踊る小児科医のblog

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仰木監督を殺したのは「球界」ではなく「タバコ」

2005年12月29日 | 禁煙・防煙
東奥日報コラム「天地人」2005年12月29日(木)に、次のような一節がありました。
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新生オリックスの仰木彬・初代監督が逝って半月。がんが全身をむしばんでいたことを知っていた元西鉄の同僚の豊田泰光さんが書いた追悼文は悲痛だ。「70歳の彼を監督に引っ張り出した球界を恨む。新しい人材を発掘、育成してこなかった…死は殉職でもあった」。
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先日亡くなった仰木監督の死因がどの記事にも記載されていなかったので、おかしいなと思ってネット上で調べてみたところ、得られた情報はいずれも「肺がん」で、しかも喫煙者であったとの情報もあり、かの名監督もタバコの犠牲者であったことはどうやら間違いなさそうです。

70歳といえば一昔前なら早死にとは言えないかもしれませんが、今では平均寿命に遠く及びません。仰木監督も元気であれば、まだまだイチローのような選手の発掘育成など球界で大きな仕事を果たせたに違いありません。

英国医師の長期調査によると、喫煙者は70歳で半数の方が亡くなっているのに対し、非喫煙者で亡くなっているのは2割にすぎません。しかも、平均寿命が延びているのは非喫煙者だけで、喫煙者の平均寿命はほとんど延びていないということもわかっているようです。(手元に正確な情報がないので伝聞ですが)

仰木監督も「二人に一人」のうち悪い方に入ってしまったわけです。豊田泰光氏が恨んでいるのは、おそらく肺がんで闘病中であることがわかっているにもかかわらず再度監督を引き受けざるを得なかった状況についてだと思いますが、しかし真に恨むべきはタバコであり、それを放置して売り続けているJTと国であり、タバコの害に対して無知で無頓着であり続けたスポーツ界、ことに喫煙率の高いプロ野球界であるべきでしょう。(そういう意味で球界を恨むなら話はわかりますが)

また、仰木監督や元大関貴乃花のような壮絶なタバコ病死を、全くタバコの害と関連づけて報道せずに、上記のような美談追悼記事を垂れ流しているマスコミの責任も重大であると言わざるをえません。

仰木監督だけでなく、今年また新たに亡くなった10万人以上のタバコによる犠牲者を悼み、来年こそJTと国にこの真実を認めさせ、タバコ規制政策の大転換を起こさせる年にしなければという想いを強くしています。

私一人の力は限られていても、県内や全国やネット上で連携できる多数の方たちの力を合わせていけば必ず山は動きます。必ず最後に愛は勝つ、最後に正義が勝つことはわかっているのですが、その“最後”をできるだけ早めなければいけません。