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NHK 【クローズアップ現代+】 森友“改ざん”問題 問われる公文書管理 2018.4.4

2018-04-05 23:08:36 | 森友学園疑惑

森友“改ざん”問題 問われる公文書管理 - NHK クローズアップ現代

2018年4月4日 

森友学園に関する財務省の公文書改ざん問題。3月27日に佐川前国税庁長官に対する証人喚問が行われたが、全容の解明には至っていない。今回、NHKでは、佐川氏が去年国会で行った904回の答弁を、改ざん前の文書や証人喚問と比較して検証するとともに、財務省の関係者らを独自に取材、改ざんが行われた背景に迫った。一方、公文書管理のあり方をめぐっては、新年度から、各府省庁で、改訂された文書管理規則の運用が始まっている。あらためて、その重要性が指摘される「公文書」。文書の改ざんはなぜ起きたのか、問題の深層に迫る。

出演者

  • 武田真一・鎌倉千秋 (キャスター)

森友“改ざん”問題 問われる公文書管理

社会に衝撃を与えた、森友文書の改ざん問題。改ざんは、誰の指示で、何のために行われたのか。NHKは、去年(2017年)2月から3月の、佐川前国税庁長官の国会答弁、904回を徹底分析。そこから見えてきたものは…。
さらに、改ざんの舞台となった財務省近畿財務局も独自取材。自殺した職員が所属した部署で何があったのか。

近畿財務局の元同僚
「組織がひずみを生じている。ゆがんできている。(男性職員は)自分の信念に反することを組織の論理でさせられてしまった。」

こうした中、一昨日(2日)防衛省が保存していないとしていた、陸上自衛隊のイラク派遣の日報が見つかる事態が発生。

小野寺防衛相
「今回確認された文書を見つけられなかったことは、おわび申し上げたい。」

公文書管理が問われる事態が相次ぐ中、国は、今月(4月)から管理の運用を見直す新たな取り組みを始めました。
民主国家としてのルールを逸脱した公文書改ざん問題。最新報告です。

公文書は、政策決定のプロセスを検証するための、国民共有の知的財産です。今回の改ざんは、まさにその民主主義の基盤を揺るがす行為です。

鎌倉:改ざんされたのは、学校法人森友学園の国有地売却に関する財務省の14件の決裁文書。元の文書から削られたり、書き換えられたりした部分、オレンジ色で示していますが、300か所以上に上ります。国と学園側の事前の価格交渉をうかがわせる記述や、安倍総理大臣の妻の昭恵氏や政治家の名前などが削除されていました。

この森友文書改ざん問題、いつ、誰が、何のために、誰の指示で、どのように行われたのか。このうち、いつ、誰がに関しては、財務省は去年2月から4月にかけて、財務省の理財局と近畿財務局の職員が行ったとしています。しかし、ほかの3つについては、先月(3月)末の佐川前国税庁長官への証人喚問でも明らかになりませんでした。
何のために改ざんは行われたのか。私たちは、財務省が改ざんのきっかけとなったとしている、去年2月から3月にかけての佐川氏の国会答弁に立ち返って、検証することにしました。

改ざん“何のために” 佐川氏答弁904回を検証

先週、行われた佐川氏の証人喚問。

改ざんにあたって、政治家の関与はないと明確に否定しました。

佐川宣寿氏
「官房や官邸等からのご指示もございませんで、本件は理財局の中で対応したということでございます。」

しかし、改ざんがなぜ行われたかについては、証言を拒否しました。財務省は、去年2月から3月に行われた佐川氏の答弁との整合性を取るために文書を改ざんしたとしています。
そこで私たちは、この間に佐川氏が国会で行った904回の答弁と、改ざん前の元の文書を比較して徹底検証。土地の売却の経緯などについての佐川氏の答弁は、改ざん前の記述におおむね沿ったものでした。一方、土地に関する事前の価格提示や、政治家に関する記録については、改ざん前の記述と食い違う答弁を繰り返していたことが分かりました。なぜ、文書は改ざんされたのか、その一端が見えてきました。削除された記述です。

“平成27年1月9日 近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える。”

佐川氏は、国会で次のような答弁をしていました。

佐川宣寿氏
「先方に具体的な貸付料とか条件について提示するということはございません。」

「貸付料の概算額を伝えていた」という記述。一方、佐川氏は「具体的な貸付料は提示していない」としていました。貸付料の概算額を巡っては、平沼赳夫氏や鳩山邦夫氏といった政治家の秘書との接触があったことも記されていました。

“鳩山邦夫衆議院議員秘書が近畿財務局に来局し「森友学園に示された概算貸付料が高額であり、何とかならないか」と相談。”

