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踊る小児科医のblog

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当面8日まで接種見合わせ 肺炎球菌とヒブワクチン

2011年03月05日 | 予防接種
8日に厚労省の検討会が開催されるため、それまで「念のため、接種を一時的に見合わせる」という通知が昨夜遅くに出されました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/kinkyu/2r98520000013zrz.html

別添(PDF:101KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/kinkyu/2r98520000013zrz-att/2r98520000013ztw.pdf

これまで、過去の予防接種行政への見直し作業が続けられてきたところでした。
現状で、日本脳炎の時のようにそのままズルズルと実質的に中止になるような判断材料はなく(日本脳炎の時もそうだったはずなのですが)、検討会には信頼できる専門家も加わっていますので、適切な判断が下されるものと思われますが、その結果を待ってまたお知らせします。

本来なら、検討会の結果を受けて接種をどうするかの通知がだされるべきところを、その作業がなされる前に、(厚労省事務方の判断で?)「見合わせ」とされてしまったため、一般の方に「非常に危険なワクチン」という不安感をあおる結果となり、「再開」へのハードルが高くなってしまいました。

今回の件でワクチン後進国から更に後退するような状況にならないよう、適切な判断を求めたいと思います。

予防接種の副反応についての一般的な見解については、昨晩書いた一つ前の記事をご覧下さい。

新たに加わった3例目(川崎)、4例目(京都)について、上記PDFファイルに情報が掲載されていますが、4例目は複雑な先天性心疾患があり、3例目については情報がほとんどありませんが、接種後3日経っていることから関連性はさほど強くないものと推測されます。

3)川崎 6ヶ月未満 女児 基礎疾患不明 接種後3日で死亡
4)京都 6ヶ月以上1歳未満 女児 先天性心疾患 接種翌日死亡

肺炎球菌のロット番号は全例で共通ではなく、その他のワクチンについてもまちまちであることから、特定ロットに限った問題とは言えないようです。当院では肺炎球菌、ヒブ、三種混合ワクチンの該当ロットは使用しておりませんが、肺炎球菌の4例目と同じ未使用の在庫が確認されています。

★ワクチン接種後に2人の幼児が死亡したという報道について

2011年03月05日 | 予防接種
*この文章は厚労省による「ヒブと肺炎球菌ワクチンの一時見合わせ」命令が出る前に書いていたものですが、内容についての判断は現在も変わりませんのでそのまま掲載します。*

兵庫県で2日続けて予防接種の翌日に幼児が亡くなったということが報道されています。
親御さんの気持ちを察するに余りあります。ご冥福をお祈りしますとしか書くことができません。
現在、情報の収集と事態の推移を見守っている段階ですので、明らかなことは何も言えませんが、ワクチンに関して一般的なレベルの知識を持つ小児科医の判断として、現時点でのコメントをさせていただきます。
(多くの小児科医は同じように考えているはずだと思われます)
今後、新たな情報によって判断が異なってくる可能性があることをあらかじめおことわりしておきます。

<情報の簡単なまとめ>
1)宝塚市 2歳男児 ヒブ+肺炎球菌 翌日死亡 基礎疾患あり(心疾患) 因果関係不明 直接の死因については「容態が急変」としか報道されていません
2)西宮市 1歳女児 三種混合+肺炎球菌 翌日死亡 基礎疾患なし 死因不明(呼吸停止状態で発見:いわゆる突然死)

2例目については保健所からのプレスリリースがあります(抜粋)
3月1日 小児用肺炎球菌ワクチンとDPTワクチンを接種
     夜中に39℃の発熱
3月2日 午前9時過ぎ 接種医療機関を受診
     軽度の咽頭扁桃発赤のみで全身状態良好
     午後1時半頃家族が呼吸停止に気づく
     救急車到着時、心肺停止状態
     午後2時56分、死亡確認

この2例に共通する肺炎球菌ワクチン「プレベナー」のワクチン製造番号はいずれも「10G-03A」と伝えられています。
当院では「10G-03A」の接種例はなく、在庫もありません。

