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経済安全保障法案から、工作機械の取引を規制するワッセナー・アレンジメントの国内実施法「外為法・輸出管理令」の改正条項は先送り

2022年01月14日 16時40分30秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]「日本国際工作機械見本市」を訪れその1ヶ月足らず前に逝去した先代(実父)の遺影を掲げて満面の笑みを浮かべた筆者、4年前の2018年11月、東京・江東区で撮影、一部修正。

 「経済安全保障法案」(208閣法 号)から、工作機械の輸出入を管理する国際紳士協定「ワッセナー・アレンジメント」の国内実施法である、外国為替法と輸出管理令の改正に関する条項が、すべて見送られたことが分かりました。

 工作機械はわずか年1・5兆円産業にもかかわらず、「自動車か工作機械か」と言われるほどの日本の代表産業とされています。

 旧「ココム」であるワッセナー協定を落とし込んだ輸出管理令は、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部が国内での取引も、リスト規制や包括的な許可を出していますが、専門性に疎くて不満が上がっていました。1987年の「東芝機械ココム違反事件」は安全保障の美名の下にアメリカが日本の成長産業を叩くジャパンバッシングに過ぎなかったとの歴史認識が定着しました。創業者の姓が社名・代表取締役名に残り続ける稀有な業種として「東芝機械ココム違反事件で財閥がいなくなって怪我の功名だ」「参議院に候補者を出したり、政治献金をしたりすることなく気楽だ」との考えで一致。旧帝大系国立大学大学院生の憧れの就職先となっています。

 工作機械の「ワッセナー」同様に、化学機械を規制する「オーストラリアグループ」の国内実施規定の解釈の誤りで、警視庁が大川原化工機の社長ら3名を逮捕し東京地検が1年拘束しながら、経産省の解釈の誤りだったことが分かり、国家賠償請求になっていることも影響しているかもしれません。

 経済安全保障法案は「4本柱」という表現が法案関係者に定着し、(1)電力・通信・金融など基幹インフラ業者に対する機器導入時の事前審査(2)特許内容そのものを非公開にする秘密特許法制の新設(3)半導体など国内サプライチェーンの財政支援(4)大学など先端技術研究での外国との出入りの規制ーーといった内容が盛り込まれる見通し。財政上の措置も盛り込まれそうです。

 法案は2月下旬に提出される見通し。法案関連の予算措置・概算要求は、今夏以降になりそう。岸田文雄内閣は、経済安全保障法案とこども家庭庁設置法案を第208回国会から第26回参院選にかけての目玉法案としたい方向感が定まりつつあります。


[写真]「日本国際工作機械見本市」を訪れた筆者、4年前の2018年11月、東京・江東区で撮影、一部修正。

[写真]偶数年の11月上旬が定例化しており、直近のリアル開催となった「JIMTOF2018第29回日本工作機械見本市」の様子、東京江東区の東京ビッグサイトで、宮崎信行撮影。


[写真]工作機械の世界最新情報を求めて開門前から並ぶ老若男女=同。


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