「秘書が来局した」という記述。一方、佐川氏は、政治家などとの接触について「記録はない」という答弁を、3回にわたって繰り返していました。
削除された記述には、安倍総理大臣の妻・昭恵氏が森友学園を訪問したことも書かれていました。

“平成26年4月 安倍昭恵総理夫人 講演・視察”

訪問への認識を問われた佐川氏の答弁。

佐川宣寿氏
「安倍昭恵様が幼稚園を訪問したという、ホームページに載っているというお話がありましたので、ホームページに載っている以上は誰か職員が見た可能性もございますが、子細には確認してございません。」

「講演・視察」という記述。一方、佐川氏は「確認していない」と答えていました。
検証の結果、削除された記述と食い違う答弁は、全部で44回。そのうち41回は、政治家などにつながる部分でした。文書が改ざんされた理由の1つに、政治家などへの意識があったことがうかがえます。

改ざん“何のために” 検証 佐川氏答弁

鎌倉:佐川氏は去年、「具体的な貸付料について提示していない」と答弁したことについて、先週の証人喚問で「不動産鑑定価格については伝えていない」と述べました。「政治家などとの接触の記録はない」と答弁したことについては、証人喚問で「記録を確認していなかった。答弁に丁寧さを欠いた」と証言しています。

今夜は3人の記者と共にお伝えしてまいります。
まず、佐川氏の答弁の検証に当たった社会部の加戸記者です。
佐川氏が元の文書と異なった答弁をしたのは44回。そのうち41回が政治家などにつながる部分だったわけだが、ここから何がうかがえる?

加戸記者:300か所に上る改ざんなんですけれども、その多くは、国有地取り引きの手続きや経緯に関する記述なんですね。ところが、佐川氏の国会答弁を分析しますと、こうした点についての国会での説明は、実は元の文書の記述におおむね即したものだったんです。つまり、改ざんしてまで答弁との整合性を取らなければならない理由が見当たらないんです。一方で、答弁内容と異なっていた記述は、そのほとんどが政治家などにつながる部分だったんです。このことから、改ざんは政治を強く意識して、国有地取り引きに政治が関与したのではないかという追及を避ける狙いがあったことがうかがえます。

財務省の官僚が、政治を強く意識する姿が浮かび上がってきたわけですけど、行政学を研究している専門家は、その背景には「これまで進められてきた政治主導の影響がある」と指摘しています。

東京大学 牧原出教授(行政学)
「(政治主導の)当初の改革で求められていたオールジャパンの政策決定の共同体というのは、もっと多角的に、各省も官邸もそれぞれの意見を戦わせて、合理的な決定を探ることにあったと思います。それが今回は、やはりできていないと思うんですよ。そういう意味で非常にいびつな形での各省と官邸との関係がつくられているように思われます。」

財務省を担当している経済部の大西記者。
今回の改ざんは、政治との関わりがあったのかという点に注目が集まっているが、財務省内では、どういう見方がある?

大西記者:財務省の内部調査では、その改ざんの核心部分というのは、まだ明らかになっていないんですけれども、これまで財務省がどういう説明をしてきたかなんですが、こちらをご覧いただきたいんですけれども、まず安倍総理大臣や麻生副総理兼財務大臣は「改ざんを指示したことはない」としています。安倍総理大臣自身も「指示は全くしていない」と、国会で答弁しています。

ただ、現職の財務官僚に取材をしてみますと、例えば改ざんの背景には、国会審議への影響を考慮したのではないかとか、政治への忖度(そんたく)があったのではないかという見方を話す人もいるんです。例えば国会審議への影響なんですけれども、去年の2月17日ですけれども、安倍総理大臣は「私や妻が関係していれば、総理大臣や国会議員を辞める」と発言しているんですけれども、そうした後に、政治家の名前ですとか、夫人の名前が書かれた決裁文書を国会に出すと、国会が紛糾するのは目に見えていまして、予算審議が滞ってしまうと、それを恐れたのではないかという見方を話している人もいるんです。財務省は、内部調査によって全ぼうを明らかにしたいとしているんですけれども、政治への忖度は本当になかったのか、誰がどういう指示で書き換えを行ったのか、国民の誰もが納得する説明というのが求められていると思います。

そして、政治部の吉川記者。
何のために改ざんしたのか。これは、与野党を超えて解明すべき問題だと思うが、それぞれ、どのように臨もうとしている?

