「5・3憲法集会」で登壇した(左から)民進党の岡田克也代表、日本共産党の志位和夫委員長、社民党の吉田忠智党首、生活の党の小沢一郎共同代表=東京都江東区の有明防災公園(伴龍二撮影) 画像by産経ニュース
澤藤統一郎の憲法日記 http://article9.jp/wordpress/?p=6908より転載
野党選挙共闘に期待する―「改憲阻止絶対防衛圏」を守り抜くため
各紙の「野党 参院選全1人区で候補一本化」との見出しが目にまぶしい。
香川選挙区で民進党が擁立を断念し、共産党の候補予定者への一本化が決定。これを受けて共産党は近く、民進党と調整中の三重、佐賀で公認候補を取り下げる方向だという。これで事実上、今夏の参院選「1人区」(32選挙区)すべてで、民進・共産・社民・生活4党による候補者一本化実現となった。
各選挙区の候補者と所属は以下のとおりである。
青森 田名部匡代 民・新
岩手 木戸口英司 無・新
宮城 桜井 充 民・現
秋田 松浦大悟 民・前
山形 舟山康江 無・前
福島 増子輝彦 民・現
新潟 森ゆう子 無・前
富山 道用悦子 無・新
石川 柴田未来 無・新
福井 横山龍寛 無・新
山梨 宮沢由佳 民・新
長野 杉尾秀哉 民・新
栃木 田野辺隆男 無・新
群馬 堀越啓仁 民・新
岐阜 小見山幸治 民・現
三重 芝博一 民・現
滋賀 林久美子 民・現
奈良 前川清成 民・現
和歌山 由良登信 無・新
鳥取島根 福島浩彦 無・新
岡山 黒石健太郎 民・新
山口 纐纈 厚 無・新
徳島高知 大西聡 無・新
香川 田辺健一 共・新
愛媛 永江孝子 無・新
長崎 西岡秀子 民・新
佐賀 中村哲治 民・元
熊本 阿部広美 無・新
大分 足立信也 民・現
宮崎 読谷山洋司 無・新
鹿児島 下町和三 無・新
沖縄 伊波洋一 無・新
これまで相争う関係にあった各党の候補者調整である。困難が大きいのは当然のこと。「岡田克也(民進党)代表は20日の会見で、香川について『共産党との関係は現時点で白紙だ』と述べた。共産党の候補予定者を民進党が推薦する可能性は低く、正式な協力態勢が整った石川や熊本などとは温度差がある」(毎日)と報じられている。各党がこぞって、統一候補を推薦というきれいな図を描くには至っていない。
それでも、全一人区で与野党一騎打ちの構図になる。この意義は大きい。「改憲か、その阻止か」という対抗軸が明瞭になるからだ。いくつかの選挙区では、野党共闘の成果としての議席の獲得が現実化するだろう。その新たな獲得議席が、明文改憲を阻止し、解釈改憲も是正する貴重な存在となるだろう。
明文改憲の阻止と戦争法廃止の両者を統一するスローガンが、「日本の政治に立憲主義を取り戻そう」である。日本国憲法の存在を前提として、いま、安倍政権の、反憲法的政治姿勢は目に余る。憲法が政権を縛り政権の方向を定めているのに、政権はこれを嫌って、憲法をねじ曲げようとしている。あまつさえ、憲法そのものを書き換えようとしている。このアベ政権の姿勢を「立憲主義に反する」と批判し、「立憲主義を取り戻せ」とスローガンを掲げているのだ。
憲法擁護義務を無視した安倍政権は、強引に憲法9条の解釈を変えて戦争法の成立を強行し、それでも足りずに、明文改憲を狙っている。政権の目指す憲法が、「自民党改憲草案にあることは自民党の広言するところ。これまで国民が共通の認識としてきた憲法価値である、平和・人権・民主主義の擁護が「立憲主義を取り戻せ」のスローガンに包含されている。表現の自由も、福祉も、労働も、歴史認識も、その具体的課題となる。
参院選での野党共闘態勢の構築は、正式な共闘成立公表とともに、メディアの大きな話題となるだろう。また、今後に大きな影響を与えることにもなるだろう。まずは、5月27日告示6月5日投開票の沖縄県議選を励ますことになり、衆院選の小選挙区共闘を促すことになるだろう。
