【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「3党合意」が最大の争点に急浮上 きょう民主党代表選

2011年08月29日 06時55分55秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意


 おはようございます。

 いよいよ、第177回国会は、国会史上220日間の会期を今週で閉じます。残り3日間となりました。

 そして、きょう2011年8月29日(火)民主党代表選(古賀一成・中央代表選挙管理委員長)が開かれます。

 やはり与党ということで、土曜日は日本記者クラブ主催の会見(司会は企画委員の川戸惠子さん=元TBS政治部記者・アナウンサー)、日曜日は、フジテレビ新報道2001、NHK日曜討論、テレビ朝日サンデーフロントライン(サンフロ)、党主催の討論会(ネット中継)、夕方には日テレ「バンキシャ」で5人の候補が討論しました。そこそこ良い議論が出来て、民主党の支持率の底上げにつながったと、私は思います。

 そして、ここに来て、驚くべきことに、トップランナーとみられた候補者が「新執行部は、3党合意を白紙にするか、見直すか検討して決める」との発言をくり返すという驚くべきハプニングがありました。これはこの候補者(現職閣僚)が、6月2日(木)の自民党・公明党・たちあがれ日本による菅内閣不信任案に対して前夜賛同する意向を示す夜会合を開いた71衆院議員らが属する「マニフェスト原理主義派」に擁立されたため、3党合意を見直すことを示唆したのだと思います。

 公明党代表の山口那津男さんは、6月2日の内閣不信任案否決のあと、支持者に対して平謝りの状態でした。が、8月26日、菅直人さんが退陣する意向を表明したことについて、「(6月2日に)実質的な退陣表明をして約3ヶ月の政治空白をつくった責任は重い」としたうえで、「新しい代表は3党ですでに合意されたことをきちんと与党として履行する責任を持つべきだ。3党で合意した土俵を生かし、復旧・復興、円高などの当面の課題に取り組むことを求めたい」と記者団に語った、と報じられています。

 仮に3党合意を白紙にした場合は、第3次補正予算の編成で、子ども手当、高速道路無料化の“2k”の歳出の部分的減額補正ができなくなり、年金財源の国庫負担分の1次補正で転用した歳入の2・5兆円の穴埋めができなくなります。いわば、“勧進帳”にたとえれば、義経(菅さん)を見逃した富樫(自民党)、番卒(公明党)の顔に泥を塗ることになります。国会はちゃぶ台返しの大混乱。とくに自民党では幹事長が党内や、参院執行部から突き上げられるでしょう。そして、3次補正予算(案)は参議院で否決されるか、参・議運委員会(自民党の鈴木政二さんが委員長)が本会議に上程させず、補正予算では異例の30日ルール適用も視野に入るかも知れません。これではだれが総理になっても、民主党政権は年内に倒れます。

 公明党の漆原良夫・国対委員長は、公明新聞日曜版(8月28日付)で第177通常国会を振り返り、特例公債法案(閣法1号)について、「自民党の一部では、これを解散・総選挙を迫る手段とする考えもあったようですが、公明党の考えは全く異なり、あくまで政策判断で対応しました」と述べています。そこで、3党協議いわば”勧進帳”においての政策協議(“山伏問答”)では、「赤字国債の発行は、次の世代への“ツケ”となります。そこで少しでも次世代への負担を減らすため、公明党は、子ども手当、高速道路無料化など不要不急の予算の見直しによる歳出削減を行い、第1次補正予算に流用した年金臨時財源2・5兆円の補てんなどができるならば、認めても良いとの考えでした」と説明しました。そして、漆原さんによると、「8月4日に公明党が呼びかけ、民主、自民との3党協議が始まりました。その結果、『政局より政策で判断すべき』との公明党の主張を自民党も理解し、8月9日に3党幹事長が合意したのです。評論家の森田実氏は、この合意を『国会の危機を救った公明党』と高く評価しています」と自画自賛しています。

 これに対して、半年間、特例公債法案について党幹事長と政調会長、実務者による協議内容を把握しながら答弁してきた財務大臣は「3党合意がなければ、3次補正はできません」「これやらないと信頼損ねます。内閣もたないと思います」とテレ朝で述べました。この候補者は「与党とは、坂道をみんなで雪だるまを持ち上げていく作業だ」として、民主党内の人材を使い切るとの姿勢を示しています。また農相も、4kの一つがターゲットになったこと、およびその政局感から、「3党合意、これはきちっと守っていかないといけません」と述べ、「3党合意の政策効果を検証する」と先を見た発言をしました。前外相や前国交相も3党合意を守ると述べました。

 この経産相の発言は、致命的な大失言だと考えられます。ただ、民主党は衆院1期生が多いことと、参議院議員の、中央代表選有権者に占める割合が以前より下がったことから、「3党合意見直し」という失言が地雷、自爆装置であることに気が付かない人も一定数いることが予想されます。また、経産相がきょうの投票会場での15分間の演説で発言を修正する可能性もあります。

 ところで、財務相と前外相が激しい2位争いをしています。2位以内にならなければ、決選投票の得票は「ゼロ」。この両陣営の2位争いが、結果として決選投票での末脚につながる可能性が出てきました。民主党代表選の結果は、午後2時過ぎには明らかになるもようです。



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