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前NYタイムズ東京支局長「米国はアジアを中国に任せるかも」

2015-10-05 14:18:26 | ご案内

http://dot.asahi.com/wa/2015093000126.html?page=1 より転載

 

前NYタイムズ東京支局長「米国はアジアを中国に任せるかも」


(更新 2015/10/ 2 07:00)
(左から)元外交官 孫崎享、前NYタイムズ東京支局長 M・ファクラー、英エコノミスト誌記者 D・マックニール(撮影/岡田晃奈)

(左から)元外交官 孫崎享、前NYタイムズ東京支局長 M・ファクラー、英エコノミスト誌記者 D・マックニール(撮影/岡田晃奈)

 

 安倍晋三首相は来年の参院選を見据え、「新3本の矢」なる経済政策に力点を移している。英エコノミスト誌記者のデイビッド・マックニール氏、前NYタイムズ東京支局長のマーティン・ファクラー氏と外務省OBの孫崎享氏が、沖縄の基地問題をぶった切った!

*  *  *
ファクラー(以下、F):政府は辺野古基地は中国の台頭に対抗するための抑止力として考えています。ところが、軍事的にドライに見ると、沖縄本島に海兵隊を置くことは、戦略上よくないという見方を持っている人がペンタゴン(米国防総省)にもいます。沖縄にある海兵隊の基地は中国に近すぎて攻撃を受けやすく、抑止力にならないとの見方です。

孫崎:米軍が重要視する嘉手納基地も含めて、沖縄本島は中国のミサイルの射程圏内。もし米中間で戦争が起きれば、沖縄にいる空軍はマヒしてしまう。

F:一つの大きな部隊ではなく、小規模な部隊をオーストラリアやグアムなどに分散して配置したほうがいいと話す米国の軍人もいます。ペンタゴンも将来は沖縄に2万人の師団を置く必要はないと考えていると思う。

マックニール(以下、M):外国人の特派員記者が沖縄の基地問題を積極的に取材するのは、ある意味では本土の日本人よりも、沖縄の人のほうが沖縄の歴史や日米安保について広い知識を持っているから。取材をすると疑問に思うのは、沖縄で反対の声があり、日本にとって取り返しのつかない事態になる可能性を秘めているのに、なぜ、政府は米軍基地を沖縄に押し付けたままにするのでしょうか。

孫崎:歴史的に見ても、敗戦後にGHQに沖縄を長期的に貸してもいいと言ったのは昭和天皇。そのことは『昭和天皇実録』にも書かれています。さらに、重光葵は外相時代に在日米軍の撤退を求めるために、最初に陸軍、次に海軍と空軍に撤退してもらおうと考えていたが、昭和天皇はそれにも否定的な意見を重光に伝えていました。こういった史実もメディアではタブー視され、本土ではほとんど知られていないが、沖縄の人たちは史実を勉強し、知っています。これは一例ですが、東京と沖縄の溝が埋まらないのは、こういった歴史が共有できていないからです。

F:基地問題解決のヒントは、沖縄に米軍基地や海兵隊を置いても米国に軍事的なメリットはあまりないという点を突くことです。

M:翁長知事は6月の訪米で、沖縄に多くの海兵隊を置くことに否定的だったマケイン氏(米国上院軍事委員長)と会談しました。ところが、実際に会ったら辺野古推進になっていた。ケネディ駐日大使も同じ。まるで政府からの通達でもあったかのように「日本の内政問題」と言うだけだった。

F:それは当然のことなんですよ。オバマ大統領からすれば、辺野古移設の問題は鳩山由紀夫首相のときに混乱したから、これ以上関わりたくないのが本音。だから、共和党のマケイン氏とオバマ政権には、立ち位置に違いはない。それでも、大統領が代わり、日本政府が本気で交渉すれば、米国の方針が変わる可能性があります。

M:安保法制が国会で成立し、自衛隊が海外に出て、集団的自衛権を行使する可能性もあります。悪いシナリオだと、いずれ日本と中国の間で何らかの紛争が起こる可能性もある。

孫崎:では、米国に頼ればいいかというと、そうではない。先日、米国のシンクタンクであるランド研究所が新しい報告書を出しました。そのなかで、台湾周辺で米国と中国が衝突した場合、中国に優位性が出ていると書かれています。以前から専門家の間では指摘されていたことですが、権威あるシンクタンクが認めたことの影響は大きい。今後、これは米国の基本的な認識になっていくでしょう。仮に尖閣諸島で日中間の紛争が起きても、米国は日本と一緒に戦うことはしないと思う。

F:米国は、10年後には日本を見放して中国を選ぶかもしれませんよ。米国は、中国のことをかつてのソ連のようには考えていない。世界的な覇権は狙っていないと考えていますから。むしろ、取引次第ではアジアは中国に任せることもあるかもしれません。

孫崎:これが国際政治の現実ですよ。日本が「米国と仲良くしておけば、安全保障は大丈夫」と思っていても、米国や中国の動向次第で、安倍首相の思い描く未来にはならない。そこをちゃんと分析せずに、突き進められると、恐ろしいことになる。

F:いずれ、日本は米国だけでなく、中国にも頭を下げることになるかも(笑)。そうならないために集団的自衛権を認め、米国の武器を買い、中国より日本が米国のためになることを懸命にアピールしている。

(構成 本誌・西岡千史/松元千枝)

週刊朝日  2015年10月9日号より抜粋

 

 

 


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