「厚生労働省医薬食品局安全対策課によると、ヒブワクチンをめぐっては、昨年11月に0歳の男児が接種後に死亡した例があるが、小児用肺炎球菌ワクチン接種後の死亡例はないという。」(報道より引用)

→このヒブワクチン後の死亡例については、厚労省の検討会でも「因果関係は不明」であり、今回公費助成が始まった子宮頸がん予防(HPV)、ヒブ、肺炎球菌の3ワクチンについて「安全性に重大な懸念はない」という判断が2月に出されたばかりでした。

<ワクチン接種との因果関係は?>

一般にワクチン接種と症状との間に因果関係があるかどうかの判断は、接種後30分以内のアナフィラキシーのような典型例を除くと非常に難しく、明確に判断できない場合が多いのが通常です。

2例目(西宮)は接種当日の発熱について関連の可能性はありますが、翌日朝の受診時に「全身状態良好」であったのに、その後2-3時間で突然死を起こしていることが、前日に接種したワクチンによるものだと「因果関係を断定」することはまずあり得ないと考えられます。

1例目(宝塚)は複数の基礎疾患があるようですので、原疾患、重症度、症状、経過など主治医でないと判断できないことが多いので、ここでは触れません。おそらく、基礎疾患が影響していたことは間違いないと思われますが、それに対してワクチン接種がどの程度関与していたかは、報道されているように「不明」としか言えません。

ただし、いずれの場合で「因果関係が断定」されなくても、「因果関係を否定」することはできず、ワクチン接種が死亡に関係していた可能性がある点については慎重に受け止めなければいけません。
医学的な原因究明は今後進められていくことになるはずですので、その結果を待ちたいと思います。

今回は複数のワクチンが接種されているため、必ずしも共通の肺炎球菌ワクチンが原因だと断定することも難しいかと思われます。

<紛れ込み事故とは>

以下は一般論としての「紛れ込み事故」についての解説です。
もし、今ここに100万人の大人がいたとしたら、そのうちの何人かが明日死亡したとしても不思議に思う人はいないでしょう。
現在、毎年ほぼ100万人の赤ちゃんが生まれており、毎年いくつもの予防接種を受けています。三種混合のように接種回数の多いものだと、年間のべで3~400万接種が実施されている計算になります。
(今回のヒブや肺炎球菌も同じ回数必要です)

もしワクチンを接種していなくても、基礎疾患のある子どもだけでなく、感染症の急性増悪(ウイルス性心筋炎など)や、まだ診断されていなかった先天的な疾患、そして原因がわかっていない乳幼児突然死症候群(SIDS;現在年間150~200人が死亡;タバコが最大のリスクファクター)、SIDSと診断されない突然死などにより、少ないとは言え毎日ある程度の数の子が亡くなっていることも事実です。

その中に、たまたまワクチンを接種してから数日以内に亡くなったような場合があれば、たとえ医学的に見て因果関係が低いと思われても、関連が否定できない場合には「疑わしきは救済」の原則にのっとって被害の認定をしています。ワクチン接種による副反応と認定された中には、本当の副反応と、ここに書いたような「紛れ込み事故」の両方が含まれていることになり、その両者を厳密に分けることはできません。

ですから、実はほとんどのワクチンで、百万~数百万接種に1人くらいの死亡を含む重篤な副反応が認定されているのですが、それくらいのレベルが、紛れ込み事故を含んでも接種していない場合と比べて安全性に問題がないと判断されるかどうかのラインとなるようです。

今回の個々の例について、紛れ込み事故であったのかそうでないのかは、専門家による判断にゆだねられますのでここでは触れません。

<今後のワクチン接種の継続は>

今回の共通のロット番号「10G-03A」のワクチンについては、この状況であれば回収されることになる見込みです。ここまでは間違いないでしょう。
(↑3/5追記:3・4例目は違ったロット番号のため、特定ロットだけの問題とは言えないかと思われますが、おそらく当該ロットは回収になるものと思われます)
ファイザー社の肺炎球菌ワクチン「プレベナー」は、日本だけでなく世界中の多くの国で接種されているワクチンであり、「10G-03A」以外のワクチンについて現時点で接種を見合わせる判断はできないと考えるのが普通です。
もし見合わせるのであれば、日本だけでなく世界中で接種を中止しなくてはいけない理屈になるからです。
以上については、今後の情報を待ちたいと思います。

