(このエントリーの初投稿日時は2016年8月3日午前6時)
高木復興相は、内堀雅雄・福島県知事に対して、平成28年2016年7月31日(日)、福島復興特別措置法に「イノベーション・コースト構想」を書き込む、改正法案の検討を確約しました。
高木復興相は、この記事を書いている時間の半日後に辞任します。
ただ、自治省出身の内堀雅雄知事が、国への働きかけを続けるとしており、改正法案の提出は固いと思われます。衆参の東日本大震災復興特別委員会は、震災から5年が経ち、閣法の提出はなく、衆法で、土地の私権を大幅に制限する法案が出ていますが、審議入りしていません。参議院では原子力問題特別委員会に合併再編されており、提出されれば、久しぶりの法案審査となります。
福島県が6月9日付でまとめた「ふくしまの復興・再生に向けた提案・要望」のイノベーション・コースト構想の関係部分は次の通り。
[上記文書から、部分引用はじめ]
ふくしまの復興・創生に向けた
提案・要望
平成28年6月9日
福島県
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/171496.pdf
6 イノベーション・コースト構想の実現
【内閣府、復興庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、
経済産業省、資源エネルギー庁、国土交通省、環境省】
(1) イノベーション・コースト構想の具体化に向けた各種施策
の確実な予算確保と推進
イノベーション・コースト構想の原点が2020年東京オ
リンピック・パラリンピックまでを当面の目標に掲げ、世界
が注目する浜通り地域の再生を目指していることを踏まえ、
各プロジェクトを2020年までに目に見える形にすること
が必要である。
本構想の実現は、失われた浜通り地域の産業基盤の再生の
原動力となるものであり、具体のプロジェクトの着実な実施
が図られるよう、アーカイブ拠点施設、技術者研修拠点、放
射線分野の国際産学官共同研究施設、大学教育拠点など未着
手の部分の具体化を含めて必要な予算を継続的かつ十分に確
保するとともに、全体として相乗効果を発揮するよう配慮し
ながら、国家プロジェクトとして、国が責任を持って推進す
ること。
(2) ロボットテストフィールド等
施設の着実な整備に向け、引き続き十分な予算を確保する
とともに、事業の進捗に応じた予算措置を講じること。
また、浜通り地域におけるロボット関連産業の集積を図る
ため、国際産学官共同利用施設(ロボット)への福島県ハイ
テクプラザ浜通り分所の入居について、その機器整備等につ
いて必要な予算を引き続き確保すること。
さらに、施設の安定的な運営を図るため、県の法人設立に
当たっては、十分な基本財産の拠出及び運営法人への職員派
遣を行うとともに、安定的自立経営が可能になるまでの当分
の間の運営費の支援を行うこと。
加えて、ロボット認証制度やオペレータ検定制度に必要な
試験方法並びに無人航空機の安全運行管理技術の研究開発を
行うとともに、官公庁や自治体におけるロボットの利用の促
進を図り、さらには、2020年に開催が予定されているロ
ボット国際競技大会の競技実施に当たっては、ロボットテス
トフィールドを活用すること。
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(3) 国際産学連携拠点
① 大熊分析・研究センター、廃炉国際共同研究センター国
際共同研究棟の着実な整備を引き続き進めること。
また、世界が注目するような知見や経験等を共有し、国
際的な研究開発のネットワークや人材育成体制を構築して
いくため、放射線の知識が必要となる多様な研究分野を対
象とした先端的な国際産学官共同研究施設について、事業
の早期具体化を図ること。
さらに、この共同研究施設を起点に構築することとされ
ている大学教育拠点の整備について、連携や参画を希望す
る大学のため、事業の早期具体化を図ること。
② 技術者研修拠点における防災教育研修拠点について、民
間事業者等による検討がなされていることから、拠点の具
体化に向けた必要な予算を確保すること。
また、廃炉人材育成のための拠点整備について検討を進
めること。
③ 東日本大震災及び原子力災害は、人類がこれまで経験し
たことがない未曽有の複合災害であり、災害の実態と復興
への取組を正しく伝え、教訓として国を越え世代を超えて
継承・共有していくことは、我が国の責務である。
こうした複合災害を経験した唯一の地である当県が、そ
の貴重な経験と教訓を国内外に伝えていくことができるよ
う、災害に関する記録や資料の収集・保存、防災・減災等
に関する調査・研究、世界への情報発信、国内外から多く
の人々が訪れ学ぶことができる展示、さらには、教育・交
流・人材育成や地域の歴史・文化の継承等の機能を備えた
アーカイブ拠点施設の設置について、必要な予算はもとよ
り、利用促進やその後の安定した運営に必要な予算も含め
た支援を行うこと。
また、資料の散逸を防ぐためには、資料収集をさらに加
速することが急務であり、関連予算について確保すること。
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(4) エネルギー関連産業
復興に向けたまちづくりを進める上で、エネルギー関連産
業検討分科会において取りまとめられた各プロジェクトの推
進は重要であり、引き続き必要な予算を確保すること。特に
再生可能エネルギーの活用は非常に有効であることから、「復
興まちづくりのためのスマートコミュニティ形成プロジェク
ト」及び「水素によるエネルギー貯蔵・効率的利用プロジェ
クト」におけるモデル事業の実施に必要な予算を確保するこ
と。
(5) 農林水産業
農林水産分野検討分科会において取りまとめられた各プロ
ジェクトを推進するために必要な措置を行うこと。特に、ロ
ボットトラクタ等の先端技術について、避難地域等における
実証に着手したところであり、引き続き、実用化に向けた取
組を推進するために必要な予算を確保すること。
また、当県水産業の復興・再生を図るため、水産試験研究
拠点の施設整備に係る予算を確保すること。
さらに、CLTの実需拡大に向け、木造公共施設等への活
用に対する十分な補助制度を創設するとともに、CLTの加
工・研究開発施設等整備のための新たな補助制度を創設する
こと。
(6) 地域復興実用化開発等促進事業
浜通りにおいて新産業を創出・集積していくためには、地
元企業と県外企業が連携しながら、ロボットやエネルギーを
始め、スマート・エコパークを進める上で必要な環境リサイ
クル等様々な分野で新技術の実用化開発を進めることが必要
であることから、地域復興実用化開発等促進事業について、
重点分野のプロジェクトの一層の推進に向け、十分な予算を
確保すること。
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(7) 拠点を核とした周辺環境の整備
イノベーション・コースト構想で整備される拠点がより活
用され、産業集積が進むよう、イノベーション・コースト構
想の対象地域である15市町村全体を念頭に置いた、宿泊・
居住環境の整備や拠点への交通アクセス改善について早急に
検討を行うとともに、その結果に基づいた対策、さらには創
業や事業拡大しやすい環境の整備などについて財政的な支援
を行うこと。また、国際的な会議に対応できる施設の整備・
確保についても支援を行うこと。
(8) イノベーション・コースト構想推進に向けた関係主体間の
連携体制強化
国、県、市町村、産業界、大学、研究機関などの関係主体
がイノベーション・コースト構想全体での方針を共有しなが
ら、その実現に向けて取り組むことにより、浜通り全体の産
業復興を確実に進められるよう、各省庁が連携すること
[部分引用おわり]