【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【6/3】「参議院歳費自主返納」各党激突の談論風発だったことは評価したい、自公案が委員会通過

2019年06月03日 18時05分27秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘
 参議院の歳費月7・7万円を3年間自主返納できる「歳費法と公職選挙法を改正する法律案」(198参法26号)が自公の賛成多数で可決すべきものだと決まりました。

 委員会は自公案、維新案、立憲案の3案をめぐる談論風発。超党派が閉鎖的になりがちな、歳費の問題では、さわやかな議論で好感を持てました。国会ここにあり、というすっきりした気分です。

 今回十数年ぶりに思い出したことがあります。私は日経新聞記者として、神奈川県庁担当時代に、知事が7割、副知事が3割、県会の議員報酬の期末手当3割カットの継続について、取材し記事を書いたことがありました。記者会見で、私が議長・副議長に対して「3割カットでいくらか(おそらく120万円ほどか?)」ということを質問したところ、横に座ってたおそらく議会事務局長とおぼしきオッサンが「それは条例案を作成してからです」と横やりを入れてきました。たまたま政治部時代にしのぎをけずった産経新聞のS記者が、その場で激しく抗議してくれて、具体的な金額を聞き出せました。私は県会など廃止した方がいいと思いますが、議員報酬の話は議会事務局もグル。議会事務局など全員知事部局からの出向にするか、広域連合化するか、第一法規やぎょうせいに丸投げすべきでしょう。

 その点、参議院の場合は、事務局は議院事務局法という衆参の議決が必要な一つの法律が設置根拠になっています。このため、参議院事務局はあまり参議院議員には媚びません。委員部のエース格はうまいことやってますが。

 もちろん歳費が税金が原資だという意思が強い参議院議員でも、参議院議員宿舎の中で、配偶者や子にはっぱをかけられたかもしれません。やはり歳費の問題は難しいんですね。きょうの審議は、3法案提出のうえ、採決で決まり、国会らしさが見られたと思います。激しい政党・会派対立こそが、憲法49号を根拠とする国会議員の歳費の見返りです。日本社会を代表する国会だからこそ、政府と各会派は激しく対立せねばなりません。

 ひるがえって、すべての県会議員の諸君には、もはや駅前のパチンコ屋並みに、儲かると分かっていてもやらない賤業になってしまったことを自覚してほしいところです。県会議員に東大法学部卒が一人でもいるんですか?

【参議院議院運営委員会 令和元年2019年6月3日(月)】

 定数6増(改選3増)の見返りとしての歳費削減について、3法案が審議されました。

 維新が提出した「歳費法改正案」(198参法3号)
 自公が提出した「歳費法と公職選挙法の改正案」(198参法26号)
 立憲が提出した「歳費法、特別職公務員給与法、裁判官報酬法の一括改正法案」(198参法29号)

 を同時に審議。

 採決の結果、198参法26号を可決すべきだとし、3号、29号は否決すべきだとしました。

 審議では、野党各党がきょねんの「定数6増特定枠法」の審議を批判。一方、この審議で気になっていた、長野市出身の秀才、宮澤俊義・東大教授(故人)による「衆参の歳費をかえることは、憲法49条に違反している」との宮澤説について。自民党の岡田直樹さんは「通説ではなない」と断定。これは私も同感です。

 岡田さんは「参議院改革協議会の議論は選挙後の速やかに再開する」と明言しました。

【参議院決算委員会 同日】

 「予備費使用総調書平成29年度その1」「同平成29年度その2」を承諾すべきものだと議決しました。

 審議は、「平成29年度決算」の準総括質疑と同時に行われました。来週は総括質疑。来週6月10日(月)はテレビ入り首相ら全閣僚出席の第一委員会室となります。

●自民党の園田さん62歳、「第一委員会室は初めて」

 自民党の園田修光さんは「私は第一委員会室は十数年ぶり。当時は衆議院。参議院の第一委員会室の質疑は初めてだ」と語りました。62歳で今夏までの任期の園田さんですが、自民党の公認は出ていないようです。

●財務省主計局次長「ハイパーインフレは起きていない」。

 自民党の西田昌司さんは、MMT(現代貨幣理論)について麻生太郎財務相に迫りました。麻生さんは「世論というか、理論というかだが、理論とはいえない。消費増税しないと国債の格付けが下がる」としました。

 西田さんは「財政が理由でのハイパーインフレは起きない」として財務省が長年主張してきた理論は行き過ぎているとたしなめました。西田さんは、潤沢な家計資産があるから国債が消化できるのではなく、国債を発行するから家計資産が必要以上に増えてしまったのだ、としました。

 3人いる財務省主計局次長の1人、さかたさんは、「極端な物不足にならない限り、現在の日本ではハイパーインフレがすぐに発生することは考えられない」と明確に答弁。長年、財務省が洗脳してきた財政破綻をめぐる極論について修正を迫られました。西田さんは、戦後のハイパーインフレについて、国庫からGHQに対して3割の戦後処理費をとられていたことも、生産設備の破壊とともに、ハイパーインフレの要因となったと指摘。同様のことは今後起こりえないと強調しました。

 小川勝也さんは「私は与党も野党も経験したから、与党にすべてを押し付けない」と語りました。

 風間直樹さんは「この12年間参議院議員として教科書は国会を法律をつくることだとしている。しかし、行政監視という仕事も大事だと思った」。

 私は、小川さんの意見、風間さんの意見、まさに同感。水があうな、という感じです。

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