【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

手錠したまま出産を上川陽子法相が止めさせる、「受刑者の親と子だから貴重な時間」と山尾志桜里さん

2015年09月04日 17時35分55秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年9月4日(金)衆議院法務委員会】

 受刑者が出産するとき、病院の分娩室で手錠をかけたまま出産していたのが、上川陽子法相の指示で見直されたことが分かりました。

 一般質疑。

 上川法相は「手錠をして出産分娩するというのは、女性としては考えられないことが行われてきた」としました。

 民主党の山尾志桜里さんは「受刑者の出産について、病院で過ごす、学び、休む時間は大事だと思う。とくに受刑者とその子は、病院で過ごし2~3日間はとても大事な時間だ」としました。

 報道によると、昨年、妊娠8カ月で覚せい剤取締法違反の実刑で収監された受刑者。刑務官から「手錠をしたままだ」と説明を受けたそうです。これを聞いた内縁の夫が「手錠をしないままにしてほしい」と訴えていたところ、結果的に切迫早産で手錠をしないで出産することになったとのこと。

 これを受けて、上川法相が出産分娩時の手錠をしないよう指示し、法務省矯正局が各矯正施設(いわゆる刑務所)に通達しました。
 こんなこと、考えたこともなかったです。

 この後、きのう本会議で審議入りした「外国人技能実習生の保護に関する法律案」(189閣法30号)が趣旨説明されました。もともと、与党国対・内閣は「日切れ」指定していましたが、9月の審議入りになりました。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 「勤労青少年福祉法を改めた、青少年の雇用の促進に関する法律案」 (189閣法50号、参先議)。

 長妻昭さんの質疑で、最低賃金労働者が450万人いることが分かりました。就業者の1割弱が最賃労働者だったんですね。長妻さんは「最賃労働者の生活実態を把握してからの毎年の最賃改定が必要なのではないか」と語りました。最賃法は岸信介内閣で成立していることから、安倍首相の思い入れは強く、各県別で十数円台のアップが続いています。これも考えたこともなかったですが、現在1割弱が最賃労働者。これは、戦後の浅草のハローワークでは午前9時に開き、午前9時1分にしまる、日雇い労働、いわゆるニコヨン(百円玉2つの十円玉4つ=当時の東京都の最賃240円)がありました。豊かな国アメリカでも最賃労働者は多い傾向にあり、経済というより社会構造、国となりも関係します。

 民主党2009マニフェストの「最賃1000円」は全く世論にならなかったような印象がありますが、やはり、名目ベースで、最賃は全国どこでも、1時間850円以上はないといけないように、肌感覚で持ちます。

 西村智奈美さんは「ブラックバイト、ブラック企業を取り締まるために、私が厚労副大臣時代に、文科省に学習指導要領に労働関係の法令を学ぶ機会をつくってくれないかとかけあった」とし、検討状況をただしました。これに対して、自民党の丹羽秀樹文部科学副大臣は「中教審(中央教育審議会)で検討している」としました。

 なお、この答弁中「雇用について学ぶ機会」と語っていました。雇用とは民法の言葉ですが、経営者目線。福田康夫内閣の2008年労働契約法成立以降は、「労働契約」という言い方をすることにしており、自民党政権の経営者目線が垣間見られました。

 討論無しで採決され、全会一致で可決。散会しました。 

【同日 参議院議院運営委員会】

 本会議の手はずなどを審議したと思われます。ネット中継はありません。

【同日 参議院本会議】

 「ドローン規制の改正航空法(189閣法75号)」が投票総数233、賛成233、反対0の全会一致で可決し、成立しました。公布から3か月以内に施行。

 「内閣官房と内閣府のスリム化の改正国家行政組織法」(189閣法54号)は、投票総数232、賛成217、反対15の共反対、自公民維賛成で可決し成立しました。平成28年206年4月1日(金)施行。平成24年2012年11月2日(金)に野田内閣が藤村官房長官と岡田行革相が主導して閣議決定した「内閣官房および内閣府の本来の機能を向上させるための事務分担の見直しの基本方針」にもとづく検討結果を落とし込んだ法律です。

【同日 法律公布】

 「改正農協法・農業委員会法」が平成27年9月4日法律63号として公布されました。来年4月1日(金)施行。国会では議案番号189閣法71号として、民共反対・自公維賛成多数で衆修正のうえ可決し成立していました。

 「女性の職業生活における活躍の推進法」が平成27年9月4日法律64号として公布され、ただちに施行しました。事業主行動計画は来年4月1日(金)施行。189閣法8号でした。

 なお、いつもは法律と条約の公布しか書いていませんが、きょうのエントリー記事では、政令の公布もご紹介します。

 改正公職選挙法(平成27年6月19日法律43号)により、「公職選挙法施行令を改正する政令」を天皇陛下が平成27年9月4日政令317号として公布なさいました。参院選の合区(合同選挙区)の選挙管理委員の第三セクター役員との兼業について、基準を示したようです。 

【同日 参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 午後1時から、政府提出の「2015年日米防衛協力のガイドラインと国内実施の安保2法案」(189閣法72号、189閣法73号)と維新対案5法案(189参法16号から20号まで)の合計7本が議題になりました。中谷防衛相、岸田外相のほか、維新の党の小野次郎さん、柴田巧(しばた・こう)さんも答弁しました。

 社民党の吉田忠智さんは「きょうのここまでの審議を聞いた印象だ」として「民主党の小西洋之さんの度重なる憲法解釈の質問について、政府は同じ答弁を繰り返して、まったく答えていない」と語りました。統合幕僚長の証人喚問を要求。

 これとは別に、昨日の朝日新聞で、山口繁・元最高裁判所長官が閣議決定や法案を憲法違反だと断じました。元最高裁裁判官で、職業裁判官出身者の違憲明言はこれが初めて。ぜひ、山口繁さんに参考人としての話を聞いてみたいですね。

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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