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新潟県知事選、泉田知事が原発再稼働反対で米山候補を事実上の“後継指名”!(2016.10.13)

2016-10-13 22:31:15 | 都知事選 県知事選 市長選

Harbour Businness Onlinehttp://hbol.jp/112884より転載

新潟県知事選、泉田知事が原発再稼働反対で米山候補を事実上の“後継指名”!?

選挙戦の初めから危機感を募らせていた二階幹事長

森氏の個人演説会で応援演説を行う片山さつき参院議員

 

 10月16日投開票の新潟県知事選は、米山隆一氏の出馬で一転して大激戦に。自公の推薦を受けた森民夫氏の楽勝ムードが吹っ飛んでしまっている。

 そんな中、安倍首相は10月7日に自民党ナンバー2の二階俊博幹事長に「極めて大事な選挙だ。真剣に勝利に向かって頑張ってほしい」と指示。しかし、二階幹事長は新潟県知事選について、すでに経団連幹部との懇談でこう述べていた。

「何とかして(自公推薦候補の)勝利を考えていきたいと思いますが、どうか、電力業界など“オール日本”でやっぱり対抗していかないといけない。(米山候補を支援する)彼らはいつでも“オール日本”で来るわけですから、我々のほうは全地域を挙げて対抗していかなければいけない」

 二階幹事長は、安倍首相から指示を受ける前から危機感を募らせていたのだ。9月末、二階幹事長は参院議員を召集して新潟入りの指令を発した。そして10月2日に現地入りをした片山さつき参院議員は、新潟市内での森氏の個人演説会で、こう訴えた。

「先週末、二階幹事長と古屋選対委員長が参議院に来られて、『この選挙(新潟県知事選)は自民党として絶対に負けるわけにいかない』ということで、われわれ比例代表の参院議員が呼び集められた」

公共事業、農業政策でも森氏と米山氏は対照的


 二階幹事長は、自民党の集票組織として有名な「土地改良事業団体連合会」の会長。民主党政権時代に大幅削減された土地改良事業(農業土木事業)の予算を、安倍政権誕生後に再び増やすことに貢献。「TPP対策」として、土地改良事業は第二次補正に約1000億円が盛り込まれた。

 旧建設省出身の森氏は、道路や港湾など県内のインフラ整備推進が目玉政策だ。その中には、青森から新潟を経て大阪までの日本海側を結ぶ「羽越新幹線計画」も含まれている。都知事選で同じく旧建設省OBの増田寛也・元岩手県知事が公共事業推進を訴えたのとよく似ており、「米山候補は原発問題ワンイシュー(※争点を1点に絞ること。)だ」との森陣営の批判に対して、米山氏が「森候補は公共事業ワンイシューだ」と反論するのはこのためだ。

 農業政策についても米山氏は森氏と対照的な立場だ。

「自民党は『TPP反対』と言っていたのに賛成に回ったのはおかしい。米どころ新潟を守るためにTPPには反対。(土地改良事業予算を減らして民主党政権時代に作った)『農家への戸別所得補償制度』を充実させるべき」と訴えている。

森氏も「再稼働が前提ではない」と強調

森氏の応援演説を行う連合新潟の齋藤敏明会長。民進党の最大の支持団体である連合新潟は、今回は自公推薦候補を応援

 原発再稼動が最大の争点となる中、米山氏は泉田知事路線の継承を次のように訴えていた。

「福島原発事故の原因の徹底的な検証。子供たちの健康と生活に及ぼした徹底的な検証。そして事故が起こった時に安全に避難する方法の徹底的な検証。この三つの検証がなされない限り、原発再稼動の議論は始められない」

 一方の森氏は「安倍政権(自民党)の支援を受ける原発推進候補」とのイメージ払拭に躍起になっている。原発再稼動反対が多数を占める県民世論に配慮した形だ。10月2日の個人演説会では、「原発推進の電力系労組など連合新潟が支持、国政選挙と違う枠組みとなった」という石崎衆院議員の話を打ち消すべく、森氏は「再稼動が前提ではない」と強調したうえで、次のように訴えた。

「原子力規制委員会の結論が出てもすぐ再稼動はやりません。市町村や県技術委員会の意見を聞き、その上で検証します。その結果によっては、国や東京電力に対して強い意見を言います。それがなければ、信頼が得られないです」

泉田知事は米山氏に「頑張ってください」と事実上の“後継指名”!?

泉田裕彦新潟県知事

「原発政策では森氏も米山氏と大きな違いはない」という印象を与える狙いは明らかだが、元経産官僚の古賀茂明氏はこう反論する。

「約半年後、原子力規制委員会が『柏崎刈羽原発が規制基準に合格、新潟県は同意してくれますよね』と聞いてくる時、自民党が応援する候補はそれを止められないでしょう。『県民の安全を大事にします』と言うかも知れませんが、他県では『国が安全だと言いました』と同意をしてしまった」

「原子力防災(原発事故時の避難計画など)が県知事選の争点」と言いながら出馬撤回をした泉田知事は10月1日、各候補者に以下のような質問をTwitter上で投げかけた。

「原発事故時、一律屋内退避を求められますが、線量が上昇した際(500μSv/hr)の避難では、2時間で年間被爆限度量を超えます。これではUPZ圏44万人を避難させることは困難です。国に指針見直しを求めますか?」

 この質問に米山氏はTwitterで「ご指摘通り非現実的であり安全でないと思います。状況に応じた、安全で現実的な避難計画につながる指針の見直しを求めます」と答えた。

 これを受けて泉田知事が次のように書き込んだ。「他候補からは、安定ヨウ素剤の事前配布を実施するのかどうかの回答もない中、現在の原子力防災には欠陥があることを米山さんは理解されていると思います。頑張ってください」

 泉田知事に事実上の“お墨付き”をもらった米山候補が、野党共闘と再稼動反対の民意を追い風に逆転勝利をするのか。それとも、巨大政党や電力業界や関連団体の支援を受け、公共事業推進の旗印を掲げる森氏が勝利するのか。「原発再稼働イエスかノーか」の審判ともいえる新潟県知事選の結果が注目される。



<取材・文・撮影/横田一(ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた最新刊『黙って寝てはいられない』<小泉純一郎/談、吉原毅/編>に編集協力)

 

 

 


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