河北新報 http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201608/20160827_13036.html
「五日市憲法草案」起草者の信念を中学生学ぶ
2016年08月27日土曜日
宮城県栗原市志波姫出身の自由民権思想家・千葉卓三郎(1852~83年)が縁で友好姉妹都市関係にある同市と東京都あきる野市の中学生が交流事業の一環で、栗原市内にある千葉の生家跡などゆかりの地を訪ねた。千葉が起草した憲法私案「五日市憲法草案」の概要などを学び、国民の権利の在り方に関心を深めた。
生家を訪れたのは栗原市の8校20人とあきる野市の6校31人。3日、千葉が洗礼を受けた金成ハリストス正教会や、生家跡にあるタクロン公園を訪問した。戊辰戦争に従軍して敗れ、自由民権運動に携わる足跡などについて地元ボランティアから聞いて回った。
五日市憲法草案の一部が刻まれている市志波姫総合支所前の顕彰碑にも足を運んだ。「国民主権や教育を受ける義務、言論の自由といった近代憲法の理念が盛り込まれている」と説明を受けると、生徒たちは碑をじっと見詰めたり写真を撮ったりしていた。
高清水中3年の沼倉佑弥さん(14)は「すごいことをした人が地元にいたのだと感じた」、志波姫中3年の菅原未来さん(15)は「権利というものは一人の強い人のためにあるのでなく、国民のためにあるという当然のことをあらためて実感した」と語った。
千葉は仙台藩の下級武士の息子として栗原郡白幡村(現栗原市)に生まれた。自由民権運動が盛んだった現在のあきる野市で教員を務め、仲間と共に民権運動に関わった。両市の友好姉妹都市関係は1985年2月、合併前の志波姫町と五日市町が締結した。
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※ 「時事随想」2008年4月13日付『陸奥新報』に書いたものです。文中の登米市は栗原市の誤りです。(神田健策)
◆五日市憲法草案とは
https://kotobank.jp/word/%E4%BA%94%E6%97%A5%E5%B8%82%E6%86%B2%E6%B3%95%E8%8D%89%E6%A1%88-887110より引用
明治前期の民間有志による憲法私案。歴史家の色川大吉さんらが1968年に発見し、命名した。起草したのは五日市勧能(かんのう)学校の教員だった宮城県出身の千葉卓三郎(1852~83)。204の条文で成り立ち、人権の尊重や平等権など国民の権利保護が大半を占める。教育の自由や地方自治、政治犯の死刑禁止など先進的な内容も含まれた。 皇后美智子さまが2013年に文書で草案にふれ、脚光を浴びた。(2016-02-12 朝日新聞 朝刊 東京都心・1地方)
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