<同時接種が悪いのか>

これまで世界各国で各種の同時接種が行われてきましたが、それによってリスクが高まるという報告はありません。それぞれのワクチンのリスクそのものだということであり、相乗的にリスクが高まるということは医学的にみて考えにくいことです。
これは、サイコロを何回振っても、たとえその前に「1」が何回続いたとしても、次のサイコロの目が「1」になる確率が1/6であることは変わらないということと同じです。

<接種した方が良いのか?>

ヒブワクチン(アクトヒブ)や肺炎球菌ワクチン(プレベナー)は輸入ワクチンで、世界各国で接種されてきて、細菌性髄膜炎を過去の病気と言えるほど劇的に減らしてきたワクチンであり、副反応についても上記のような「安全性」(=ゼロリスクではなく紛れ込み事故を含めて明らかなリスクの差がない)が認められてきたという経緯があります。

あらゆるワクチンは、リスクとベネフィット(有益性)を比較して、後者の方が圧倒的に大きい場合に接種が推奨されます。現在導入されているワクチンは、そのような判断で認められたものですので、現時点でその判断を根本から変えなければならないという根拠はありません。

通常認められる「紛れ込み事故を含めて百万~数百万例に1人」というレベルは、上記のサイコロで表すと「1」が8回連続して出る確率(167万9616分の1)に相当します。
該当の「10G-03A」のロットについて狭い地域で連続して死亡例が出るという事態は、紛れ込み事故を含めたとしてもこの確率を大きく超えることが予想されますが、これを他のロットを含めた肺炎球菌ワクチン全体、あるいはヒブワクチンも含めて、非常に危険なワクチンと感情的に断定することは避けるべきと思われます。

その点で、我が国の政府とマスコミは非常に脆弱で頼りにならないものだということはこれまでも何度も痛い目に遭わされてきてわかっていますので、今回も国民に冷静かつ科学的な情報の伝達が行われることはあまり期待できないのが実情です。

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2幼児死亡、ワクチン製造番号が同一 兵庫・宝塚と西宮 2011.3.4 11:23
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110304/crm11030411250016-n1.htm
 小児用肺炎球菌ワクチンなどの予防接種を受けた兵庫県の幼児2人が死亡した問題で、2児が接種した同ワクチンの製造番号がいずれも同じだったことが4日、分かった。厚生労働省は死亡と接種の因果関係について調査を始めた。
 同県宝塚市では、市内の男児(2)が2月28日に細菌性髄膜炎などの予防目的で小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンを接種し、翌日死亡。西宮市では、市内の女児(1)が今月1日、小児用肺炎球菌ワクチンと破傷風などを予防する三種混合ワクチンを接種、翌日死亡した。
 厚生労働省によると、小児用肺炎球菌ワクチンは東京の大手製薬会社から昨年2月に発売され、今年1月末までに約215万人が接種。死亡した2児が接種したワクチンは昨年10月に製造されたという。
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ヒブ・肺炎球菌・HPVワクチン 2月より無料接種開始

2011年02月01日 | 予防接種
 細菌性髄膜炎を予防するインフルエンザb型菌(Hib:ヒブ)と肺炎球菌(小児用)、子宮頸がん予防のHPVワクチンの3種類が、2月から無料で接種できるようになりました。 <別紙参照>→PDF1 PDF2
 階上町は2月1日から、八戸市は2月23日から接種開始となります。

 当院では同時接種は従来通り2種類までとします。生後2ヶ月からヒブと肺炎球菌の同時接種でスタートして、間に三種混合とBCGをはさみながら進めていくと、早ければ6ヶ月までに一通り接種を終えることができます。
 別紙に示したスケジュールは一例ですが、生まれた月によって春秋のポリオ集団接種が入ってきたり、風邪などで予定がずれたりすることがありますので、一人一人相談しながらスケジュールを組んでいくことになります。

