青森県弘前市のリンゴ農家木村秋則氏の畑では、化学肥料や農薬を
一切使わない自然農法によるリンゴ作りをしている。
そのリンゴは美味しい、腐らない「奇跡のリンゴ」として評判となり、
販売と同時に完売となってしまう。
リンゴは病害虫に弱く、農薬に頼らないと栽培は不可能とされていた。
氏は、かつて農薬を使っていたが、農薬によって皮膚がかぶれたことを
きっかけに農薬を使わない栽培を始めた。
ところが、一向にリンゴは実らない。
6年目の夏、絶望した氏は死に場所を求めて岩木山を彷徨っていた。
そこで目にした山の木が、害虫も病気も少なく元気に育っていることに
気が付いた。
山の環境と土を再現すればリンゴが実るのではと希望が湧いてきた。
畑をできるだけ自然の状態に近づけるために、あえて雑草を伸び放題
にして、土を踏み固める大型機械は使わない。
するとそこには豊かな生態系が生まれ、益虫も繁殖するため害虫の
被害も広がらない。
そして8年目の春、リンゴの花が畑一面に咲き、豊かな実りが約束された。
木村氏が山の土を再現して、スポンジのように柔らかい土作りが奇跡の
リンゴを実らせたように、薬も注射も必要のない健康な身体作りは、
生命力・免疫力を引き出し、できるだけ自然に則した生活をすることだ。
病気とは、「自然に戻りなさい」という天からの警鐘であり、
決してマイナスではない。