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自民党を襲い続ける「北の逆風」は侮れない

2015-08-11 10:07:42 | ご案内

東洋経済ONLINE  http://toyokeizai.net/articles/-/79950

自民党を襲い続ける「北の逆風」は侮れない

山形市、岩手県の首長選も厳しそう

安倍自民党は今の逆風をはねのけることができるだろうか(写真:barman / PIXTA)

栄華を誇っていた自民党が、ついにジリ貧状態に陥りつつある。8月9日に行われた埼玉県知事選で、自ら制定した「多選自粛条例」に反して出馬した現職の上田清司氏(維新の党が支持し民主党埼玉県連が支援)が得票率58.5%という圧倒的な強さで勝利した。自民党県連が推薦する塚田桂祐氏は2位にとどまり面目を保ったものの、一時は「共産党系の候補にも負けるかもしれない」と囁かれたほどだった。

もっとも上田氏には自民党本部からの“サポート”があったことは事実だ。出陣式には自民党の二階俊博総務会長からの祝電が寄せられ、鳩山邦夫元総務大臣や平沢勝栄衆院議員も応援に駆け付けている。これには知事の多選を批判し、独自候補擁立に苦心した自民党県連が大反発。この分裂が“しこり”として残れば、今後の選挙にも影響を及ぼす可能性は大きい。

地方選で惨敗が続く

このように、自民党の弱体化が「北」から始まろうとしている。まずは8月2日に執行された仙台市議選で、共産党が5つの選挙区のうち3選挙区でトップを占めたことが話題となった。前回の市議選では4選挙区で1位を占めた自民党は、16議席を確保して第1党を維持したものの、2議席を減らした。

これを好機としてとらえているのが、山形市長選(9月6日告示、13日投開票)を控える民主党山形県連だ。同県連会長を務める近藤洋介衆院議員はこう話す。「山形市は仙台市から車で約40分と近く、“仙台市山形区”と言われるくらい経済文化では近似性がある。仙台市議選の結果は山形市長選に影響するはずだ」。

近藤氏ら民主党に加え、共産、社民、生活が推薦する梅津庸成氏は地元の名門である山形東高校出身。吉村美栄子同県知事も参加の「オール山形」を標榜し、自民党が推薦する函館出身の佐藤孝弘氏との差異を強調する。これに対して佐藤氏側は、前回の市長選で敗北した後の4年間、遠藤利明五輪担当大臣の秘書として山形1区を固め、山形市内各地に遠藤氏との2連ポスターを貼って浸透を図ってきた。

そのような佐藤氏に近藤氏は、「佐藤氏には父親が山形大学出身であるということ以外に山形市とは接点がなかったが、あなどれない。1区のうち70%は山形市だが、2014年の衆院選で自民党は9万8508票も獲得したが、民主党はその半分も及んでいない」と警戒心を緩めない。

梅津陣営側は国民の多くが安保関連法制に批判的であることに注目し、大学時代の恩師である小林節慶應大学名誉教授との2連ポスターを作成。近藤氏は「梅津氏は元防衛省官僚だが、最後のポストは外務省の軍縮不拡散・科学部の生物・化学兵器禁止条約室長だ。集団的自衛権に反対する小林教授と共に、平和を求めるというメッセージを伝えたい」と述べるとともに、「7月には10ポイントリードされていたが、いまは5ポイント以内まで迫っている感触だ。2007年参院選での“逆転の夏”の再来を期している」と、いっそうの意欲を燃やしている。

岩手県知事選も自民党にとって鬼門

8月20日告示9月6日投開票の岩手県知事選も、自民党にとって鬼門だった。8月7日に自民党推薦で出馬するはずだった平野達男参院議員が正式に不出馬を表明し、自民党が「不戦敗」になったことは、ダメージを最小限にとどめる策だと言われている。それ以前でも、すでに平野氏の劣勢は確実視されていた。4月14日に出馬表明したものの、一向に参院議員を辞さないことで「出馬とりやめか」との憶測を呼んだ。平野氏はとりあえず7月30日に盛岡市内に後援会事務所を開設したが、その水面下では「平野降ろし」が進められていた。