 今回の接種は、予防接種法で定められた定期接種ではなく任意接種の扱いとなり、期間も2012年3月末までの限定となっていますが、2012年度から定期接種に組み入れることができるよう厚労省で検討が進められているとろです。
 この他にも、水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜ、B型肝炎などの定期化も要望しており、同じく厚労省の委員会で検討対象になっていますが、2012年に一緒に定期接種に入ってくるか、まだわからない状況です。

 なお、小児用肺炎球菌ワクチンは9歳まで接種することが可能ですが、今回の無料化は4歳までで、5歳~9歳には適用されません。
 また、八戸市・階上町以外の県内市町村や県外の子でも委託接種ができるようになるのかなど、現時点で詳細について情報がなくお伝えできません。
 わからないことがあればお尋ね下さい。

1)子宮頸がん予防HPVワクチン

 対象者  中学1年生~高校1年生(相当)の女性
      高1の子は3月末までに1回でも接種すれば、4月以降(高2)
      も残りの回数を無料で接種することができます(今年度限り)
 接種回数 3回(初回、1ヶ月後、初回の6ヶ月後)  ※筋肉注射です

2)ヒブ・肺炎球菌ワクチン

 対象者  2ヶ月~4歳
 接種回数 ヒブと肺炎球菌はほとんど同じですので同時接種をお勧めします

<ヒブ>
 2ヶ月~6ヶ月  初回3回+追加1回
 7ヶ月~11ヶ月  初回2回+追加1回
 1歳~4歳    1回

<肺炎球菌>
 2ヶ月~6ヶ月  初回3回+追加1回
 7ヶ月~11ヶ月  初回2回+追加1回
 1歳       2回
 2歳~4歳    1回

(院内報より)

不活化ポリオワクチンの早期導入を求める

2011年02月01日 | 予防接種
 ポリオはまだ世界から根絶されておらず、ワクチンの接種は必要です。生ワクチンは長年の実績のある効果の高いワクチンですが、年に1人程度の麻痺が生じています(危険性は変わってません)。

 他の先進国では不活化ワクチンが導入されており、私たち小児科医も早期切換えを要望してきましたが、まだ目処が立っていません。

 国内の一部の医療機関で個人輸入の不活化ワクチンが接種され始めています。当院では今のところ不活化ワクチン接種の予定はありませんが、今後、国の対応状況もみながら検討していきたいと思います。

(院内報より)

ヒブ(Hib)・肺炎球菌・HPVワクチン無料化へ…

2010年12月28日 | 予防接種
 いまの日本で起きている「3つの格差(国の内外/都道府県や市町村/家庭の収入レベル)」によって、子どもに必要な予防接種が平等に受けられないのは、この国の政治や行政、社会のありかたの「貧しさ」に起因するものです。

 医療保険に入れない国民が3千万人以上いるという「あのアメリカ」でも、全ての子どもが日本よりもはるかに多い予防接種を無料で受けられるのです。

 県内の全市町村議会に対し、昨年度[ヒブと高齢者用肺炎球菌ワクチン]と今年度[小児用肺炎球菌と子宮頸がん予防HPVワクチン]の2年にわたって自治体助成の陳情を提出し(文面は私が起草)、八戸市などいくつかの自治体で採択され実施されました。それに加えて、国レベルでは髄膜炎の患者団体や医療団体による働きかけが効を奏し、補正予算でヒブ・肺炎球菌・HPVワクチンの「無料化」が実施されることになりました(来年度まで限定)。

 ただし、現時点では詳細について未決定の事項が多く、注意が必要です。

 ここに来て出てきた情報では、全額助成(無料化)ではなく、9割分を国が1/2・市町村が1/2助成するというものです。残りの1割はどこに消えたのか?

