ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

山形交響楽団と観客の絆に乾杯!

2011-06-25 15:30:47 | 国内オーケストラ
昨日(24日)、オペラシティコンサートホールで行われた山形交響楽団特別演奏会「さくらんぼコンサート2011」へ行ってきた。指揮は飯森範親。ヴァイオリンはユージン・ウゴルスキ。

【演目】(※はアンコール曲)
モーツァルト/歌劇『魔笛』K.620序曲
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調

  ~休 憩~
チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調
※グリンカ/『ルスランとリュドミラ』序曲
《19時00分開演、21時10分終演》

1曲目。プレトークでモーツァルトの曲は山響では古楽器(ホルン、トランペット、トロンボーン)とピリオド奏法で行うという趣旨を飯森と楽団員が説明したが、演奏はゆったりしていてとても重く、10-8-6-6-4という弦5部には少し辛い演奏になってしまった。確かに、19世紀ではこのスタイルで演奏されたのだろうがもはや21世紀。演奏会場の大きさ、形態、反響などのことを考えると、どうしても無理がある。

2曲目。ユージン・ウゴルスキは1989年サンクトペテルブルグ生まれ。優しそうな端正なマスクをもったイケメン。その音色は透明感に漲っていて甘い香りが漂う。それでいてプロコフィエフ特有の先鋭的な色彩感も表していく。ただ、全体として演奏のメリハリが乏しく、もっと自己主張をしてもいいのではないだろうか。ソリストはおとなしいよりワガママの方がいい。

3曲目。第1楽章。やはり弦の全体のパワーが弱く、先が思いやられるなぁと思ったが、第2楽章に入って一変。ホルンの音色はいまひとつだったが、それに続くクラリネットとファゴットの奥深い低音の響きが心地よく、東北人のもつ粘り強さを表現しているかのようで、ジーンときてしまった。それにつられたかのように、第1ヴァイオリン(コンマス以外は全員女性)がキラビやかなさざ波をうつかのような美しい音色を奏でていく。飯森もここで自信を得たかのように、オケ全体を鼓舞するかのように一つに纏め上げていく。小編成のオケでは無理かと思われたチャイ5だったが、最後はひた向きにして力強いエネルギーの音色を奏であげ頭が下がる思いだった。

4月に聴いた仙台フィルにしても、今回の山形交響楽団にしても、しばらくの間は少し過酷な演奏をする日々が続くだろう。しかし、彼らはそんなことを音色に微塵も見せず、自分たちは東北に心のゆとりを持たせるべく、復興復旧のために演奏していくという力強さを示してくれた。そして、そうした意思表示に対して、観客(特に東北出身者)もできる限り応えていくという意志を示し、オケと観客の絆を感じるコンサートであった。