【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

首相、第3回「物価・賃金・生活総合」開くも具体的指示まったくなく週内夏休み、政策パッケージ9月上旬とりまとめで、第210回臨時国会は来月9月下旬の公算も

2022年08月15日 22時58分45秒 | 第210回臨時国会 黄金の2年間 統一教会
[写真]岸田文雄首相(中央)、先月、東京都内で、宮崎信行首相。

 きょう令和4年2022年8月15日は月曜日ですが、繰り上げ閣議がありました。先週も、翌日の長崎行きを前に、月曜日の繰り上げ閣議でした。報道によると、首相は今週は夏休みとなり、来週月曜日に出邸(官邸に出勤)するようです。

 きょうは第3回「物価・賃金・生活総合対策本部」がありました。この日程感覚は、先週水曜日(10日)の内閣改造のあと、金曜日に、西村康稔・経済産業大臣と山際大志郎・経済再生兼コロナ相から示され、きのうのNHK日曜討論でも言及がありました。

 ところがきょうの本部は、「3点の指示」として(1)輸入小麦の10月1日の公定価格の据え置き(2)ガソリン高の元売りへの補助金の9月30日以降への延長と原発合計9基の再稼働(3)1兆円の交付金の増額ーーについて、上述と寺田稔総務大臣に対して、概算要求後の9月上旬にまとめるよう語っただけ。これは参院選前からのメニューからの追加はまったくなく、時間の延長と金額の上増しだけです。

 その財源について首相は「新たな財源措置を伴うものについては、コロナ・物価予備費を機動的に活用し、国民の皆さんに迅速にお届けします。その上で、経済は生き物です。状況に応じて、前例に捉われることなく、切れ目なく大胆な対策を講じてまいります」ときわめてあいまいな発言をしました。

 予備費で対応し、9月上旬の政策パッケージをもとに、かりに第2次補正予算(案)を編成するとしても、第210回臨時国会の召集は9月下旬の「国葬儀」に前後した週までずれこみそうです。

 また、「令和5年度予算案への概算要求の敗者復活戦の補正予算案前倒し」も今回はなさそうな気配。もちろんこれは財政民主主義の観点からもないに越したことはありません。

 今週金曜日10時からの衆議院厚生労働委員会閉会中審査2時間コースでは、加藤勝信厚生労働大臣は、当日朝は閣議なく先週水曜日の再登板以降に首相からの新しい指示は全くなくコロナ対策の質疑に応じることになりそうです。

●GDP2%での財政負担不要な「持続的な賃上げ」も策なしか

 「岸田インフレ」と野党が第26回参院選で攻撃して、とくに成果がなかった物価高(米欧の歴史的インフレと量的緩和終了・利上げとウクライナ戦争)については、それ以上の賃上げと年金スライドがあれば問題ないーーという正しい経済理論がようやく日本でも今世紀初めて定着しました。

 が、首相は「また、物価上昇が国民生活に大きな影響を与えている中で、持続的な賃上げが重要です。持続的な賃上げに向けた総合的な取組みの一環として、本日議論した、下請け中小企業へのしわ寄せ解消に向けた価格転嫁対策の強化を進めてください」と述べただけ。

 日本の人口の社会的・自然的増減がほとんどなく、年率2%前後の経済成長率でコロナ禍の経済規模に実質円ベースで戻った現下の経済情勢で、「持続的な賃上げ」が可能かは政権の先行きの試金石。連合(芳野友子会長)春闘は「2・07%」なのに人事院(川本裕子総裁)勧告は「0・23%」にとどまっており、「国家公務員給与法改正案」(第210閣法 号=未提出)をめぐって10月に政府の取り組みを野党がただすことになりそうです。

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