 おそらく多くの市町村では、その1割を市町村が負担する(国45%・市町村55%)ことになるものと予想されますが、一部の自治体で1割分を患者自己負担としたり、高額所得者を除外するという事態が生じないか懸念されます。

 この「9割助成」については、何がしたいのか意味不明で、何の根拠もない「官僚の作文」と考えられます。私もコレを見たとき目が点になりました。

 実施されるのは早くても今年度末か来年度からと予想され、それまで待つか悩ましいところですが、0~1歳児には子ども手当を活用して接種開始することをお勧めします。(院内報より)

日本脳炎2期(9歳~12歳)が再開されました 1期未終了者も接種できます

2010年12月28日 | 予防接種
 日本脳炎の2期が接種できない状態が続いていましたが、11月から接種可能となりました。対象年齢は9歳~12歳までで、接種は1回になります。

 1期の3回が終了していることが条件になりますが、1期が終了していない方は9歳~12歳の間に1期の残りを無料で接種することができます。7歳半~8歳の子には特例措置が適用されないので9歳になるまでお待ち下さい。この年齢の子にも救済措置が実施されるはずなのですが、まだ決まっていません。

 接種スケジュールなどがわかりにくい場合はお問い合わせ下さい。

日本脳炎1期 3歳~7歳半 2回+1年後に1回
    2期 9歳~12歳  1回 (1期未了者は9歳~12歳に1期接種)

(院内報より)

子ども手当で予防接種を

2010年07月17日 | 予防接種
 本来ならば諸外国と同じように国が無料で接種すべき必要なワクチンが、国内では全額自己負担となってしまうため、接種率が上がらず流行が放置されているというのが日本の実態です。現在子どもに実施されている予防接種の中では、ヒブ(Hib)、肺炎球菌、水痘(みずぼうそう)、おたふくかぜ、HPV(子宮頸がん予防)、インフルエンザ(新型を含む)、B型肝炎(国内では家族内感染予防のみ、諸外国では全員)が任意接種で自費となっています。

 当院における接種価格で計算すると(B型肝炎以外)、
  0歳  ヒブ×3、肺炎球菌×3 39000円~48000円
  1歳  ヒブ、肺炎球菌、水痘、おたふく 26500円~29500円
  中学生 HPV×3 42000円
  合計  10万7500円~11万9500円 になります(女の子の場合)。

 これに加えて、インフルエンザワクチンを毎年2回接種すると15歳までに約10万円となり、合わせて約20万円の費用がかかることになります。

 子ども手当が6月から支給開始になり、「バラマキだ」という批判も一部にあるようですが、前政権において欧米先進国に比べて子どもに対する支出が極端に少ない状態が続いていたのですから、ある程度の増額は当然のことです。しかし、現金給付と現物給付(医療・保育・教育など)のバランスを考えずに、現金だけ支給するのではバラマキと批判されても仕方ありません。

 毎月13000円の子ども手当で、1年で15万6000円、15年で234万円になります(…それまで続いていれば)。国が全ての予防接種を無料にするまでにはまだしばらく時間がかかると思われますが、それまで待つのではなく、この子ども手当の一部でお子さんの健康と命を守るワクチンをプレゼントすることは、最も有効で優先順位の高い使い道だと言えます。

(院内報より)

予防接種の「3つの格差」解消を要請 全自治体議会へ陳情

2010年07月17日 | 予防接種
 現在、どの子どもも平等であるはずの健康と命を守る予防接種について、次のような「3つの格差」が生まれています。

 1)国内外の格差:諸外国では無料で接種できるが日本では有料
 2)自治体間の格差:県や市町村により費用の助成(全額/一部)がある
 3)家庭による格差:親の収入により接種できたりできなかったりする

 接種費用が高額となる子宮頸がん予防HPVワクチンへの助成は、山梨県では全市町村で5000円の助成(小6と中3)が決まるなど全国の自治体に広がっていますが、県内では西目屋村(小6と中1に全額)のみに留まっています。

 昨年、県内全自治体の議会にヒブワクチンと高齢者用肺炎球菌ワクチン助成の陳情を提出し、八戸市など一部の自治体で採択され助成が実現しました。今年も8月に八戸市議会議員との懇談会を実施し、HPVワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの助成やタバコ問題、地域医療の問題などについて意見交換し、議会での採択を目指したいと思います。