吉川記者:与野党共に、真相の解明が重要だという点では一致しています。ただ、それに向けてのアプローチというところに違いがあります。与党側は「まずは、政府は検察の捜査に全面的に協力すべきだ」という立場です。また、それに合わせて財務省が徹底的に調査を行って、その結果を早期に国会に報告するよう求めています。一方の野党側ですけれども、「国会がより主体的に解明に取り組むべきだ」という立場です。安倍総理大臣夫人の昭恵氏や関係者のさらなる証人喚問を与党側に迫っているんです。

鎌倉:それでは、次のポイント。改ざんはどのように行われたのか。
改ざんの舞台となったのは、財務省の地方部局である近畿財務局です。財務省理財局の下で、森友学園への国有地売却に関する決裁文書を作成していました。関係者への取材から、近畿財務局が、当時、どのように改ざんに関わったのか、分かってきました。

公文書改ざん 近畿財務局で何が

近畿財務局の中で一体、何が起きていたのか。
改ざんに関わったとされる、近畿財務局の54歳の男性職員です。

先月、自ら命を絶ちました。関係者によると、自宅に残した数枚のメモにこうつづっていたといいます。

“上から調書を詳しく書きすぎていると言われた。書き直させられた。勝手にやったのではなく、財務省からの指示があった。このままでは自分一人の責任にされてしまう。冷たい。”

男性職員をよく知る、近畿財務局の元同僚です。亡くなった職員の職場での様子を聞いていました。

近畿財務局の元同僚
「(男性社員は)自分の信念に反することを、組織の論理でさせられてしまった。板挟みになって、非常に苦しんでいたと聞きました。」

男性職員は、平成27年7月、国有地などを管理する管財部に配属されました。役職は、上席国有財産管理官。当時は森友学園の担当ではありませんでした。学園側との交渉や決裁文書の作成に当たったのは、同じ部屋にいた上司と別の上席管理官。担当者が作成した文書には、学園を訪れたとされる政治家などの名前や交渉の経緯が詳しく記されていました。
近畿財務局の元同僚です。その背景には、異例の経過をたどった土地取引の記録を、当時の担当者が残しておきたかったのではないかと見ています。

近畿財務局の元同僚
「こういった特殊な事情があったから、こういうふうにしたんだと。本来的な責任は自分たちにはないんだということを示すというところはあったと。」

決裁文書の作成が終わった直後。人事異動で森友学園の担当になったのが、亡くなった男性職員でした。その後、国有地売却問題が国会で大きな議論となります。その直後の去年2月下旬。財務省理財局は、出先機関である近畿財務局に決裁文書の改ざんを指示します。関係者によると、改ざんの指示は、本省の理財局から男性職員の上司にメールなどで伝えられていたといいます。改ざんを命じられたうちの1人が男性職員でした。

近畿財務局の元同僚
「本省あるいは本庁が『こうしなさい』と言われれば、財務局のほうに反論する権限はないです。(男性職員は)筋が通らないことに、簡単に引き下がる人間ではなく、むしろ上司のほうを説得にかかる。(改ざんは)非常に抵抗があったと。」

男性職員が連日深夜まで残業する姿を複数の同僚が見ていました。去年8月、男性職員は親族に「自分の中の常識が壊れてしまった」と話し、その後、休職しました。先月2日、公文書改ざん疑惑が浮上。当初、財務省は「事実関係を直ちには確認できない」としていました。4日後、男性職員は近畿財務局を訪れます。その翌日、自宅で命を絶ちました。関係者によると、男性職員が残したメモには「このままでは自分一人の責任にされてしまう」と記されていました。メモには、佐川氏ら複数の財務省幹部の名前。そして、麻生財務大臣の国会での発言に疑問を呈する趣旨の言葉も書かれていました。
男性職員が亡くなった5日後、財務省は改ざんを認めました。

男性職員と30年以上つきあってきた友人です。官僚としての誇りを持っていた男性が、なぜ自ら命を絶ったのか考え続けています。

男性職員の友人
「あいつ正義感強いんですよ。そういうやつが死んだということは、何か深い霧が、ずっと深い奥があるような気がしてならないんですけど、辛かっただろうなとか、悔しかったんだろうなとか。」

公文書改ざん 真相究明は

この近畿財務局の取材で何が浮かび上がってきた?

加戸記者:取材した近畿財務局の職員の1人は「内部で何重にもチェックを受けて完成した公文書を改ざんするというのは、通常は到底ありえないことだ」と話しているんです。しかし、本省理財局の複数の職員が、財務局側にメールを頻繁に送って改ざんを指示していたということなんです。国会での矛盾を隠すために、公文書の改ざんという犯罪になりかねない行為を、本省が現場に押しつけていた実態が浮かび上がってきています。

この自殺した職員が残したメモには、麻生大臣に関する言葉があったということだが、具体的にはどういう言葉が書かれていた?

