりの一歩だ」と述べたが、むしろ問題解決の道程から遠ざかったのではないか。

 日本の沿岸部の大半は「輸送面でも好ましい」という緑色に塗られた。「日本で最終処分場のメドをつけられると思うほうが楽観的で無責任すぎる」という小泉元首相の批判に対し、安倍政権は「科学的有望地はある」と反論してきたが、半年以上遅れて出てきた緑色だらけのマップには失笑を禁じ得なかった。



 ここで、東通村から階上町までの沿岸部が緑色になったことに注目したい。核のゴミに関して、六ヶ所村と日本原燃・再処理機構との間の「再処理中止なら施設外搬出」という『覚書』と、県知事・政府間の「最終処分場にしない」という『確約』が原子力政策を縛り続けているが、地元側が自発的に受け入れることまで制約していない。経産相も「約束を前提に」とだけ述べて断定はしていない。

 報道によると、マップ公表後、全国からの手挙げを待つとともに、複数の自治体に調査への協力を求めていくという。しかし、青森県以外のあらゆる自治体において、受け入れを考慮すべき理由は見当たらず、「最後は金目」という従来の手法も今後は通用しない。

 全くの想像だが、複数自治体への調査依頼というのが、隠されたシナリオの元で出される牽制球のようなもので、ボールは最後に青森県に戻ってくるのではないかと考えている。

 最終処分場への埋設が科学的に可能だと仮定しても、学術会議の「総量規制、乾式貯蔵・暫定保管と国民的議論」という提言を無視したままでは、マップ公表は批判を封じて原発再稼働を進めるための弥縫策と判断せざるを得ない。

 責任は原発を推進した国にあるが、問題の本質を先送りする政府に解決は期待できない。北欧型市民社会を例外とすれば、最もあり得る解決策は、強権的監視社会の実現ではないか。

(青森県保険医新聞掲載)

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