【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主代表「アベノミクスは到底成功したとは言えないし、国民の半分以上は実感していない」

2015年08月21日 20時38分14秒 | 岡田克也、旅の途中

 民主党代表の岡田克也さんは、平成27年2015年8月21日(金)午後3時からの定例記者会見=写真、筆者撮影、民主党本部内=で

 「アベノミクスは到底成功したとはいえないし、国民の半分以上は実感していない」と語り、 アベノミクスを批判しました。

●「アベノミクスは到底成功したとは言えない」

 岡田代表は「(第一の矢の)次元を超えた金融緩和で、円安になり、株があがって、もう一つは(第2の矢の)公共事業予算を当初はかなり増やしたということで、安倍政権スタート時には人々の期待を集めたわけですけど、しかし、その後は一向にパッとしないというのが現実ではないかと思います。円安は続いていますから、株の値段が上がったり、円安に伴う企業の利益、(ドルベースではなく)円ベースでの利益が増えていますが、別に輸出が(数量ベースで)増えたわけではないし、設備投資が目の前で増えているかというとそういうわけではない。メディアはかなり囃し立てますが、アベノミクスが成功したとはとても言えない」としました。

●外国人訪日客の増加は民主党政権でのビザ発給要件緩和の実績

 「インバウンド(=外国人訪日客)はビザの発給を大幅に緩和して外国人の旅行者を呼ぼうとしたのは民主党政権で実行したことで。非常に中国の方が日本に来やすくなり、それが(アベノミクスの)円安もあって、(年間で)2000万人台をうかがうところまで来たのは良いことだと思います」 


●異次元の金融緩和には「出口があるとは思えない」

 異次元の金融緩和は「次元を超えた金融緩和」と言い換え、「国債を日銀の大量に買わせて、私は出口があるとは思えない。次元を超えた金融緩和により、大きな重荷を背負った、格段に荷物が重くなった、非常に憂慮しています」

 と語り、出口戦略がなく、国債に関するリスクを日本銀行、日本政府が抱え込んだとの認識を示しました。 

 これに先立つ「冒頭発言」では、自らこの日の日経平均株価の3%の下落に言及。

●日経平均急落は「アメリカの利上げ観測なども一つの原因かと思う」

 「アメリカの利上げ観測なども一つの原因かと思います。アメリカの出口戦略が進んでいく中で日本の株価にさまざまな影響を及ぼすことはこれからも予想されます。そもそもこれまで超金融緩和、円安という中での株高で、経済の実際が立ち直った中での株高ということでは必ずしもなかった。株高が政権の評価に直結しているかのような言い方を少し前まで政権側はしていたようですが、今日のような事態をどうコメントするのか。やはり政治というのは日々の株価で一喜一憂すべきものではないことをあらためて申し上げておきます」

 と述べ、日経平均と実体経済が関係ないことを示唆し、安倍自民党が日経平均回復をアベノミクスの成功のように喧伝したことを批判しました。

このエントリー記事の本文は以上です。
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たぶん憲政史上初、法治国家をまもる死刑執行経験のある政治家同士がやりとりし、再々質問の大バトル

2015年08月21日 18時28分27秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]左は小川敏夫元法相、右は上川陽子法相、2015年8月21日、参議院本会議、参議院インターネット氏審議中継から、おのおのスクリーンショット。

 きのうは、木曜日なのにアクセス数が785IPに減ってしまい、どういうわけかいまだに分かりません。お盆休みとその交代で、永田町視聴率が下がっているのか。ただ、アベクロによる異次元の金融緩和から2年4か月以上たつと、こういう「変動性(ボラティリティ)」が高まるのだろうと考えます。こういうときこそ泰然自若。

【平成27年2015年8月21日(金) 参議院本会議】 

 泰然自若としていたいのですが、政治の話をするときに「死刑がこわい」という人は結構います。いわば、法律、国家権力の究極の行使として「死刑」が存在する。

 ただ、わが国の刑法をはじめとする法体系で、「死刑」という最高刑があって、そこから比較衡量で様々な罰則が決まっているのでしょうから、法治国家として死刑を執行するのは当然です。

 ところが、55年体制になって以降、実に55年間にわたって、自民党員である国会議員の法務大臣しか死刑を執行していません。

  そして、現時点で、死刑執行命令書にサインをした経験を持つ、野党国会議員は、小川敏夫さん一人しかいません。来夏の参院選に公認内定が出ているということで、私は法治国家としてその法体系を守るために政権政党の法相が死刑を執行するのは当然だと考えます。ただ、半世紀以上自民党員しかいなかったということは、ゆがんでいる。

 憲政史上初めてでしょう。「刑事訴訟法改正法案」(189閣法42号)をめぐって、小川敏夫元法相が登壇し、上川陽子法相と論戦を繰り広げました。上川法相も既に死刑執行の経験があります。その者同士の議論になりました。小川さんは「フーバーFBI長官は48年間つとめた」とし、「その権力は盗聴(通信傍受)により築いたものだ」とし、法案の「通信傍受の拡大」を激しく批判しました。これに対して、上川法相の答弁に納得しなかった小川さんは再質問し、「犯罪に関係しない者に対して濫用してしまった」警察などの裁判証拠について問いました。上川法相も原稿なしで答弁。小川さんが再々質問で登壇し、「私の質問に答えていない」とし、上川法相は「通信傍受の証拠の特定はプライバシー侵害になる場合がある」と答弁しました。

