【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

馬淵澄夫国対委員長「予算審議中は予算に関連する法案だけ」と「経済安保法案」と「こども家庭庁設置法案」の審議入り拒否

2022年03月08日 20時04分31秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]令和4年度予算案の説明を受ける馬淵澄夫・立憲民主党国会対策委員長、きょねん2021年12月24日、衆議院議員会館内で、宮崎信行撮影。

 1年前のきょうはデジタル庁(きょねん10月1日発足)の設置法案が審議入りしました。召集日も早く、超与党ペースの今国会ですが、馬淵澄夫国対委員長が「参議院で予算案を審議している間は、予算関連法案を優先するべきだ」として、来週火曜日の「経済安保法案」(208閣法37号)や「こども家庭庁設置法案」(208閣法38号など)などの審議入りを拒みました。

 キエフの田中龍作記者は、大統領府近くから出て、橋のたもとまで行き、川の向こう岸であるキエフ郊外は変わらないとする写真記事を発信。「キエフ周囲25キロの露軍包囲網」が狭まっていないのではないかとの雰囲気で、ウクライナ軍が橋を落としたところは全域ではないとするスクープといっていい記事を配信しました。

[写真]【キエフ(ウクライナ首都)8日=田中龍作記者】戦闘がとまっているキエフ郊外(向こう岸)の様子を伝えた「田中龍作ジャーナル」の写真記事。

【参議院予算委員会 きょう令和4年2022年3月8日(火)】
 「令和4年度予算案」は10日目で中央公聴会でした。

【衆議院財務金融委員会 同日】
 「関税定率法改正案」(208閣法5号)の質疑1巡目で、共産党委員が「きょうの質問はこれで終わります」と締めくくりましたが、委員長は「質疑はこれにて終局しました」と宣言し、異議はありませんでした。ただちに採決され、反対はなく、自民・公明・立憲・維新・国民・共産が賛成した全会一致で可決すべきだと決まりました。あすは8時半から。

【衆議院本会議 同日】
 石原慎太郎さんへの弔詞朗読。
 そして「防衛省設置法・自衛隊法84条の4などの改正法案」(208閣法26号)が岸信夫防衛大臣から趣旨説明されました。岸さんは杖を持って歩き、片手で原稿をめくりました。きょねん8月15日のアフガニスタン邦人保護の経緯についての各議員の質問に対しては、本会議には珍しく官房長官が答弁しました。

【参議院第1種常任委員会 同日】
 火曜日と木曜日が定例で、全府省庁に対応して設置され、参議院議員全員が1つずつ入ることになっている第1種常任委員会がすべて一斉に開かれました。大臣が衆議院に答弁に行く時間は休憩など調整しました。
●そのうち参議院法務委員会
 古川禎久法務大臣の所信的あいさつに対する一般質疑では6年以上前からの常連の真山勇一さん、有田芳生さんらが質問。真山さんは上皇陛下でおなじみの前立せんがんが見つけったそうで、再選出馬の依頼を辞退し、寺崎雄介県議が出馬することで上申。真山さんは「ウクライナ侵略は明日で2週間だが、事態は悪化の一途で、あってはならない暴挙だ」と珍しく語気を強め「既に100万人以上が国外に避難民となっている。戦争避難民と難民は違うものだと思うが、日本は国際的に命のために国外に出る人を受け入れるべきだ」と語りました。古川大臣は「きょねんの入管難民法改正案には入っていた」とし難民申請の拡大の改正条項も束ねた法案に触れつつも、「スムーズに受け入れる」と確約しました。

●そのうち参議院外交防衛委員会
 田島麻衣子さんが予算委の前に質問し、「プーチン大統領の精神状態に関して、米上院議員も含めて憶測を呼んでいる」としましたが、外相は答弁しませんでした。田島さんが「日本に来た戦争避難民には、短期査証をださないと仕事ができず、避難生活が成り立たない」と指摘する、外務省は念頭になかったようで「まだ事例が出ていない」との答弁でお茶を濁しました。
●そのうち参議院財政金融委員会
 一般質疑の後、財金だけは「所得税法改正案」(208閣法1号)が審議入りし、次回法案審査をすることになりました。

【衆議院災害対策特別委員会 同日】
 二之湯智防災相が「この1年は7月・8月豪雨とこの冬の豪雪があった」と所信的あいさつをしましたが、今国会で法案はありません。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会 同日】
 若宮消費者相が「消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの3つが緊密に連携する」としました。