平野氏の不出馬が決定したのは8月5日だ。この日、安倍晋三首相は午前10時に二階総務会長と面談し、平野氏を擁立した二階氏に出馬断念を促している。また自民党本部では、茂木敏充選対本部長が鈴木俊一自民党岩手県連会長と会い、不出馬の最終的な確認をしている。

「茂木氏は11日から盛岡市に入り、選挙協力を要請していたゼネコンなどに謝罪する予定だ」。後始末のスケジュールまで決められていたと、関係者は述べる。

このように自民党を追い込みつつある山形市長選と自民党を追い込むのに成功した岩手県知事選。実はそのいずれも、共産党の躍進の影響が見てとれる。

山形市長選では共産党が梅津候補を全面的に支援しているが、山形市内には約1万の共産党の票がある。「6万票が当選圏」と言われる山形市長選で貴重な票源だが、仙台市議選効果も範疇に入れると、さらなる上積みも期待できる。

また岩手県知事選では6月17日、生活の党と山本太郎となかまたちの共同代表である小沢一郎氏と志位和夫共産党委員長が国会内で会談した。自民党が擁立しようとした平野氏は、小沢氏の「引き」で2001年に農水官僚から参院議員に転身した、いわば“小沢氏の子飼い”。それに裏切られたことを恨みに思う小沢氏の執念が志位氏の心を動かしたのか、共産党の独自候補擁立を断念させている。

共産党中央としては積極的に応援しないものの、同日に共産党岩手県委員会は現職の達増拓也同県知事を自主支援することを表明。同委員会が独自候補を立てずに現職知事を応援することを決めたのは、1983年以来初となる。

自民党を襲う逆風は、海外からも吹き始めている。閣僚会合で全体合意に至らなかったTPPだ。

「来年の参院選の致命傷になりかねない」

「これは来年の参院選の致命傷になりかねない」。こう語るのは同党の衆院農水委員会野党筆頭理事を務める玉木雄一郎衆院議員。玉木氏はTPP閣僚会合の情報を集めるために、7月28日にハワイに赴いている。「実際にTPP閣僚会合は合意に至らなかったが、参加した官僚たちはやる気満々で、てっきり合意できるものと確信していたようだ。もう1泊ホテルを予約していた」。

合意した場合に大臣会見の日程を入れるためだという。だがその目論みは単に外れたばかりでなく、国政に大きな影響を与えかねないというのが玉木氏の見立てだ。「7月内に合意されていれば、8月3日に首相会見が行われ、6日に対策本部が立ちあげられる予定だった。そして8月内に概算要求を出し、TPPが成立した際に影響を受ける農家への対策も打ち出せたはずだ」。

各大臣から財務大臣に提出される概算要求は8月31日が締め切りだ。閣僚会合の合意が延びた場合、それに間に合わせて農水省が対策費を要求することが難しくなる。

「しかも7月内に合意できていたなら、秋の臨時国会で審議できるはずだった。ところが合意が8月以降にずれると、来年の通常国会にまわる可能性がある。通常国会は予算が優先されるので、審議に入るのは年度明けの4月からになるが、それでは参院選直前までTPPを審議することになるから、自民党にとって最悪の状況だ」

低下する支持率の挽回を狙い、「衆参同日選挙」との話もちらほら出つつあるが、このような状態では解散どころではない。9月に予定される自民党総裁選でも、野田聖子氏や石破茂地方創生担当大臣などアンチ安倍の候補の名前が取りざたされている。

各世論調査でも、不支持率が支持率を上回るようになってきた。いまの安倍政権にはそれを跳ね返すかつての勢いは見られない。もはや、その命運は尽きつつあるのだろうか。

 

安積 明子あづみあきこ ジャーナリスト

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。平成6年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、執筆活動開始。「歴史は夜つくられる 「佳境亭」女将が初めて語った赤坂「料亭政治」の光と影」(週刊新潮)、「竹島動画バトル、再生回数で日本が圧倒」(夕刊フジ)など多くの記事を執筆している。

 

 


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