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<コスタリカ報告④>熱血先生の平和教育  伊藤 千尋

2017-02-14 00:10:20 | 立憲主義 民主主義

 伊藤 千尋さん    2月10日 

コスタリカ報告、熱血先生の平和教育

 首都郊外の丘にスラムのようなラカルピオ地区があります。ニカラグアからの移民、いえ経済難民がやってきてゴミ捨て場の一帯に勝手に家を建てて住み着きました。ブロックを積み重ねトタン板を屋根とした小屋のような家が連なる一角に幼稚園があります。女性園長のコンスエロ・バルガスさんは自ら志願してここに着任しました。コスタリカきっての熱血先生です。

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 この幼稚園には14人の先生と、4歳から5歳の364人の子どもがいます。ほとんどが隣のニカラグアから親に連れられてきた子たちです。父親は建築現場、母親はバーなどで働いています。シングルマザーの子が7割を占めます。この幼稚園の給食が一日で唯一の食事という子もいます。

 ニカラグアから来た移民にはゴミ箱にゴミを捨てる習慣がありませんでした。幼稚園ではまず子どもたちにごみの捨て方から教えます。いきなりコスタリカの習慣を押し付けるのでなくニカラグアの文化も尊重し、ニカラグアの祝日も祝います。そうして徐々に人間的な生活に引き込むのです。子どもの変化を見て親も変わり、夜間学校や職業訓練校に通う親が増えてきました。子どもの感情が安定すると親も育て方が暴力的でなくなります。家庭崩壊は子どもの健全化から回復するのだとバルガス先生は言います。

 国籍がどうあろうとコスタリカに住む子どもには国が教育、給食、教材費を出すのがこの国のあり方です。この子どもたちの費用もコスタリカ市民の税金でまかなっています。足りない分はNGOから援助を受けています。
 ただ勉強すればいいのではありません。コスタリカの教育が目指すのは、子どもたちが自分を確立し今後の人生を見据えることをバックアップすることです。子どもたちに目標を見つけさせ、自分自身が幸せになることを夢見るように教えています。

 バルガス先生がここで進めているのが「共に生きる教育」です。自分との平和、他人との平和、自然との平和の三つを掲げ、持続可能な発展を目指します。実践を通して仲間と共に生きる価値観を構築し、もめごとを平和裏に解決する方法を学びます。
 平和教育について、バルガス先生はこう語ります。
 「平和とはただ戦争がないだけを指すのではありません。周りの人々と力を合わせ平等で健康な環境のもとで共に生きていくことが平和です。コスタリカの学校では、まず自分自身の平和をどう築くかを学びます。何か葛藤を持っていても、それをポジティブに使えるようにします。自分が平和でないと他人に平和を与えられません。まず自分を平和にするのです。次に、他人を平和にするには相手の権利を尊重することが必要です。自分の存在が周りにメリットがあるようにするのが平和の基礎です。人はだれも自分たちが住んでいる世界に対する責任があります。自分だけでなくすべての人々に善をもたらすことが必要です」
 「たとえば気候変動です。私たちの行動の結果が気候に影響します。それが自分に跳ね返ってきます。私たちは一人ではなく、つながりあって生きているのです。すべての生き物と調和し自分の責任を感じながら守るべきことは守らなければなりません。共生する地域が広がれば、より大きな未来を創ることができます。子どもがよくなることで次世代、未来がよくなります」

 ここまで聞いて、僕は質問しました。今はヨーロッパの難民制限やメキシコ国境に壁を作ろうというトランプ米政権など世界が移民を制限しようとしているのに、なぜコスタリカはあえて大量の移民を受け入れるのでしょうか?

 バルガスさんは言います。「国境を閉じ移民を閉め出すのが正しい解決策ではありません。人間には住みたいところに住む自由があるべきです。コスタリカは大きな負担を払いながら、それを保証しています。そこでお互いが平和に暮らすには、移民した人もただ困っているからカネをくれという姿勢ではダメです。社会のお荷物になってはいけない。相手の社会の法律を尊重することが必要です。お互いが相手の文化を尊重することです」
 トランプに聞かせてやりたい!

 

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