[写真]土砂降りの雨の中、岡田克也外務大臣とともに政見を訴える大野元裕候補、この2日後参議院議員に当選、2010年7月9日(土)午後7時半、埼玉県・川口市、筆者撮影。
【参議院予算委員会 2014年3月5日(火)】
形式は一般質疑という形式ですが、実質的には安倍晋三首相が各会派一順の質疑に応じる基本的質疑最終日の審議となりました。
民主党・新緑風会は大野元裕・元外務政務官(2019年改選、埼玉選挙区)が登場。
ロシア・ウクライナ情勢について、岸田外相に「4月末の経済界を率いての訪露」の計画の変更についてただしました。これに対して岸田外相は現時点で変更の予定はないとしたうえで、「注視する」との答弁をしました。2月7日の日ロ首脳会談を受けた、秋の「プーチン大統領来日」も予定通りだとしました。
大野さんは「アメリカのジョン・F・ケリー国務長官はウクライナの首都キエフで『侵略だ』ときわめて強い警告をしている」と指摘し、NSC国家安全保障会議の動きを聞きました。安倍首相は「前回の4大臣会合でもウクライナを取り上げたし、谷地正太郎NSC局長も情報を集めている」と答弁しました。
ここで、大野さんは「初動を間違えてはいけない。ソチ・パラリンピックの開会式への出席などの対応はどうするのか」と問うと、首相は「わが国としてはソチ・パラリンピックは有意義な大会であり、2020年東京オリンピック・パラリンピックの向けた一連の対応の中で重要なものだ」としたうえで、「国際社会にさまざまな対応があることは承知している」としながら、「オーストリア、ドイツは政府高官が今のところ出席する予定だと聞いている」という情報を披露したうえで、日本政府高官が出席する予定であることを明かしました。
ソチパラリンピック開会式は「東京五輪組織委員会益」、4月末の外相訪露は「経団連益」、秋の露大統領来日は「外務省益」。自民党は国益よりもそれらを優先しているのではないか。安倍首相は前日の参・予算委で「朝8時からの部会で全国の声が集まるのが自民党の強み」と答弁していましたが、自民党の仲間の利益に目を取られて、国家百年の計、北方領土返還の悲願という利益を見誤られないよう、くれぐれも、現時点での政府にはご用心あるべし、と願わずにはいられません。
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我が国の最も近い隣国は、ロシアです。もちろん、根室岬と歯舞諸島・貝殻島の間に国境線は断じてありませんが、ボーダー(翻訳のしかたでは国境)はあります。北海道庁の漁業政策にもボーダーがあります。
ロシアのウラディミール・プーチン大統領は2014年冬季ソチオリンピックとパラリンピックの間に、ウクライナのクリミア半島を実効支配したもようです。クリミアの実効支配で、ロシアは、黒海沿岸の、トルコなど新興国、さらに中近東への海軍のシーレーンを確保・強化しました。
アメリカなどNATO(北大西洋条約機構)各国は反発し、経済制裁、ソチパラリンピック開会式への政府高官の欠席、G8ソチサミット欠席やG8からロシアを排除しG7に戻すといった外交カードを次々切っています。
プーチン大統領にいたっては記者会見でロシア語で、「アメリカが湾岸戦争や対テロ戦争、イラク戦争で、国際法を守ったことがあるのか」という趣旨の発言をしたようです。北方領土を68年間も不法占拠しているロシアが言うことではありません。
ロシアの求めに応じて、国連安保理が開かれましたが、もとよりロシアが拒否権をもつ国連安保理が機能不全になる可能性が高く、NATOの枠組みでの長期的な紛争になりそうです。
豊かな人が増え、貧富の格差が広がり国民のストレスが高まると、必ずロシアは南下していきます。150年前のクリミア戦争で、多くの戦死者(英仏含む)をだし、ロシアが負けたことから、直接の軍事攻撃のリスクは少ないかもしれません。
昨日のテレビ朝日系「報道ステーション」では、ウクライナの首都キエフでウクライナ軍志願兵事務所に並ぶ20名の若者が、日本のテレビ局と知ると、「日露戦争のように、我々は勝つ」という趣旨の頼もしい発言をしたことも報じられました。我々大和民族は、東側でロシア南下を止めましたが、その後、最東端の北方領土を不法占領され、現在にいたります。西側でもロシアの南下を防ぐのは、国際社会共通の利益です。
洋の東西、時の今昔を問わず、国を愛する若者の正義は、抜け駆けを許さぬ国際社会の正義につながります。
ロシアが国際法を守らぬならず者であることを明々白々な国際世論にし、ロシア南下を封じ込めることで、かならず我らの領土、北方領土を取り戻しましょう。
ウクライナの主権・領土侵害=米大統領、軍撤収要求―権益と住民守る・プーチン氏(時事通信) - goo ニュース
【ワシントン時事】オバマ米大統領は1日、ロシアのプーチン大統領と電話でウクライナ情勢を1時間半にわたって協議し、ロシアが軍事介入でウクライナの主権と領土を侵害していると非難した。オバマ大統領はウクライナ南部クリミアの基地へのロシア軍撤収を要求。介入を続ければ、ロシア・ソチで6月に予定される主要国首脳会議(サミット)の準備会合に米国は参加しないと警告した。
オバマ大統領は2月28日の声明で「軍事介入には代償が伴う」と明言していた。それでもプーチン大統領の要請を受けてロシア上院が1日、介入を承認したのを受け、直接、介入をやめるよう強く促した形だ。
ロシア大統領府によれば、プーチン氏はこれに対し、ウクライナのロシア系住民の安全に現実的な脅威があると主張。「キエフの現政権に支持された極端な民族主義者の犯罪行為」を注視し、暴力が広がる事態に備え、ロシアの権益と住民を守る権利があると力説した。
しかし、オバマ氏はロシアが主権・領土侵害を続ければ、政治的、経済的な孤立が深まると警告。ロシア系住民の問題をウクライナ政府との直接対話や国連の国際監視団派遣といった平和的な手段で解決するよう訴えた。