【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主党7首脳、延長なく6月22日にも閉会の方針

2011年05月07日 18時14分40秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 第177常会(第177回通常国会)が延長せず、6月中に閉会する公算が高まってきました。

 民主党7首脳のひとり、「頼れるアニキ」安住淳・国対委員長は6日、通常国会の会期延長について「現時点では考えていない」と述べ、「国会は6月で終わるが、政府の復興構想会議などの話を聞き、腰を落ち着けて(第2次補正予算の)編成作業に入りたい」「地元の意見を聞いて7月に踏み込んでしまうのは仕方ない。その方が本格的な2次補正を練られるのではないか」と強調しました。日経新聞などが報じました。また同じく7首脳のひとり、内閣官房副長官と民主党代表代行を兼ねる仙谷由人さん(仙ちゃん)は、5日、「できることを的確にしっかりやっていくこと(が重要)だ。会期を巡る駆け引きみたいな話が出てくるのは望ましくない」と述べました。

 今国会の会期は2011年6月22日(水)まで。財金委の6月30日(木)につなぎ法が切れる「国税などの改正法案」、「平成23年度の赤字国債発行の臨時特例法案」、それと総務委で6月30日(木)につなぎ法が切れる「地方税などの改正法案」の3法案が会期中に絶対的に成立させなければいけない法案です。この法案が滞れば、小幅延長もあるかもしれませんが、基本的には6月22日(水)で閉会ということになりそうです。

 延長無しで閉会すれば、通常国会としては政権交代以来2年連続ということになります。これには、衆議院インターネット審議中継、参議院インターネット審議中継、ニコニコ動画による国会中継の充実と視聴者の増加により、野党が欠席戦術をとれなくなったことが大きく貢献しています。デモクラシーの前進です。連休明けの5月9日(月)から小沢グループが倒閣をしかけてくる可能性があります。ぜひ国民総監視で小沢グループを干上がらせましょう。今は「訓政期」。権力とは何か?を私たち国民が習得するのが2011年の政治劇場だと、私はとらえています。

 民主党政権(衆院で民主党・無所属クラブが第1会派)となった2009年8月以降では、会期の延長は、小沢一郎・山岡賢次執行部の人間としてのコミュニケーションの未熟さによる技術的なミスが連発したことにより、第173臨時国会が「4日間」小幅延長された1回だけとなります。

 しかも、このたった1回切りの、「与党・民主党」としての延長国会初日には、当時、「鳩山官邸」と「小沢党」で対立していた鳩山グループ幹部の川内博史さんが政府外30議員を引き連れ、小沢一郎幹事長(当時)室に「討ち入り」するという事件が起きており、この出来事で、国民支持率が低かった小沢幹事長の党内支持率も低下しはじめ、その次の第174国会会期末に辞任に追い込まれ、失脚しました。このように、会期延長にはつねに政権運営における不安定要素がつきまとうため、7首脳は、国民のために、静謐さのなか、補正を組むことを好んでいると思われます。ただし、マスコミが7月、8月の「夏枯れ」に苦しむことになることから、最終盤国会でのゴタゴタを、喜んで報道する傾向がありますから、ぜひ、ご注意いただきたいと思います。

 できれば9月30日(金)につなぎが切れる「子ども・児童手当法」についても、第177国会のあいだに、民主党と公明党の間で成案を見たいところですが、これは税制再改正(幼年扶養控除の復活)が必要となる可能性もあり、第178回臨時国会へ「子ども・児童手当」の議論が先送りされる可能性が高くなってきたと思われます。

 2次復興補正には、「復興構想会議の第1次勧告」や「税と社会保障の一体改革」を盛り込む方針。また、3次補正があるかどうかですが、いずれにしろ、平成24年度当初予算にも復興歳出は盛り込まれるわけですから、3次補正があるかどうかはあまり重要ではない、と私は考えます。

 なお、老婆心ながら、国会閉会中にもかかわらず、平成23年度第2次復興補正予算(案)の編成のプロセスで、夏に会合や議連で上京した政府外議員は、アニキに半殺しにされることを覚悟すべきです。また、すでに公明党が賛同している内閣法改正案が今国会で成立した場合は、閉会後すぐに、3人の閣僚が増員される見通しです。 

asahi.com(朝日新聞社):2次補正予算「20兆円近い規模」 安住国対委員長 - 政治

 民主党の安住淳国会対策委員長は6日、東日本大震災の復興に充てる第2次補正予算について「規模は20兆円に限りなく近くなる」との考えを示した。宮城県石巻市で記者団に語った。

 安住氏は、首相の諮問機関である復興構想会議が6月に中間報告をまとめることを踏まえ、「中間報告や地元自治体がつくる復興ビジョンも聞いて、7月中に2次補正を編成したい」と表明。漁港や鉄道の復旧に加え、水没した土地の買収、政府内で総額4兆円と試算される福島第一原発事故に伴う損害賠償などが柱になるとみられる。

 安住氏は第3次補正予算の必要性に言及しており、これらの一部は3次補正に回る可能性もある。

仙谷副長官、国会の会期延長に否定的 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 仙谷由人官房副長官は5日、野党などが東日本大震災への対応を理由に6月22日までの通常国会会期の延長を求めていることについて、「できることを的確にしっかりやっていくこと(が重要)だ。会期を巡る駆け引きみたいな話が出てくるのは望ましくない」と述べ、延長に否定的な考えを示した。

 長野県北部地震の被災地を視察後、新潟県十日町市で記者団の質問に答えた。

 政府・与党は今国会は延長せず、震災復興関連の2011年度第2次補正予算案は夏以降の臨時国会で成立を図る案を検討している。仙谷氏は新潟県内のほか、長野県栄村の被災現場なども訪問した。



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