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教会・国家・平和・人権―とくに若い人々のために⑧ 同化政策

2015-05-05 17:07:04 | キリスト教 歴史・国家・社会

木下裕也先生の「教会・国家・平和・人権―とくに若い人々のために」記事を連載しています。

木下裕也木下裕也(プロテスタント 日本キリスト改革派教会牧師、神戸改革派神学校教師)

 

教会・国家・平和・人権―とくに若い人々のために⑧
 
同化政策


日本による朝鮮植民地支配のもうひとつの面は同化政策です。三・一独立運動の直後、天皇は詔書を出しますが、その中に「一視同仁」という言葉が見られます。朝鮮と日本とをかたよりなく、同じように見るという意味です。表向きは平等思想をうたっているように見えますが、実はこの言葉の中身は朝鮮の人々を無理やり日本人にしてしまうというものでした。同化政策とは朝鮮の人々から民族としての誇りを奪い、歴史や文化や言葉を奪い、皇国【注1】の民に仕立て上げるというものです。そのようにして朝鮮の人々の魂を抜き取り、朝鮮民族の存在そのものを消し去ることをねらいとしていたのです。

...

「一視同仁」の実体は、戸籍【注2】制度の中にはっきりあらわれています。朝鮮人に与えられた戸籍は朝鮮戸籍と言い、内地【注3】の日本人の戸籍とは別のものでした。そして朝鮮戸籍をもつ者は大日本帝国憲法の適用の外に置かれました。つまり日本「臣民」としての権利は与えられていなかったのです。

 

反面、朝鮮人はこの朝鮮戸籍に縛られていたため、たとえば日本以外の国に移り住むといったことも認められていませんでした。要するに、一視同仁とは朝鮮の人々を総督府【注4】のきびしい監視のもとに置き、義務だけを強いて権利は認めず、朝鮮の民を奴隷のように見なし、よいように使役するというものであったのです。この後、日本政府はこの朝鮮戸籍制度を利用して、朝鮮人を侵略政策と戦争の遂行のために奉仕させることにもなっていきます。

 

そのように、日本の朝鮮支配は武断政治と同化政策とが一体となったしかたでなされ、朝鮮の人々に大きな苦しみと痛みを与えました。自分の国の領土や歴史や文化、自分の話している言葉、さらに命までも理由なしに、不当なしかたで奪われるという状況を想像してみてください。当時の朝鮮の人々は、まさにそうした境遇にあったのです。

 

【注1】天皇が統治する国

【注2】家ごとに家族の名前、年齢、性別、続柄等を記した文書。古い時代の日本に見られた制度ですが、明治維新のおりにふたたびもうけられました。

【注3】国の領土のうち植民地として新しく得た土地以外の地。

【注4】植民地を統治するためにもうけられた役所

 

 

 


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