【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

既成政党おわびの夏 自民党・吉野さん「原発、わが党は真摯に反省」

2011年07月29日 10時53分06秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]自民党の吉野正芳さん、2011年7月28日(木)、衆院本会議、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 衆参与野党が修正した「原子力災害の賠償機構法案」(閣法84号)と、「原子力災害の国による仮払い法案」(参法9号、佐藤正久さんら野党5党提出)がきのう28日の衆本で一括して採決されました。「機構法案」には社民党、日本共産党が反対、「仮払い法案」は日本共産党が反対しましたが、起立多数で可決しました。「機構法案」は参院に送付され、参院で可決し、衆院で修正議決した「仮払い法案」は参院に「回付」されました。

 まさに「正念場(性根場)国会」「信なくば立たず国会」となった第177通常国会ですが、

 民主党幹事長の岡田克也さんが2009年マニフェストの一部が予算化できないことを、7月21日の記者会見で、国民に謝罪し、翌22日に自民党幹事長の石原伸晃さんと公明党幹事長の井上義久さんに謝罪文を提出しました

 一方、自民党もおわびです。

 28日の本会議で、自民党議員が「原子力推進」について次のような発言をしました。

 両案の賛成討論に立った福島県選出の吉野正芳さんは、「自由民主党は1970年の石油ショック以来、国内に有力な天然資源を持たず、そのほとんどを海外からの輸入に依存するともに、島国で他国から電力の供給をうけることができない我が国が、国民生活の向上と安定的な成長を維持していくために、必要な手段として原子力発電を基盤エネルギーの一つとして推進して参りました」としながら、「しかしながら今回の原発事故は、

 安全を大前提として推進し着てきた原子力政策が安全を確保できない結果を招いてしまいました。このことについて、

 我が党は真摯に反省し、国民のみなさま、とりわけ避難を余儀なくされている福島のみなさまに心からお詫びします」と述べました。

 まさに二大政党おわびの夏。ついでに、公明党は選挙をめぐり一部誤解を招いたこと、社民党は細川・羽田内閣、村山・橋本内閣、鳩山・菅内閣と3回連続で連立政権を離脱したことをおわび良い機会ではないでしょうか。選挙は再来年ですから、各党おわび倒しの夏にしたらいいと思います。スッキリしましょう。

 ◇

 話は変わりますが、特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)をめぐる子ども手当の3党修正協議がまとまっていませんが、きょう29日(金)の午前9時から、衆院財務金融委員会で特例公債法案が議題となりました。財務大臣の野田佳彦さんは「野党の理事のみなさまのご協力に感謝する」として、「バラマキ4kは~~」と自民党用語も使いながら答弁しています。ただ、修正協議ができていないので、先物取引や原発に関する質疑答弁がされていますが、アクセルをふかしながらエンジンを温めている状態です。なお、野田さんは「8月31日(水)までの会期末までに成立しないと、予算の執行を抑制することになる」と述べたのに対して、自民党の齋藤健さんは「よく分かりました。その点を踏まえて国会も対応しないといけない」と応じました。

 自民党の底力が出てきました。やはり、“個人事業主”商店街・町内会型”政党である自民党の総裁には、谷垣禎一さんが適任なんだろうと考えます。それに比べて、きのうの衆院本会議では、小沢グループがまさに本会議場を“徘徊”しながら、肩を叩いて、本会議場の外に悪い話をしに連れ出したり、議員連盟の案内でも配るのか、まったく演説を聞いてなかったり。記者仲間や地方議員らが、「あの人は次はアブナイ」と言われている人ほど、演説を聞いていません。一方、議員本人は「ヤバイヤバイ」と良いながら、他の秘書さんからも「ああいう先生は次も受かっていくんでしょうね」といわれる議員は、ずっと前を向いて、2時間聞き入っている。ないしは、代議士会でもらった原稿をずっと見ている。ハッキリしています。門前の小僧習わぬ経を読むというやつで、本会議はよく聞くべきでしょう。昨日の委員長報告なんかはあれだけの複雑な審議手続きを、スッキリとした原稿でコンパクトに説明していました。

 小沢グループがやたら本会議場を“徘徊”したり、連れだって出ていくのは、代表選が近いという認識からでしょう。しかし、議席数とは別に昨日の衆院本会議はすでに政権交代している状態に思えました。ですから、本当に政権交代したら困るので、民主党は意地でも2年間解散しないと思います。それが政権交代ある政治で、悪いのは、有権者が過半数の241議席、絶対安定多数の269議席をはるかにこえる議席(308議席=開票日時点の公認者)を与えたことの身から出た錆です。ちなみに当ブログの500本を超えるエントリーがある第45回衆院選カテゴリーのどこにも、「300議席以上欲しい」とは書いていないはずです。逆に与党時代の自民党について「私の考えでは、政権政党は(郵政造反組が復党したことにより)300議席を超えたことで自壊が始まる」という趣旨のことを書いていると思います。これは小選挙区を超える議員数を抱えたとたんに、党としての一体感を失うからです。本会議場から出ていく小沢グループは、すでに本会議場では政権交代しているというターニングポイントを迎えたことにまったく気付いていない風情でした。残り2年間の任期の主導権を持つために、代表選をやるのか、それとも2年後に、さらに4年間の与党の任期を得るのか。これがトレードオフの関係になりつつあるように思えます。ただ、ちょっと演説そのものが分かっていないようですから、どうにもなりません。小沢グループではないのですが、私の当選前からの友人3人ほども、まったく議事を聞いておらず、選挙区情勢は分かっているだけに、まあ、どうにもならないのかな、という感じもしました。冷たいですかね?



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