今回参院選の統一候補の内訳が、「政党公認16、無所属16」である。政党公認16のうち、「民進15、共産1」というのが、現実的な落としどころなのだろう。このように現実化した参院1人区共闘が、総選挙でできないはずはない。世論が求め、そうしなければ勝てないという現実があるからだ。しかも、ここで「各院の3分の1」という「絶対防衛圏」を破られては、後戻りできない禍根を残すことになるではないか。
参院とは対照的に、衆院の野党共闘協議は進んでいないのが実態。民進党の態度が消極的だといわれてきた。しかし、「国会会期末が迫るなか、野党内には首相が参院選に合わせて衆院解散に打って出るとの警戒感が高まり、民進も態度を変えた。」「民進の岡田代表は、『衆参ダブル選挙の可能性もかなり高い。幹事長レベルでよく話し合っていく』と述べ、衆院小選挙区での候補者調整を急ぐ考えを示した。21日には愛媛県新居浜市で記者団に『特に一本化すれば勝てる可能性があるところは、一本化の努力はすべきだ』と述べた」「仮に衆参同日選となれば調整に残された時間は少なく、選挙協力がどこまで進むかは不透明だ。民進幹部は『いざとなったら「えいや」でやるしかない』と語る」(朝日)と報じられている。
ことは、憲法の命運に関わる。憲法の命運とは、国民の権利と自由と平和の命運にほかならない。「野党は共闘」「野党は真剣に共闘に取り組め」と声を上げ続けねばならないと思う。
(2016年5月22日)
http://mainichi.jp/senkyo/articles/20160521/k00/00m/010/135000cより転載
全1人区一本化 香川、共産候補に決定
毎日新聞2016年5月21日 07時30分(最終更新 5月21日 07時30分)
夏の参院選の「1人区」(改選数1、32選挙区)すべてで民進、共産、社民、生活4党による候補者一本化が実現する見通しになった。香川選挙区では民進党が擁立を断念し、共産党の候補予定者への一本化が決定。これを受けて共産党は近く、民進党と調整中の三重、佐賀で公認候補を取り下げる方向だ。
香川では民進党の県議が無所属で立候補する予定だった。同党香川県連代表の小川淳也衆院議員は20日、香川県庁で記者会見し「一本化の協議が整わない中で撤退を決断した」と説明した。
1人区の野党統一候補は民進党公認が15人、無所属が16人。共産党はこれまで自前の候補予定者を取り下げるばかりだったため、香川では民進党に譲歩を迫っていた。各地で共産党が持つ「固定票」に期待する民進党としても、「自分たちの候補で一本化したいという強い思いは当然」(枝野幸男幹事長)と最後は配慮せざるを得なかった。
共産党の志位和夫委員長は20日、「全部の選挙区(1人区)で野党統一候補がかなりはっきり見えてきた」と記者団に語った。残る三重、佐賀でも民共両党の協議は大詰めを迎えている。おおさか維新の会が公認候補を立てる奈良では野党系候補が競合するが、それ以外の1人区は事実上、与野党一騎打ちの構図になる見通しだ。
ただ、岡田克也代表は20日の会見で、香川について「共産党との関係は現時点で白紙だ」と述べた。共産党の候補予定者を民進党が推薦する可能性は低く、正式な協力態勢が整った石川や熊本などとは温度差がある。
それでも、野党4党が目標にしていた全1人区での一本化にめどがついた意味は小さくない。4党は衆参同日選を警戒し、次期衆院選で協力することでも合意しており、志位氏は「衆院小選挙区での野党共闘の体制を一刻も早く作ることに全力を挙げたい」と強調した。【朝日弘行、伊藤遥】