【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

玉木雄一郎さん「道路特定財源を復活させない絶対の方法を教える」 衆・予算委スタート

2013年02月07日 17時57分54秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

【平成24年度第1次補正予算(案)への基本的質疑1日目 衆議院予算委員会 2013年2月7日(木)】

 2月7日にして、ようやく、補正予算案の衆院予算委での基本的質疑1日目となりました。スケジュールがぎりぎりのようにも思えますが、自民党政権大丈夫なんでしょうか。与野党ともミスが許されない緊張感ある第183回通常国会となっています。

 衆議院予算委員会(山本有二委員長、50人)は民主党は理事が1人、委員が5人となっています。閣僚席・政務三役席は自民党議員ですから、なんともさみしくなりました。

 このため、午前中の自民党議員の間に前原誠司ネクスト財務大臣が登場するなどの工夫で、合計6人が民主党から質問に立ちました。

 やはり、玉木雄一郎さんが印象に残りましたので、玉木さんに絞って書きたいと思います。

 玉木さんは「きょうの議論を聞いていて違和感を感じた」として、「この時期に大幅な国債を発行して、大幅な金額の景気対策をすることへの危機感が感じられない」と喝破。郷土の英雄である大平正芳さんの名を出し、「大平正芳大蔵大臣が初めての国債を発行しようとしたときには悩んだ」とエピソードを紹介し、「安倍晋三首相ら自民党は国債発行に慣れてしまったのではないか」と諭しました。

 安倍首相は「10兆円補正」の積算根拠について「10兆円の規模ありきではなく、重点の3分野を積み上げたら、結果10兆円になった」とし、「デフレ脱却に資する」と述べました。これは問題答弁とも言えるし、さすが3世議員のお坊ちゃん政治家だと妙に感心してしまいました。

 ここで、パネルを出し、平成23年度決算の税収が43・83兆円、国債発行が43・80兆円で、4次補正までした復興予算の平成23年度決算で税収が国債を上回っていたとの新事実を公表しました。なお、この国債には、建設国債、復興債は入っていないんだと思います。

 そして、「本会議で岸本周平議員も指摘したが」と述べました。この後に質問に立った岸本周平さんも「さきほど玉木雄一郎議員も指摘したが」とお互いの名前を述べており、政権交代から小選挙区2回連続当選の2人が、良きライバルになっているようでよかったです。まあ13歳差ですから。そして、今国会にいない130人は、NHKを見ながら、どのような心境になったのか。悔しいと言うよりも複雑な気持ちでしょう。ただ、政権交代ある小選挙区2大政党政治では、30代前半の議員は別として、これから先に、玉木・岸本を抜く、ということは無理なんだろうと感じます。だから、玉木首相、岸本首相を衆議院議長として支えよう、という発想の展開が必要でしょう。

 衆議院第一委員室にもどって、玉木さんは、「本会議で岸本議員も指摘していたが、財務省主計官は、当初予算の査定では徹底的に(概算要求を)叩きまくるが、補正予算となると、一気にゆるむんです」として、麻生太郎財務相をただします。ここで、麻生財務相は「補正予算は緊急性が高いから」との答弁を引き出しておいて、さっそうとパネルを取り出しました。パネリストは同期の後藤祐一さん(神奈川16区比例復活)。

 ここで、「JENESYS2.0(じぇねしす2てん0)および北米地域との青少年交流」というパネルを出して、岸田文雄外相が答弁。そのうえで、「補正予算でこういうことをやると、財政は破綻する」と語りました。

 また、私も補正のたびに気になっていた文科省の予算も取り上げ、「心のノートは9割の学校のうち4分の1は必要なときにPDFをダウンロードして使っているが、今回の補正予算に盛られているのは紙だ」と指摘。選挙区内に印刷業者が多い下村博文文科大臣は緊急性を強弁しました。

 この後、「当選3回の稲田朋美・行革大臣に期待している。行革大臣は出世の登竜門」とすると、稲田大臣は「初めて予算委員会で答弁させていただきます」と初々しく答弁。

 玉木さんは「同じ行革村の一人として応援したい。 そのうえで、事業仕分けは廃止してもいいけど、行政事業レビューシートは残して欲しい」と要望しました。

 ちなみに、新聞記者業界では「ネタ元」を探すのはあまりお行儀は良くありませんが、玉木さんの青少年交流や心のノートは外務省や文科省の行政事業レビューシートを見ていて問題意識を持っていたのだろうと考えます。そして、平成23年度決算は、なんと昨年の11月16日(金)の解散当日に国会に提出されたものです。ですから、提出当日に目を通した衆議院議員は一人もいなかったでしょうが、玉木さんはこうしてパネルにしているのです。これが衆議院なんです。だから1期生は、解散までのサイクルを覚えるまでは、ぞうきんがけに徹するべきだったんです。

 衆議院第1委員室に戻ります。

 ここで、野田毅・自見党税制調査会長が書いた与党平成25年税制改正大綱に「道路特定財源のような書きぶりが入った」ことについて、安倍首相から「絶対違う」と答弁を引き出しました。そのうえで、「私は安倍首相は改革派の仲間だと信じています。だから、道路特定財源を絶対になくす方法を教えましょう」。

 そのうえで、昨年の第180回通常国会に民主党政権が提出し解散で廃案となった「特別会計改革法案」では、「社会資本整備事業特別会計を(空港整備勘定の経過勘定化をのぞいて)廃止(して一般会計化)することになっている」として、特別会計改革法を自民党政権が成立させれば、道路特定財源化をめぐる混乱は起こりようがないと教えてあげました。

 なお、5年前のガソリン国会(道路国会)でなつかしい、治水特会、道路特会などの「社会資本特会」を廃止すると、4・5兆円の財源が一般会計に入ります。6年前の「年金国会」を受けた「消えた年金」追及も、長妻昭さんが質問の最後に予告しており、頼もしい限り。

 これについて、おとといの衆議院本会議で、野田聖子自民党総務会長は「自民党が道路特定財源を復活させるかのような報道は、新聞の誤報であり、意図的な情報誘導だ」としたうえで「安倍内閣への忠誠をお誓いして、私の質問といたします」としました。このように自民党総務会長が新聞のせいにしたうえで、総裁(総理)への忠誠をお誓いするやくざ・あねごの自民党国会から、麻生副総理をだしにし、岸田外相、下村文科相を攻撃した上で、稲田行革相をたたえ、安倍首相を盛り上げ、廃案になった法案の成立をお願いする。疲れるけれども、力のある者たちが「決める政治」。

  玉木さん、すごすぎるかも。

 「野田・高市」の罵りあい足の引っ張り合いコンビから、「玉木・岸本」のお互いをたたえ支え合うコンビへ。

 余裕がない時代の新しい日本。歴史の歯車も早く回り出しています。それは運命だと思えば、何もおそれることはありません。まあ、2区に限らず香川県とか、1区に限らず和歌山県だとか、そういう土壌があるんじゃないですか、きっと。

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