【衆議院北朝鮮による拉致問題に関する特別委員会 同日】
 松野博一官房長官らが所信的あいさつをして「家族会の飯塚代表が亡くなった。田口八重子さんと再開できず痛恨のきわみ」と述べました。

【衆議院環境委員会 同日】
 山口壮大臣(二階派)の所信に対する一般質疑があり、立憲民主党の田島要さんがソラーパネルの点検を求めました。

●衆議院外務委員会は理事懇談会を開き、あす8時半から岡田克也さんらが委員をつとめる外務委員会を開くことに了承しました。理事懇はありませんでしたが、枝野幸男委員の国土交通委員会もあすあります。
●衆議院経済産業委員会理事懇談会も開かれ、同省の不祥事事案も協議事項になっているかもしれません。あす委員会の開催で合意。

【衆議院議院運営委員会 同日】
 上述の通り、来週火曜日の本会議での経済安保法案の審議入りを野党が拒否。与党も強行しないと思われます。あさって3月10日(木)は昼の12時10分から本会議を開き、予算関連法案の8本程度の採決に与野党で合意。しあさって3・11の本会議は無い見通し。

【衆議院憲法審査会議長報告】
 「憲法56条第1項の出席に関する意見」を細田博之議長に提出。
【文書交通滞在費実務者協議】
 衆参与野党の文通費実務者協議も開かれました。

●あすの予定
 岸田文雄・山口那津男・玉木雄一郎党首が「実務者協議」と呼んだ、「自・公・国幹事長会談」が明日開かれる見通し。今国会の召集前は、文通費について政調会長や政調会長代理ではなく、茂木敏充自民党幹事長が「実務者だ」として石井啓一幹事長と直接協議しましたが、まとまりませんでした。
 あすは衆議院内閣委員会もあり、採決されれば、二之湯大臣が答弁する法案の衆議院委員会での答弁は終わることになるかもしれません。

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経済産業省の法令解釈誤り確実に「13回のメモ」局長公開拒否、大川原化工機332日冤罪事件警察庁刑事局長「警察は解釈しない」

2022年03月08日 11時40分19秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 化学機械の輸出管理に関する国際紳士協定「オーストラリアグループ」の国内実施法である「外国為替法」に違反したとして、大川原化工機(横浜市)の社長ら3名が警視庁公安部に332日間逮捕・拘留されながらも、東京地方検察庁が起訴を取り消し、釈放されたこと事案について、警察庁刑事局長は8日の参議院経済産業委員会で「外為法の不正輸出事件では、警察が法令を独自に解釈することはない」と断言し、警視庁と13回やり取りした経済産業省貿易経済協力局貿易管理部の解釈ミスであることを強く示唆しました。

 警視庁公安部、東京地検でなく、経産省のミスだとする国会答弁、報道はこれが初めて。

 森裕子氏に対する答弁。

 これについて経産省局長は「警視庁のときに打合せしたメモは、国家賠償請求事件が係争中のためノーコメントだ」と答弁。森さんは「13回やり取りしたメモがある」と暴露しましたが、局長は「警視庁が作成したものだ」とし、経産省内にはメモが無いとしました。

 森さんは政府が経済安全保障法案を今国会の目玉としている中で「経産省はしっかりできているのか。332日も自分たちのストーリーに社長ら3人を拘束して、銀行取引全停止となったが、まったく倒産しなかった。業界の7割のシェアをしめる。そして、3人のうち顧問は拘束中に病死している。これが今の日本かと思う」と強くなじりました。

 森さんは、西松・陸山会事件をめぐって、途中から登場した黒川弘務法務省官房長(当時)を早くから批判。また、新潟県政界では、田中角栄元首相が外為法で逮捕されたことがあります。

 政府は「経済安全保障推進法案(208閣法37号)」を出しましたが、外為法改正条項は全く落とされており、この事件の関係があると思います。政府は5年後見直し規定を原案に盛り込んだことから工作機械の「ワッセナー協定」(旧名称・ココム)も含めた経産省の法律による締め付け強化は、2027年過ぎまで見送られた格好となっています。

 森さんは「経済安保法案は企業を委縮させるだけでメリットが無いのではないか」と述べ、今後も追及するを予告しました。


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