[写真]秋空の自民党本部、手前は赤信号、2015年、筆者・宮崎信行撮影。
労働者保護のために懸案となっていた、解雇後の、民事訴訟での事後の金銭解決とあわせて、事前の金銭解決も並行して議論する、「透明かつ公正な労働紛争解決システムなどのあり方に関する検討会」が先月10月29日から始まりました。
旧労働基準法の第18条の2、あらため、現在の労働契約法第16条は、
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」
と規定しています。
もともと、事後の金銭解決は労働者のために必要だとされています例えば「懲戒解雇」となった人が労働審判や民事訴訟で「懲戒解雇は無効なので、職場復帰させるべし」との判決が出た場合。ここで、労働者が普通解雇で計算した退職金や受け取るとることができなかった賃金の一定割合などの金銭での解決、すなわち和解金を求める場合は、もう1回、第二弾の訴訟が必要でした。また、高裁で「職場復帰」、地裁で「退職金」の裁判が同時並行になってしまうことになりかねません。これを一段階で済むようにすることは長年の懸案でした。これを「解雇の事後の金銭解決」とします。
基本的にはこれについての検討会です。
ただ、安倍自民党への政権交代後、アベノミクス第3の矢「成長戦略」のメニュー表である、平成26年2014年6月の閣議決定「日本再興戦略」。こののなかに、「判決による金銭解決ができるしくみ」を「2015年中に幅広く検討を進める」と入りました。
そして明けて今年平成27年2015年6月の閣議決定「規制改革実施計画」に「労使双方が納得する雇用終了のあり方」を「2015年中の可能な限り速やかに検討開始」と盛り込まれました。
この「労使双方が納得する雇用終了のあり方」も検討会の議題です。おそらく解雇の事前の金銭解決を念頭に置いてあることは、ほぼ間違いないでしょう。
一定の補償金を払えば、「企業の解雇権」は民法第1条第3項「権利の濫用は禁じる」の例外として許可される、労働基準法・労働契約法改正案が用意されるかもしれません。
解雇の事後の金銭解決と、解雇の事前の金銭解決の無理解で世論が割れると、労働者分断工作が成功し、経済的にも、民主主義としても、自民党・経団連がますます力をつけることになりそうです。
例えば、「事後」が法制化されれば、「懲戒解雇処分のうち、懲戒は無効だが、解雇は有効。なので、普通解雇として退職金を計算して支払え」という和解判決が可能になります。このような労働者優位の「事後」ができるようにする法改正が優先されるべきです。
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(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki
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