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戦後70年間戦争に巻き込まれなかったのが一国平和主義だと言うなら模範である

2015-05-14 00:41:30 | 平和 戦争 自衛隊

 

戦後70年の課題と安保法制~山崎拓・元自民党副総裁に聞く(6)

15年5月8日10:07

 元自民党副総裁の山崎拓氏(近未来政治研究会最高顧問)に、安倍政権が進める新たな安全保障法制や戦後70年を迎えた日本の課題について、お聞きした。山崎氏は、中曽根康弘首相の官房副長官や、防衛大臣、自民党安全保障調査会長、外交調査会長を務め、外交・安全保障政策の分野の重鎮。

(聞き手・山本 弘之)

<わざわざ「血を流す」必要はない>

 ――自衛隊を海外に派兵することで、逆に日本の危険が高まるということですか。

 山崎 イラクのサマワに自衛隊を派遣したときのように、人道復興支援に徹すれば恨まれないけど、今度は海外派兵だから、戦争に巻き込まれる。
 しかも、サワマでも、人道復興支援でもPTSDになった自衛隊員は多い。ましてや戦闘行為に巻き込まれたら命にもかかわるし、自衛隊員は本当にたまらない。自衛隊員も国民だ。
 私は、外務省がけしからんと思うのは、外交のツールとして自衛隊という軍事力を活用しようとしていることだ。今まではODA(政府開発援助)がツールだったが、ODAの予算が足らなくなったので、軍事力をツールにしていこうということだ。

 ――自衛隊は、命まで外務省の外交の道具ですか。

山崎拓・元自民党副総裁 山崎 彼らは、背広を着ていて危ないところに行かないから。
 そもそも、安倍総理が「血を流す」という言葉をよく使う。非常に問題のある発言ですよ。「アメリカの若者は日本のために血を流すのに、日本の自衛隊はアメリカが攻撃された時に血を流さない」と本にも書き、「他国の青年が血を流しているのに、なぜ国際平和のために、日本の青年は血を流さないのか」と言うけれど、なぜ血を流す必要があるのかと反論したい。必要がない。自衛隊が参加すれば、血を流さないで済むとなればわかるけれど、そうはいかない。日本の自衛隊は勇猛果敢ですから、参加すればするほど血は流れる。
 「血を流す」という言葉を平気で使うが、血を流すのはお前じゃないではないか。血を流すのは自衛隊員じゃないか。だから、新たな安全保障法制の法律が通ったら、自衛隊に応募する人が少なくなると思う。独身の間に自衛隊に入っているけれど、妻帯者になったら奥さんが嫌がる。海外に行ったら戦闘区域周辺に行くから、その時点では戦闘区域ではなくても、事態はどんどん変わるので明日には戦闘区域になるかどうかわからない。今度の法律は、現時点では戦闘区域ではないところに派遣するが、戦闘区域になったら撤退するとなっている。しかし法律はどんどん変わる。時の政権によってどんどん強化されて、死ななきゃいけないことになっていく。少子高齢化が進行しているときにどうして自衛隊員が集まりますか。今まで戦地に行かなくて良かったから、集まったんだけど。

 ――集まらなくなれば、逆に日本の防衛が危うくなる?

 山崎 自衛隊員が足らなくなれば、そうなる。今、海外に出す余った自衛隊員がいるということは錯覚だ。自衛隊員は足らない。自国防衛に専心させないといけない。地球の裏側まで行くことが日本を守ることだというけど、そんな変な理屈はない。世界中に自衛隊が出て行かないと日本が危ないというが、なぜか。行ったら逆に危ない。

<戦後70年間戦争に巻き込まれなかったのが一国平和主義だと言うなら模範である>

 ――最後に、平和主義とはあらためて何ですか。

 山崎 要するに、日本が海外に行って「戦わない国」から「戦う国」になろうとしている。従来の日本の立場は、自国の領土領海領空を死守する、国民の生命財産を守るというものであって、専守防衛のことだ。その場合には自衛隊員も命を賭けて戦ってくれる。今度の法整備は、そういう守備範囲を超えて、もっとグローバルに日本の自衛隊が出て行って世界の戦争に参加しようということだから、非軍事国家から軍事国家への大転換だ。
 積極的平和主義という言葉が使われているが、定義がない。定義の説明を聞いたことがない。誰かが国会で質問して、安倍総理が答えたことには、「今よりもっと平和を」という。今以上の平和が日本にあるかと問いたい。戦後70年間も1回も戦火を交えることなく、自衛隊の死傷者もなく、相手にも死傷者がいないというあり方からすると、今以上の平和というものがあるか。それを一国平和主義だと言われれば、一国平和主義は素晴らしいと言わざるを得ない。今に言わせると徹底的平和主義だ。戦後70年間1回も戦争に巻き込まれなかったのは、徹底的平和主義のおかげであるから、それは素晴らしい。世界中の模範である。外国がみんな、徹底的平和主義になれば、世界中が平和になるはずだ。

(了)
【山本 弘之】

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<プロフィール>
山崎 拓 氏(やまさき たく)山崎 拓 氏(やまさき たく)
自由民主党元副総裁、元幹事長、元政調会長、元建設大臣、元防衛庁長官など歴任。1936年生まれ。福岡県立修猷館高校卒業。早稲田大学商学部卒業後サラリーマン生活などを経て、67年に福岡県議会議員に当選。72年の総選挙で衆議院議員初当選以後、12回当選。著書に『2010年日本実現』『憲法改正』など。現在、政策集団「近未来政治研究会」最高顧問。
 
 
 

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