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「王様は裸だ」と言えない大手新聞
2016年9月3日 天木 直人
今の大手新聞は、みな安倍首相に対して「王様は裸だ」と言えない状態に金縛りだ。
...「王様は裸だ」という言葉を「アベノミクスは失敗に終わった」という言葉に置き換えてみたらいい。
「王様は裸だ」という言葉を「原発アンダーコントロールは大嘘だ」と言う言葉に置き換えてみたらいい。
「王様は裸だ」と言う言葉を「拉致問題の解決は安倍政権では無理だ」という言葉に置き換えてみたらいい。
「王様は裸だ」という言葉を「慰安婦問題の不可逆合意はいかさまだ」という言葉に置き換えてみたらいい。
「王様は裸だ」という言葉を「安倍首相と習近平の日中関係は改善不可能だ」という言葉に置き換えてみたらいい。
誰もがその通りだと思っている事が書けないのだ。
◆
そして、今度は安倍首相の訪ロである。
安倍首相が訪ロしてプーチン大統領と会談した。
しかし、この訪ロがほとんど成果のないパフォーマンスであることは、識者は皆知っている。
いや、外交に素人の国民でもわかる。
ところが大手新聞はどう報じたか。
すべての新聞がきょうの一面トップでこう書いている。
「プーチン氏来日合意 首相、領土問題に『手応え』」(読売)
「領土問題 交渉加速を確認 日ロ首脳11月にも会談」(朝日)
「日露首脳年内2回会談 首相 領土問題に強い意欲」(毎日)
「首相『領土発展へ手応え』 プーチン氏来日12月15日会談」(日経)
「首相『領土交渉に道筋』、日露11月に再会談」(産経)
これら一面トップの見出しはすべて首相官邸の言葉の垂れ流しだ。
王様は裸である事を知っていながらそうは書けないのだ。
真実を隠す大手新聞がこの国のメディアをリードし、国民に本当の事を教えないのだから、日本の政治が良くなるはずがない。
そんな大手新聞の中でただ一つ、安倍首相の今度の訪ロを一面で無視した新聞がある。
外報面で取り上げ、安倍首相とプーチン大統領の思惑のすれ違いを書いた新聞がある。
それは東京新聞だ。
そこにかすかな救いを見る(了)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201609/CK2016090302000118.html
日ロ会談、山口で12月15日 「領土」めぐり思惑交錯
2日、ロシア・ウラジオストクでの会談で握手する安倍首相とロシアのプーチン大統領=共同 |
【ウラジオストク=栗田晃】安倍晋三首相は二日、ロシア極東のウラジオストクで、プーチン大統領と会談した。両首脳はプーチン氏が十二月十五日に訪日し、首相の地元山口県長門市で首脳会談を行うことで合意した。
プーチン氏訪日は大統領としては二〇〇五年十一月以来、十一年ぶりとなる。首相は地元に招く理由を「ゆっくり静かな雰囲気の中で、平和条約交渉を加速させたい」と記者団に述べた。訪日に先立ち、十一月のペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でも会談を行う。
日本側は五月に行われたロシア・ソチでの前回会談で、北方領土問題が障壁となり停滞が続く平和条約締結交渉について「新たなアプローチ」を提案。
今回、会談途中の五十五分間、通訳だけを残し、プーチン氏と一対一で話し合った首相は「二人だけでかなり突っ込んだ議論を行うことができた」と指摘。さらに「新たなアプローチに基づく交渉を具体的に進めていく道筋が見えてきた」と振り返った。
前回会談では、極東の産業振興やエネルギー開発など八項目の経済協力案を提示。その後、ロシア側からも四十九の共同プロジェクトリストが示され、今回は具体化に向けて協議した。
プーチン氏は会談冒頭のあいさつで「ソチでの提案を真面目に検討している」と述べ、首相は「ロシア極東地域は格好の共同作業の場。日ロ協力を強力に推し進めていきたい」と応じた。会談は夕食会を合わせて約三時間行われた。
◆首相、進展へ足掛かり プーチン氏、G7へ揺さぶり
十二月に実現することになったロシアのプーチン大統領の訪日。安倍晋三首相の北方領土問題の進展への強い意気込みと、欧米の包囲網を切り崩し、日本からの経済協力を得たいロシア側の意向が一致したことが背景にある。
■不透明
プーチン氏の訪日は、北方領土交渉を巡り日ロ間で合意した「新たなアプローチ」の成果が問われる場となる。首相はロシア極東での経済協力を加速して問題の前進につなげたい考えだが、功を奏するかは見通せない。
首相は五月のプーチン氏との会談で、北方領土問題で「新たなアプローチ」で交渉を進めることを提案。極東の産業振興など八項目で協力を進めることを提示した。今回の訪ロ直前の一日には、ロシア経済分野協力担当相を新設し、経済協力の本気度を示した。
日本と旧ソ連は国交回復を定めた一九五六年の日ソ共同宣言で平和条約締結後の歯舞、色丹二島の引き渡しを明記。プーチン氏が共同宣言の有効性を認めていることから、首相は経済協力をさらに進めることで、領土問題進展に向けた足掛かりとしたい考えだ。
しかし、日本はこれまでも、領土交渉と経済協力を並行して推進してきたが、領土問題は停滞が続いてきた。首相は引き続き、プーチン氏との会談を重ねて信頼関係を深めたい考えだが、日本政府内にも「プーチン氏を動かしても、ロシア大衆の合意がないと難しい」と悲観論が根強い。 (関口克己)
■けん制
先進七カ国(G7)の一角である日本へのプーチン氏の訪問は、日本から経済協力を引き出すとともに、ウクライナ危機を巡り対ロシア制裁で足並みをそろえるG7に揺さぶりをかける思惑がありそうだ。
訪日は当初、二〇一四年中を目指したが、ウクライナ危機で先延ばしになってきた。先月三十日、ロシア側が訪日を一方的に明らかにしたのも、日ロの接近に懸念を示してきた米国へのけん制とみられている。
プロジェクトが具体化してきた経済協力も、立ち遅れてきた極東開発に寄与するだけに、ロシアにとってメリットは大きい。
ただ、北方四島をロシアは「第二次世界大戦の結果、正当に手に入れた」との立場を依然として崩していない。プーチン氏も、二日に報じられた米通信社とのインタビューで、経済協力を得られても「領土で取引はしない」と明言した。
一方で、プーチン氏は〇四年に国境を画定させた中国との領土紛争を踏まえ、「同じように両国間の信頼関係が高まれば、妥協できるかもしれない」とも述べた。経済協力先行であれば、その先もあり得るとの示唆には交渉で優位に立とうとする姿勢がにじむ。 (ウラジオストク・栗田晃)
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