【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆議院予算委基本的質疑1巡目から与野党委員間で児童手当の所得制限見直し機運が高まる「戦闘機飛来したら反撃能力」の謎の答弁も

2023年01月31日 17時43分48秒 | 第211回通常国会(2023年1月)

 第211回通常国会は序盤から、3代目岸田文雄ファミリーのずれっぷりに批判が集まりました。「育休・産休中にリスキリングできる」とした首相答弁が土日にSNS炎上し月曜日午前中に自民党議員が火消し。長男の政務秘書官からお土産をもらったかが今朝の閣議後会見で一斉に質問され、全閣僚がお土産をもらっていたらしいということが明らかになりました。

 おととしの菅義偉首相の、長男・上司・総務省局長の3人の会食の音声データでは、小一時間したところで、長男ば「BS!BS!BS!」と3回絶叫し、上司が「あれはCSだよ」とたしなめつつ、けっきょく局長にBSの規制改革の話題に持っていくという、一種の哀れさがありました。

 しかし、前々回の総裁選(敗北)をめぐり日テレ「バンキシャ」で肉のハナマサで食材を買い、赤坂議員宿舎で合計3名で料理・食事を楽しむ岸田さんが、8月なのに、鍋料理をしているずれっぷりを私は見逃しませんでした。

 それはさておき、長妻昭政調会長から質問がスタート。長妻さんはことし最初の政調全体会の冒頭あいさつで「29年ぶりの与党修正」に言及しました。

 首相炎上とは別に、与野党の委員から、「児童手当の所得制限を外してはどうか」とのコンセンサスができつつある異例の基本的質疑となりました。

【衆議院予算委員会 きょう令和5年2023年1月31日(火)】
 「令和5年度予算案」は3日目で、基本的質疑1巡目の後半でした。

 立憲民主党は幹事長の岡田克也さんの関連質疑で、長妻昭政調会長が登場。長妻さんは、民主党政権マニフェスト「3つの約束」の目玉政策「子ども手当」を振り返りました。マニフェストでは所得制限なしの1人月2・6万円でした、平成22年度予算案編成をめぐり、小沢一郎幹事長(当時)が「全国民からの要望だ」として所得制限を要求。鳩山由紀夫首相が政府原案を自ら記者会見説明し「所得制限はいたしません」と党内での紛争があったことを明かしました。その後、12年前の統一地方選直前に、野党・共産党が突如「子ども手当法」に賛成して、成立。野党・公明党は市川市議会からの横展開「児童手当法」にこだわりましたが、このときの混乱はいったん収束。しかし、その後「バラマキ4K」をめぐる民自公3党実務者協議を経て、社会保障と税の一体改革法で、所得制限が法定化しました。

 2007年のミスター年金、長妻昭さんは政権交代後に4期生では唯一入閣して、厚生労働大臣をつとめました。5号館に入る時には拍手なしという禍根を残す扱いを受けました。

 長妻さんは大臣として陪席した参議院の委員会で丸川珠代さんから「愚か者めが、くだらん選択をした馬鹿者どもを絶対に許しません」との言葉を浴び、これを自民党が1500円のTシャツにしてネットウヨらに販売したことを取り上げました。これまで民主党政権担当者の反論を、日本国民は聞く耳を持たないという印象でしたが、ようやく潮目が来ました。

 長妻さんは「消えた年金」について、死亡した人のデータも見られ、遺族が数百万円を取り戻した例もあるとして、政府が広報すべきだとしました。

 玄葉光一郎さんは外相経験者だとして、存立危機事態における反撃能力で質問。首相は「(日本列島に)戦闘機が飛来したら」反撃できるという趣旨の答弁をして、波紋を呼びそうです。さらに、復興特別所得税を導入したときの政調会長兼大臣としての忍びなさを振り返りつつ、期間が延長されるかどうか気にしました。根本匠委員長も同調しているようにも感じられました。

 国民民主党の浅野哲さんは、先日内閣府にこども担当相をたずね、児童手当の所得制限撤廃を訴える岡山の市民らの取り組みを紹介しました。同党は、きょう参議院に法案を出しましたが、最大野党の岡田克也幹事長は同日の定例記者会見で「なぜ単独で出すのか」と不快感を示しつつ、方向性は同じだとしました。

 あす2月1日(水)午前9時から、全閣僚出席の基本的質疑2巡目が開かれます。テレビ中継はありません。

 で、早々に落としどころを探してみました。児童手当法第5条に所得制限の根拠がありますが、金額はすべて政令委任。閣議決定だけで所得制限は撤廃できます。

 特別会計予算書の紙で263ページ(PDF268ページ)を見ると、年金特会の中の児童手当勘定は1兆1849億円と巨額です。仮に所得制限を撤廃すると数千億円の増額となるでしょうが、予備費ではなく、特別会計の与党修正ということもできなくはないと思います。これは提案です。当初予算の修正は平成6年の野党・新進党の要求を受けて与党・自民党が住専への6000億円を落としたのが最後で、民主党発足後は一度もありません。

【閣議 同日】
 閣議後の記者会見で「岸田翔太郎政務秘書官から土産を受け取ったかどうか」問われました。例えば、文部科学大臣ならば、社会部や科学部の記者が政治部デスク・キャップからお願いされて、代わりに聞いたことになります。

【参議院 同日】
 なし。

以上です。

 

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