【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

共謀罪あらためテロ等組織犯罪準備罪をもうける組織犯罪処罰法改正案、2016年秋国会にも提出へ

2016年08月26日 11時14分06秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

[写真]警察庁・国家公安委員会が入る庁舎、東京千代田区霞が関、2015年秋、筆者・宮崎信行撮影。

 政府は、「テロ等組織犯罪準備罪」を新設する、「組織犯罪処罰法改正案」を、第192回臨時国会(平成28年2016年9月から12月まで)に提出することを検討しています。 

 8月26日付朝日新聞が1面トップで大きく報じました。

 「組織的犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画罪」略して「テロ等組織犯罪準備罪」を設ける内容で、2003年、2004年、2005年に提出された「共謀罪」法案の衣替えだとのことです。

 規制対象は、「懲役・禁固4年以上の罪を実行する目的がある、組織的犯罪集団」とするようです。

 対象は、テロ組織、暴力団、人身取引組織、振り込め詐欺集団などを想定している、と報じられています。

 現行法のタイトルは、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(平成11年8月18日法律136号)。

 タイトルの後段にある通り、組織の資金源を絶つという概念が強い法律のようです。そのため、国民の生命及び財産のうち、生命にはかかわらない、振り込め詐欺集団も規制対象という考え方になるようです。

 現行法も、犯罪収益等の没収の規定があり、例えば、農林中央金庫法の例外規定まで含まれており、かなり包括的な刑事法です。今回は「準備行為」も逮捕できるようになるので、ていねいな質疑を聞いてみたいところです。

 審議入りそのものが、理事会で難航することも予想されます。

 筆者は、昨年から継続調査手続きがとられている、民法債権編(債権法)改正案(189閣法63号)の審議入りに、強硬に反対しており、衆議院法務委員会の審議順をめぐるかけひきに出来る限り注目し続けたい気持ちです。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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TPP条約の承認を求める件、日本は米国より早く批准し発効の流れをつくれ、公明党代表

2016年08月26日 10時55分51秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

 与党・公明党の山口那津男代表は、平成28年2016年8月25日(木)午前に、党本部で記者会見し、このもようは、翌日付けの公明新聞1面トップで報じられました。

 山口さんは、TPP環太平洋パートナーシップ協定条約の承認を求めるの件(190条約8号=衆議院で継続審査=)について、

 「関係の国の中では、米国と日本のボリュームが圧倒的であり、その一方の日本で国会承認による協定の批准が成り立てば、発効に向けた大勢、流れが決まっていく。米大統領選の帰趨はともかく、国家間合意に主要な国々が批准を重ねれば、TPPの最大の推進役であった米国が国際的に責任を果たす意義がでてくる」

 と語りました。

 11月の米大統領選と同時の連邦議会上下両院議員選挙の後に生まれる、レームダック議会でのオバマ現大統領のレガシーづくりに期待するよりも、先に日本が批准し、GDP最大国の米国の批准への流れをつくれという意味です。

 この日、自公党首会談が開かれていますが、この発言は、安倍首相との会談よりも前の時間に述べたものです。

 りんごは、日本から台湾への輸出が激増しているようです。りんごは、聖書にでてくる知恵の実ですから、隣国・韓国を含めたキリスト教国では現地で生産されていることが多いのですが、市価の高いものは輸出に値し、農家の現金収入になります。

 TPPの附属書をみると、外国から日本への輸入での関税について、撤廃期限が、全農林水産品目のなかで、りんごが最も優遇されており、誰がどういうプロセスでこういうことになったのか分かりませんが、当事者の方には感謝します。

 そうはいっても、ISDS、とくに公正取引委員会・独占禁止法に関しては、外資が知らぬ存ぜぬならば処罰を逃れる規定ですし、国内法整備には疑問があります。米国から日本への輸入の関税撤廃も時期が予想よりも遅いです。一方で、国民皆保険が壊滅するというデマが沈静化しましたがくすぶっています。

 三井物産及び日経新聞の創業者である益田孝さんが活躍した横浜の地で経済記者をしていた私ですが、TPPは疑問点は多いながらも日本人の生活をよくするものです。トランプさんや、クリントンさんがなぜTPP反対を公約にするのでしょう。背理法からして、日本の国益に資することは明らかです。

 早期の国会承認を求めます。

 このエントリー記事の本文は以上です。 


おととい付けの「平成28年度第2次補正予算案」に多くの反響

2016年08月26日 10時40分15秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

 おととい付の記事、「平成28年度第2次補正予算案は補正後一般会計100・0兆円、10月上旬成立へ」は、通常国会後で最多の1千PV(ページビュー)をはるかにしのぐ反響を得ました。

