http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KI0NM20150109?pageNumber=1&virtualBrandChannel=14298より転載
14年は国内年金勢が日本株最大の買い手、外人買い95%減
一方、海外投資家の買い越し額は1兆円に満たず、15兆円買い越した13年から95%減少。個人投資家は3兆円超の売り越しとなった。
<年金の国内株引き上げが寄与>
東京証券取引所と大阪取引所が9日に発表した14年の投資部門別売買状況によれば、信託銀行による日本株の現物と先物合計の売買は、2兆6708億円の買い越しとなった。13年には3兆5635億円の売り越しと個人投資家に次ぐ2番目の売り手だったが、14年は一転買い越しとなった。買い越しは3年ぶり。
信託銀行の売買動向は、その大部分を年金資金が占めるとされる。10月末には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用資産における国内株式の割合を12%から25%に引き上げており、今年10月に一元化が予定されている3共済とともに年金資金が流入したとみられている。かんぽ生命保険による株買い増しも寄与した。
野村証券・ストラテジストの柚木純氏は「15年も引き続き信託銀行が日本株の買い手を担う」とみる。野村証券の試算では、GPIFと3共済の資産ポートフォリオ変更に伴う日本株の買い需要は約13兆円。すべてが15年に流入するわけではないが、「14年と同規模以上の買い越しが見込める」(柚木氏)との見方を示す。
<海外勢は買い鈍化、個人は売り継続>
一方、13年に15兆円以上の買い越しとなった海外投資家は、14年には6967億円の買い越しにとどまった。米量的緩和の縮小(テーパリング)に加え、ウクライナ危機や米国によるイラク空爆、エボラ出血熱の感染拡大などがリスク許容度の低下を招いた。4月の消費増税に伴う国内景気の低迷も、買い手控えにつながった。
ドル建ての日経平均の年間パフォーマンスが13年末比5.7%減とさえなかったことも、海外投資家による日本株買いを鈍らせた。
個人投資家は、年間で3兆6337億円の売り越し。規模は13年の8兆4291億円から大幅に縮小したものの、14年の最大の売り手となった。投資信託も売り越しに転じた。「NISA(少額投資非課税制度)の開始によるプラス寄与よりも、たび重なる日本株の急落が、個人投資家の警戒姿勢につながった」と大和証券・投資戦略部マーケットアナリストの熊澤伸悟氏は分析した。
現物の株式委託取引に占めるシェアは、海外投資家が63.8%(13年は58.1%)、個人は26.4%(同32.1%)、信託銀行は3.8%(同3.5%)だった。
(杉山容俊 編集:田巻一彦)
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