加戸記者:メモに書かれていたのは、今年(2018年)2月に、財務省が新たな内部文書が確認されたとして、国会に提出した際の麻生氏の答弁について書かれていました。男性職員は、答弁のどの点を指しているのかは分かっていませんが、あくまで自分の認識とは違うという趣旨の言葉を残していたということなんです。

財務省も調査をしているということだが、どこまで真相は明らかになっている?

大西記者:今、主席監察官らが中心になって、全省を挙げた調査をしているんですけれども、肝心のその指示系統、そこの事実確認というのが非常に難航していると説明しているんです。というのも、改ざんに関わった職員の聞き取り調査などでは、証言に食い違いがあるからなんです。財務省は内部調査の結果を、できるだけ早く公表したいとしているんですけれども、その時期というのは、検察の捜査が終わった後になる可能性が高いと見られているんです。

大阪地検も、森友学園の一連の問題の捜査を進めているが、どこまで明らかになる?

加戸記者:特捜部は一連の捜査の過程で、この決裁文書の改ざんを把握したということなんですけれども、改ざんが虚偽公文書作成などの罪に当たるかどうかを検討していると見られます。ただ、刑事責任を問えるかどうかについては、慎重な見方もあるんです。仮に罪に問えないと判断されれば、真相が明らかにならない可能性があるんです。検察の捜査に委ねるだけでなくて、国会も行政も並行して、真相解明に取り組むことが欠かせないと思います。

鎌倉:さて、公文書管理の在り方が改めて問われた今回の問題。去年から今年にかけて、防衛省や文部科学省、厚生労働省でも、公文書のずさんな扱いが明らかになりました。そうした中、今月から国は、文書管理の規則を改め、新たな運用を始めています。

問われる公文書管理

VTRは、一昨日の内閣府公文書管理課の映像ですが、新しい規則では、行政の意思決定が適正かどうか、後から検証できるようにするため、必要な文書は、原則1年以上保存するなどとしています。ただ、この新たな規則の検討を始めたのは、今回の改ざん問題が発覚する前でした。そのため政府は、公文書管理法の改正を含めて、管理の在り方を見直す考えを示しています。

安倍首相
「現在行っている調査・解明を踏まえ、さらに問題点を洗い出し、政府をあげての見直しを行っていく。」

今後の公文書管理の在り方について、専門家は次のように指摘しています。

内閣府公文書管理委員会 委員 学習院大学 井上寿一学長
「先進民主主義国は、どこでも自分の国がどういう国であったのか、きちんと検証するシステムがあって、国民が容易にアクセスできるようになっている。それが民主主義を強くすることにもなる。その点に関して、日本は見劣りしている。そこに根本的な問題がある。罰則規定を設けて、できるだけ、そういうことを抑制する。さらに第三者委員会・機関を設けて、より客観的にチェックすることも今後は考えていかなければいけない。」

公文書管理 何が問われているか

国も対策を取っているが、十分な効果は得られるのか?

吉川記者:直ちにこうした問題を防ぐ特効薬があるわけではありません。政府は当面、先ほどもありました、新しい規則の運用の徹底を図っていくと共に、文書の更新が行われた履歴のより厳格に管理できる、電子決裁システムへの移行の加速に取り組んでいく方針です。その上で、政府・与党はイラクの日報問題も含めまして、問題点を洗い出して、更なる再発防止策を検討していく方針なんです。ただ、当然ながら、いくらこのルールを厳しくしても、今回の改ざんの問題のようにルールが守られなかったら何の意味もないわけですね。ですので、失われたこの信頼の回復のためには、実効性のある再発防止策とともに、職員一人一人に公文書の重要性を再認識させる、そうした地道な取り組みが求められているというふうに思います。

今回の問題で改めて浮かび上がった、公文書管理の意義をどう考えればいい?

加戸記者:公文書は、政治や行政が信頼できるのか確認する重要な手だてで、私たち国民がどのような社会を求めるのかの判断にも大きく影響します。森友学園の問題も争点の1つとなった去年の衆議院選挙では、有権者は改ざんの事実を知らされないまま投票することになりました。今週明らかになった、イラク派遣の日報の問題も含めて、ほかにも隠されていることがあるのではないかとの疑念が膨らみます。私たち国民側も厳しい姿勢で政府や行政に公文書の管理を求めていく必要があると思います。

行政、政治への信頼を取り戻すために、真相の解明を続けていくことが求められています。

 

 

 


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