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2015/07/10 国会前で1万5000人が「戦争法案反対」の声 「覚悟を決めた本気の闘いが国会を動かしている」
政府・与党は、安保法制を衆院で強行採決する方針を固めた。目前に控えた金曜日、国会前には1万5000人以上の市民が押し寄せ、「強行採決反対」「戦争法案廃案」のシュプレヒコールを響かせた。
「今、確実に国会議員はみなさんの声を聞いています。ものすごくびびってますよ。自民党の中もそうなんですよ。安倍さんだけが自民党じゃない。絶対に止められます」
2015年7月10日、6回目となった「SEALDs(シールズ)」主催の抗議行動では、毎回参加しているという古賀茂明氏が初めてスピーチし、「若い人たちの力が日本を動かしています。本当に動いてますよ。もう少しですからがんばりましょう、一緒に」と参加者を鼓舞した。
安倍政権は、「議論は深まった」として、来週7月15日、16日の強行採決を目指している。
前回の3000人を大幅に上回る人の波は、歩道を決壊させ、一車線分の車道が開放された。報道陣の数もこれまでにないほど多く、子ども連れの母親の姿も目立った。
「SEALDs」は強行採決が予想される15日にも、午後6時半から国会前抗議を行う予定だ。
- 記事目次
- 「みなさんの覚悟を決めた本気の闘いが国会を動かしている」
- 官邸は「一時的に支持率は下がっても国民はすぐに忘れる」という感覚
- 教育学者・佐藤学氏「戦争によって一番被害を受けるのは子どもたちと若者たち。これがリアリズム」
- 大学2年生の女子「人は誰でも怪物になりうる」
- 膨れ上がる安倍政権「不支持」の声
【ハイライト動画(6分)】
強行採決目前、国会前で1万5000人が「戦争法案反対」の声 ...
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- スピーチ 学生ほか/小池晃氏(参議院議員、日本共産党副委員長)/古賀茂明氏(古賀茂明政策ラボ代表、フォーラム4)/寺田学氏(衆議院議員、民主党)/岡野八代氏(同志社大学教授、京都96条の会代表、西洋政治思想史・フェミニズム理論)/佐藤学氏(学習院大学教授、安全保障関連法案に反対する学者の会発起人、教育学)/小森陽一氏(東京大学教授、九条の会事務局長、安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール呼びかけ人、近代日本文学)
- 日時 2015年7月10日(金)19:30〜22:00
- 場所 国会議事堂正門前北庭側(東京・永田町)
- 主催 SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)
「みなさんの覚悟を決めた本気の闘いが国会を動かしている」
トップバッターでマイクを握った日本共産党の小池晃議員は、この日、国会内で民主、維新、共産、生活、社民の野党5党の党首会談が行なわれ、「早期採決への断固反対」「互いの緊密な連携」を確認し合ったことを報告。「こういうことができるようになったのも、SEALDsのみなさんの闘いがあったから。みなさんの覚悟を決めた本気の闘いが国会を動かしている」と訴えた。
「この安倍政権の暴挙は、壊そうとしているのは、憲法9条だけではありません。日本の主権在民を壊そうとしている。昨年の総選挙で自民党に投票した人は(国民の)17%に過ぎない。その中でも後悔する人がどんどん増えているのではないでしょうか」
官邸は「一時的に支持率は下がっても国民はすぐに忘れる」という感覚
続いてスピーチに立った民主党の寺田学議員は、この日の国会審議で中谷防衛大臣が、自衛隊に武力攻撃の命令を出すのは防衛大臣だと答弁したあと、「間違ってました。総理大臣です」と訂正したことを紹介。「今この法案を審議し、国民に説明している防衛大臣は、誰が自衛隊に命令して動かすのか、それすらも分かっていない、そんなレベルだ」と強い口調で批判した。
「毎回毎回曖昧な答弁だが、少しずつ、この法案が持つ本当の恐ろしさが答弁の中で出てきました。この法案が通れば、わが国が攻撃を受けてないばかりか、まったくわが国に対する攻撃の可能性がない時も、そして日本に対する武力攻撃の気持ちがない国に対して、私たちの自衛隊は武力の牙をむくことになるんです」
また寺田議員は先日、「官邸の偉い人」と話した時のことを振り返った。
「『支持率落ちますよ』という話をしたら、(その人は)笑って答えるんです。『一時は落ちるだろう』と、『ただそのうち国民は忘れて、また支持率は上がるんだ』と。『秘密保護法の時を見てみろ』と。『一回下がったけどまた上がったじゃないか』と。官邸の住人たちはそんな感覚なんです。完全に私たちは舐められてます」
教育学者・佐藤学氏「戦争によって一番被害を受けるのは子どもたちと若者たち。これがリアリズム」
教育学者の佐藤学・学習院大学教授は、6月11日に結成した「安保法案に反対する学者の会」の賛同人が一カ月で9175人に達したことを報告。「これだけ多くの学者が学問の名と良識において反対している」と語った。
佐藤教授はスピーチで、戦争法案を支持する人たちが「憲法守れ」と訴える人に対し、「理想論だ」「リアリズムがない」と批判していることをあげ、「とんでもない」と反論した。
「かつて戦争によって子どもたちや若者たちが一度として幸福になったことがあったでしょうか。1990年に湾岸戦争が始まってから25年間、人道介入、人道支援のもとで何度も戦争が起きています。
国連事務総長は、200万人以上の子どもが殺されていると発表。イラク戦争だけでも50万人以上。戦争によって一番被害を受けるのは子どもたちと若者たち。これこそリアリズムです。私たちのリアリズムです」
大学2年生の女子「人は誰でも怪物になりうる」
最後にマイクを握った大学2年生のもえこさんは、今年の3月にアウシュビッツ強制収容所を訪れた経験を振り返り、「アウシュビッツは私たちにとって、決して遠い場所ではない」と訴えた。
「ヒトラーやナチス、それとそれを支えた人々が狂っていたわけじゃない。その人たちだってきっと、泣いたり笑ったりしていた、普通の人間だったはずです。相手が自分と同じように痛みを感じる人間だということを忘れてしまった時、そして、一人一人が考えることをやめたときに、人はきっと誰でも簡単にああなり得るのです。
戦争もホロコーストも私たちにとっては昔の話のように感じられるかもしれない。けれど、自分と切り離して考えることはできないはずです。考えることをやめたとき、誰でも人は怪物になりえます」
膨れ上がる安倍政権「不支持」の声
参加者のなかには、子ども連れの夫婦の姿も目立った。妻と2人で来ていた35歳の男性は、「職場ではなかなか話ができない。どうやったら国会前に来てもらえるかと考えるけど、こういう話をするきっかけを掴むのが難しい」と、まだ大多数が行動するまでに至っていない現状を憂いた。
友人と2人で参加したという60代の女性も、「今日友達を誘ったんですが、家の事で来れないって。でも、反対の気持ちは持っていて。そういう人たちが何かの形でそれを現せればいいと思う」と話した。
しかし今、各社世論調査では安倍政権の支持率が下がり続け、一部では「不支持率」が「支持率」が上回る結果となっている。この日の抗議にも、初めて参加したという人の姿が、世代に関係なく目立っていた。国民の懸念の声は、確実に膨れ上がっている。
(取材・記事:川島安乃・青木浩文・沼沢純矢・ぎぎまき、写真:原佑介、記事構成:佐々木隼也)
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