 この記事の出だしと終わりに、「補正予算のフレームの記事は書いてもあまり読まれない」と不貞腐れていたので、恥ずかしさと戸惑いを持っております。

 解析によると、別段にポータルサイトやバイラルメディア、すなわちヤフーニュースなどのポータルサイトや、まとめサイトなどのバイラルメディアに乗ったわけでもなく、常連の読者と若干の検索でたどり着いた方を中心にしたアクセスだったようです。

 なぜなのだろうと考えると、フレームの記事なのに、メニューの情報を求めている方が多かったのか。すなわち、一般会計などの歳入や歳出の金額や後年度負担などの枠組みで財務省が閣議決定日に発表するフレームではなく、新聞・県東京事務所などから五月雨式に漏れながら、国会提出日に「款・項」まで分かり、要求官庁の、各省各局各課が把握している「目」までの歳出メニューの情報を期待されていたのか。

 ただ、やはり、異次元の金融緩和が3年続き、もはや、財政政策と金融政策が融合し、政府と日銀は統合政府を形成している状態なので、マーケット関係者や、ボラティリティという美名の下の不安を反映した動きなのかましれません。

 今後は、「どの政治家が国会でこう言った」ということよりも、私自身が考える、財政フレームの記事も多めに発信していこうと考えています。

当該記事の全文引用はじめ]

平成28年度第2次補正予算案は、補正後一般会計100・0兆円、10月上旬成立へ

2016年08月24日 17時54分10秒 | 第192回2016年秋の改憲国会

 補正予算案のフレームの記事は、いつもアクセス数が少ないので、お菓子の写真でも載せようかと思いましたが、淡々と書くことにします。

 政府は、平成28年2016年8月24日(水)夕刻、臨時閣議を開き、平成28年度第2次補正予算案を決定しました。

 この後、予算書の印刷にかかり、9月26日(月)ごろに、第192回臨時国会に提出されます。成立は10月上旬。

 平成28年度予算は、今次補正後、一般会計が100・0兆円となるようです。

 財源の確保すなわち歳入の増額補正及び歳出の減額補正では、

 黒田東彦日本銀行総裁が進めるマイナス金利によって、新発も含めて、金利負担がゼロ前後となっていることから、赤字公債を0・4兆円減らして上で、建設公債を2・7兆円増発。これにより、公債の平均残存期間は延びるとみられ、大いに評価したいところです。

 1次補正で、熊本地震の復旧のための予算を、予備費として0・7兆円積みました。これを今次補正で、半減させ、財源をねん出しました。

 その一方、前年度から余剰金はわずか0・2兆円にとどまり、近年の年央の補正では極めて少額。アベノミクスの唯一の果実といわれる、人為的な円安による企業の利益の前年比激増にともなう国庫法人税収の大幅な上振れが、あっという間になくなってしまったようです。

 歳出の増額補正。

 安倍首相は、ことしのG7伊勢志摩サミットで、G7協調しての財政出動をぶち上げ、第24回参院選に勝利。その後、英国のEU離脱という中長期的なリスクも発生しました。

 8月2日の追加経済対策取りまとめの政策パッケージをもとに、歳出のメニューとして、21世紀型インフラ整備に1・4兆円、EU・中小企業・地方の下支えに0・4兆円、熊本・東日本大震災復興に1・4兆円としています。

 熊本の予算は予備費から具体的な歳出メニューに移したということでしょうが、建設関係では、東京オリパラを凌ぐ需要が発生しているようです。

 地方交付税交付金は変わらないようです。

 注目は、一般会計よりも、財政投融資計画です。

 財投は、6・0兆円の増額補正(追加改定)。報道では、そのうち1・5兆円は、JR東海に融資され、リニア新幹線建設の前倒しに充てるようです。

 GDP押し上げ効果は内閣府が計算しますが、私の手元の計算では、0・7%程度だと思います。

 リニア財投の8兆円を8月2日のとりまとめに加えているため「28兆円財出」と銘打たれましたが、実際には、2次補正は財出が3兆~4兆円にとどまる「第二の矢」としてショボいもの。それでいて、向こう30年間にわたり、民間企業をしばる財投融資がなされました。

 マイナス金利にうかれず、財政規律は保たれているように感じます。

 ただ、財投や、多額の借り換え公債により、国会や国民が理解しにくい財政になっているし、これからもなりそうです。

 この辺の「補正後100・0兆円」というところに、査定官庁が表現したいメッセージがあるのかもしれません。

 正式な歳出のメニューのうち、「款・項」は、予算案提出日に、「目」は予算成立後に分かります。

 今次補正(平成28年度第2次補正予算)案のフレームや、主計官作成資料は、



http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2016/hosei0824.html


 9月26日以降なら、予算書・決算書データベース(
http://www.bb.mof.go.jp/hdocs/bxss010bh28.html
)。

 まあ、あんまり読んでくれないでしょうから、このエントリーはここまでで終わります。

2016年、宮崎信行。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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日本法令索引(国立国会図書館)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

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[お知らせ終わり] 

[おわり]

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行、2016年。