(院内報より)

日本脳炎の「勧奨」は3歳~7歳半まで

2010年07月17日 | 予防接種
 自治体の広報や案内には、日本脳炎ワクチンの「3歳児への接種勧奨を再開した」と記載されていますが、実際には3歳から7歳半(90ヶ月未満)までの子は全員接種できます。追加接種を実施年齢内に終わらせるためには6歳半までに接種開始する必要があり、7歳半を過ぎた子には、今のところ救済措置がないため、全額自費の接種になってしまいます。国は早期に救済措置を実施すべきです。厚労省委員会で第2期(小4)の接種にも新しい細胞培養ワクチンを使用できるという合意が得られていますが、実施は秋以降になりそうです。

(院内報より)

小児用肺炎球菌ワクチン(PCV7「プレベナー」)接種開始

2010年04月01日 | 予防接種
 細菌性髄膜炎を予防するワクチンと言うと、これまでお伝えしていたヒブ(Hib:インフルエンザ菌)があるじゃないかと思われるかもしれませんが、ヒブの次に主要な細菌である肺炎球菌のワクチンが、世界から大きく遅れてやっと国内でも接種できるようになりました。ヒブと肺炎球菌を合わせると細菌性髄膜炎の9割を防ぐことができ、中耳炎や副鼻腔炎の減少も期待されます。

 接種の必要性(細菌性髄膜炎は早期診断が困難で死亡や後遺症の率が高く、抗生剤耐性菌が増えて治療が難しくなっている点)や、接種時期・回数などはヒブと同様ですが、若干異なる点もあるので別にまとめて表にしておきます。高齢者用とは全く異なるワクチンで、助成もなく全額自費になります。1回9000円と高額になりますが、納入価が高いのでこれでも全国最低レベルになるはずです。

 三種混合やヒブとの同時接種は可能ですが、3種類の同時接種は実施しないことにします。三種混合と同時接種の場合は8000円になります。

→最近のワクチン情報まとめ(別表PDF)

(院内報より)

ヒブ (Hib) と高齢者肺炎球菌ワクチン:八戸市で一部助成

2010年04月01日 | 予防接種
 昨年、県内全市町村に青森県保険医協会で助成の陳情を議会に提出し、夏には八戸市議会議員と懇談会を開催して私からワクチンの必要性について説明したところ、9月議会で採択され新年度の予算に組み込まれました。予想よりも少ない1回2000円の助成になってしまいましたが、ヒブワクチンは4回必要であり高額になるため、少しでも接種率の向上に繋がることが期待されます。

 助成実施は7月からになります。なお、ヒブワクチンは予約してもすぐに入荷する状況にないので、お早めにご予約ください。高齢者の肺炎球菌ワクチンもこの機会に接種できるようにしますので、ご家族でご希望の方はどうぞ。

(院内報より)

日本脳炎ワクチンは一体どうなってるのか?

2010年04月01日 | 予防接種
 結論から言うと進展はなく、従来型の製造が終了してしまったのに、I期を従来型で接種した子が新しいワクチンでⅡ期の接種をすることができない状態が続いています。Ⅰ期が未接種のまま7歳半を過ぎた子の救済措置もまだです。現在できるのはⅠ期初回(2回)と追加接種(1回)です。Ⅰ期追加はⅠ期初回(2回)を新しいワクチンで接種した子のみになります(7月以降)。

(院内報より)

来シーズンのインフルエンザ予防接種は?

2010年04月01日 | 予防接種
 以前書いた予想通り、「新型」がこれまでのAソ連型にかわって組み込まれるため、4回接種ではなく例年と同じ2回接種で済むことになりました。今後、「新型」指定が解除されて季節性と同じ扱いにならないと、今シーズンと同じような混乱要因が残ることになりますが、そこまで議論が進んでいないようです。予防接種法が今国会で改正され、「新型」ワクチンは新しく設けられた「臨時接種」(勧奨のみの自費接種)という分類になる予定です。夏までに、その後のワクチン情報についてはまとめてお伝えします。

(院内報より)