 民主党の岡田克也代表は同日午後の定例記者会見で、「死刑にはいろいろな議論がある」としながらも、「わが国に死刑がある以上、死刑に対して意見が違う人は、法務大臣の任を受けるべきでない」とし、現在の法体系が死刑を認めている以上、死刑に慎重である者は、はじめから法務大臣になるべきでない、という「原理主義」を表明しました。

 本会議場に戻って、趣旨説明と代表質問が終わり、上がり法案の処理。

 吉川沙織経済産業委員長(民主党)は、原稿を持ちながらも、目を落とさない「ノールック」で委員長報告。私は委員長報告をノールックでした人は初めて見ました。

 採決の結果、投票総数228、賛成228、反対0の全会一致で、「改正中小企業事業承継法」(189閣法61号)は全会一致で可決し、成立しました。公布から1年以内の政令で定める日に施行。なお、経産委の所管で、政府が今国会に提出した法案では、これが最後の制定法律になりました。

【平成27年2015年8月21日(金)衆議院法務委員会】

 「矯正医官の兼業および勤務時間の特例法案」(189閣法60号=参議院先議)が上川陽子法相から趣旨説明されました。

 4か月前に参から衆に送付されていました。

 法務省の矯正施設(刑務所)で働く医師である矯正医官が人材不足であることから、フレックスタイム制を導入して他の病院と兼業することができるようにする特例法案。

 これとは別に、政府は国家公務員一般職全体のフレックスタイム制の法案を次以降の国会に提出する考えをもっています。今回の特例法案を重箱にして、そこで対象を拡大する方式での法改正も可能とみられ、注目したいところです。次回、来週26日(水)に質疑することを決めて、きょうは趣旨説明だけで散会しました。成立後3か月以内に施行へ。
(関連エントリー4月21日付

国家公務員一般職フレックスタイム勤務時間法改正案、第190秋の臨時国会に提出へ


【同日 衆議院厚生労働委員会】

 理事会が数分長引いたうえで、開議。「確定拠出年金法改正案」(189閣法70号)の審査でしたが、「漏れた年金」をめぐって、日本年金機構理事長への質疑が多かったようです。自公民維共の全会派が一巡し、次回は26日(水)に委員会を開くことにして散会しました。

【同日 参議院わが国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】

 「2015年日米防衛協力ガイドラインの国内実施2法案」(189閣法72号、189閣法73号)について「わが国の安保政策と政府の基本姿勢に対する集中審議」。

 テレビ入りで、蓮舫さんが武器等防護(アセット防護、米艦防護ともいう)について質疑。これに対して中谷防衛相が正直な答弁を展開し、この法案がアメリカ軍の下請けであることが、如実に伝わったと思われます。

 なお、現認していませんが、首相は「いいじゃん、そんなの」と野次を飛ばしたようです。

 各会派が一巡し、散会。

 ◇

 来週月曜日は予算委でテレビ入り質疑がある予定。 

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「NISC」の権限を、独法、自治体との連携、日米防衛に広げるサイバーセキュリティ基本法改正案提出へ

2015年08月21日 06時19分42秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

(このエントリー記事の初投稿は21日午前7時で、それからバックデートする予定)

 政府は、内閣サイバーセキュリティーセンター、NISC=ニスクの権限を拡大する、

 サイバーセキュリティ基本法を改正する法律案を提出する方針を固めたようです。衆法として制定した法律ですが、改正法案は閣法となると思われます。

 第190回国会以降、仮に平成27年2015年の秋に召集された場合はその臨時国会に提出する見通し。

 「漏れた年金」「マイナンバー」「ガイドライン」の3つのきっかけを踏まえた法改正のようです。

 とりまとめの文書によると、漏れた年金をきっかけに、日本年金機構などの独立行政法人も、監視(GSOC)の対象になります。

 マイナンバー(社会保障と税の共通番号)制度のスタートを来年に控えて、NISCと自治体の連携強化を打ち出します。

 ことし4月27日の2015年日米防衛協力のための指針いわゆるガイドラインで初めて盛り込まれた「サイバー防衛」を受けて、日米間の連携や、サイバー安全保障の考え方を強化するようです。

 衆参内閣委員会は「IRカジノ施設法案」で連立2与党の自民党と公明党が真っ二つに分裂された状況で、仮にサイバーセキュリティー基本法案が提出された場合は、審議順を先にしようという思惑が、 連立与党内に浮上するのは間違いなく、平成28年2016年1月のマイナンバースタートを前に成立する可能性が高い情勢にあると考えられます。

NISCニスクって何?

[NISCウェブサイトから引用はじめ]

内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)とは

ITの急速な発展と普及に伴い、 ITは生活のあらゆる部分に浸透し、いまや社会基盤として必要不可欠のものとなっています。ITの重要性が増す反面、ITに障害が起きた場合には、国民生活や経済活動へ大きな打撃を与える可能性があります。さらに近年、官公庁や企業からの情報流出が発生しており、サイバーセキュリティの確保が、喫緊の課題となっています。

このような状況において、2014年11月、サイバーセキュリティ基本法が成立しました。同法に基づき、2015年1月、内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」が設置され、同時に、内閣官房に「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC※)」が設置されました。

※NISC:National center of Incident readiness and Strategy for Cybersecurity

[引用おわり]

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