【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第185回臨時国会終幕 特定秘密保護法が成立、ニコニコ国会生中継20万人突破

2013年12月07日 00時59分59秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

[画像]視聴者20万人を突破したニコニコ生放送「参議院国会中継」、2013年12月6日(金)午後9時53分、スクリーンショット、赤囲みは筆者加筆。

 第185回臨時国会は、2013年12月6日(金)深夜(7日未明)、事実上閉幕しました。

 特定秘密保護法(185閣法9号)は成立してしまいました。

 法案によると、

「附則(施行期日)第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」

 とあります。

 午後6時過ぎの衆議院本柿木で会期を2日間延長されてしまい勝敗は決しましたが、国会周辺で抗議する国民の声を代弁するために民主党などは審議未了廃案のために、徹底抗戦。

 参議院本会議は前夜に延会手続きをとったため、ニコニコ生放送の国会中継では、「午前0時10分開議」の表示のまま、午後3時15分開議。

 金曜夜ということで、日ごろ国会を見づらい勤める人々の関心も集まったようで、法案採決を前にした特別委員長問責決議案の福山哲郎さんの趣旨説明に続いた白真勲・民主党広報委員長の賛成討論演説が終わった午後9時53分に「視聴者20万人」を突破しました。

 この後、みんなの党の小野次郎さんは「私はみんなの党、そして、この寒空の下、十重二十重(とえはたえ)に国会議事堂を取り囲んで慎重採決を求める皆さんの思いを込めて演説する」と切り出しました。小野さんは、東大法学部卒、昭和51年警察庁入庁、元鹿児島県警察本部長の警察官僚出身。

 これに先立ち、朝の閣議で、政府は2つの答弁書を決定。

 みんなの党の寺田典城さんに対して、特定秘密保護法案を担当した内閣官房内閣情報調査室(内調)は過去5年間に法案を書いたことがない、としました。民主党の長妻昭さんに対しては、特定秘密が30年間経つ前に廃棄される可能性がある、との答弁書を決定しました。

 午後7時半の衆議院本会議で、民主党は第2次野党期初めてとなる内閣不信任案を提出。海江田万里代表が趣旨説明し、「特定秘密は官僚が指定し、官僚が解除する。いわば検察官が裁判官を兼ねるようなものだ。官僚による官僚のための政治だ」と自民党の官僚主導政治を批判しました。今回の国会審議では「内閣官房の鈴木審議官」が答弁しましたが、いったい「内閣官房の鈴木審議官」って誰?という感じです。それでいて、5年以上法案を書いていないのですから、誰に怒りをぶつければいいのでしょう。

 不信任案の賛成討論で、民主党の三日月大造さんは「きょう、南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領が亡くなった」と偉大な責任ある政治家の名前をだし、「この議場は全体主義のようだ。驕れる者は久しからず」と語りました。

 参・本会議で、金子洋一さんは「昔の自民党のようなスケジューリングの達人がいなくなった。森大臣ではなく谷垣法相が担当の方が良かったのではないか」と演説すると、ツイッターなどで自民党支持者からも賛同が出ました。

 福山哲郎さんは「中川雅治特別委員長は理事会を休憩しないで、委員会室に委員会を開いた。理事会と委員会が同時に開かれている状況は憲政史上初だろう。それでいて、中川委員長は人が良いのでしょう、『理事会室に戻りましょうか』と言った。手続きの瑕疵に気づいたのでしょう」と運営を批判。「野党であっても後ろに国民がいます。そのことに対して与党は傲慢すぎる。猛省を促します」としました。

 白真勲さんは「中川委員長の事務所には抗議電話が殺到しているでしょう。なぜ、それが分かるかというと、民主党の同姓同名の中川まさはる(中川正春)衆議院議員の事務所にも、抗議電話がひっきりなしにかかってきているからです」と語りました。

 一方の自民党は5日(木)の午前1時ごろの本会議で、三原じゅん子参議院議員が「改めて言います。民主党のみなさん、恥を知りなさい」「その滑稽さと馬鹿さ加減に気づかないところが民主党の民主党たる所以なのです」と演説したことに批判が集まっています。

 このような平場での演説力の強さを民主党が見せつけたことで、6日のニコニコ生放送国会生中継は、最終的に22万3000人が視聴しました。

 会期末に、参院では、特定秘密保護法、国家戦略特区法、アルコール健康被害対策基本法、公正取引委員会の検査部門を分離する改正独占禁止法
が成立。
 
 衆院では、参院先議の生活保護2法(不正受給防止と自立支援)、がん登録推進法、中国残留孤児遺族配偶者給付金法が成立。

 委員会の会期末処理で、閉会中審査(継続審査)法案として、3党合意済みの閣法である国家公務員改正関連法案。衆院の定数是正と削減をする、民主党と維新のそれぞれの公職選挙法改正法案、農業者戸別所得補償法案、国と地方の財政健全化法案、林野事業公務員の労働関係法案、情報公開法改正案など情報管理関連5法案などすべて閉会中審査となりました。

 衆議院規則第1条の「議員は、召集詔書に指定された期日の午前十時に、衆議院に集会しなければならない。」を「議員は、召集詔書に指定された期日の議長が定めた時刻に、衆議院に集会しなければならない」との改正を本会議で議決。2014年(平成26年)の通常国会を迎えることになりました。

 可もなく不可もなく、浮き沈みもなく、という感じだったことし1年間。まったく風邪を引かずに、国会傍聴、国会ウォッチを続けることができました。

 ご協力いただいたすべてのみなさまに感謝申し上げます。

 ありがとうございました。 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