【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「復興博覧会」など提案、公明党ビジョン「人間の復興」高らかに 政府は2次補正で丸飲みすべきだ!

2011年05月27日 05時58分17秒 | その他

[画像]仲むつまじい山口那津男さんと早苗夫人、2010年7月、NHK報道番組から

 公明党は2011年5月26日(木)午前、公明会館で開いた中央幹事会で「東日本大震災復旧復興ビジョン」(公明党ビジョン第1弾)を決定。すみやかに記者会見を開いた公明党代表の山口那津男さんが、「人間の復興」の基本理念を高らかに発表し、幹事長の井上義久さんが同日午後、国会内で内閣官房長官の枝野幸男さんに会い申し入れました。

 27日付公明新聞に全文が載っていますので読みましたが、素晴らしい内容です。野党第1党の自民党執行部&ベテランが内閣不信任案提出をちらつかせるなど抵抗野党となり、国民をうんざりさせていますが、それとは一線を画し、公明党が責任政党であり、被災地からネットワークを通じて吸い上げ、具現化したビジョンです。ぜひ、民主党・菅直人内閣には、第2次補正予算(案)「復興補正」で、すべて丸飲みして欲しいと考えます。公明新聞によると、枝野さんは「精査し、できるだけ政府の復興計画に反映したい」「急いでやりたい」と述べた、と報じています。

 基本的には「人間の復興へ」という理念が強いメッセージとして伝わってきます。これはインフラの復旧・復興は「もちろんのこと」(同ビジョン)とことわったうえで、「日本国憲法第13条の幸福追求権、25条の生存権を念頭に置き、一人一人の人間に焦点をあてた人間の復興」、これを「公明党は復興の基本理念とする」と高らかに宣言しました。

 公明党ビジョンで目を引くのは、「復興博覧会(復興博)を10年間、毎年、政府主催で年1回開催すること」です。「復興をテーマにした都市計画やイベントの開催などを活用し、被災地を復興させる吾新たな産業を育成しながら、被災地の復興プロセスを世界に示すと同時に、被災地への観光の回復を、地域ブランドの向上などを目的とした」ものです。このほかに各国首脳を招いた「復興サミット」も盛り込んでいます。

 「復興博」に大賛成です。毎年1回開くことで、復興のプロセスを明示することができます。また、東日本大震災の風化を防げます、まあ、なかなか日本国内に住んでいたら、「10年経っても風化のしようがない」ーー誤解をおそれずに書けば、「風化させたくても、心の中で風化できない」という「複雑な悩み」。多くの日本人が持っていることでしょう。地元選出で民主党7首脳の1人、安住淳・代議士も「がれきの周りには高齢者しかいない」と戦後の復興よりも、はるかに時間がかかり、スピードも遅いでしょう。しかし、「プロセス」を示し、それを共有することが大事です。13年半前、プロセスを明示せず、新進党解党という結論だけ発表したオッサン(小沢一郎氏)がいましたが、2010年になって、政倫審出席の要請などプロセスを示しながら目に進んだ岡田克也幹事長の下、ついに失脚(無罪確定までの間、党員資格停止)に追い込むことができました。公明党支持者、民主党支持者共通の敵を、しとめました。このようにプロセスを明示する。それが政治です。

 このほか、4月17日放送のNHK日曜討論で、井上さんが視聴者や岡田幹事長に提案した「復興債(仮称)を適切な規模で発行し、他の国債とは別勘定で管理のうえ、償還については次世代への負担の先送りとならないように道筋を明らかにすること」を提案。竹内譲さんが、衆院財務金融委員会で話している「レベニュー債」もキッチリ盛り込みました。

 そしてさきほどの憲法25条の生存権に戻りますが、医療分野だけでなく、「被災地への介護分野の災害派遣チームとしての介護版DMAT(DCAT=仮称)の創設」および「災害救助法の救助の種類の中に介護を含めること」・・・

 さらには、「被災者が安心して医療を受けられるよう、仮設診療所(歯科も含む)の設置を推進すること」
 「ペットとふれあうことにより避難者の“心の癒し”や精神的な支えになることから、仮設住宅、避難所、学校などでのアニマルセラピーを推進すること」
 「例えば、埼玉県久喜市など液状化被害による大規模半壊世帯が複数存在する自治体を災害救助法施行令と、被災者生活債権支援法の対象になるよう改正すること」
 「震災による“便乗リストラ”を防止すること」
 
などなど。これは公明党でないとけっして出てこない珠玉の言葉の数々。民主党政策調査会では、ゼッタイにムリです。

 などなど・・・さまざまな政策要望がネットワークから吸い上がってきています。これは、「3・11」以降、公明党の国会・地方議員「チーム3000」が活動しているからではなく、「3・11」以前から、チーム3000が、地域で、議会で、日常活動で「大勝利」を続けてきたことが分かります。おこがましいですが、こういう文書を20年来、読み続けてきた私に言わせれば、ひごろのふるまいがハッキリ行間から透けて見えてきます。統一地方選後半戦の全勝は当然です。

 公明党ビジョン第1弾の具体的な予算総額は明示されていないようです。が、自民党や小沢グループのように「インフラの復興」ではなく、「人間の復興」が中心です。10兆~20兆円とされる第2次補正予算(案)復興補正のなかで、丸飲みしても、十分に対応が可能なように思えます。ぜひ、首相の菅さん、官房長官の枝野さん、財務相の野田佳彦さんは、公明党ビジョンを丸飲みしたらどうでしょうか。そして、少しでも漏れや疑問点があれば、山口さんがケータイで岡田さんにどんどん質問したり、叱ったり、井上さんが野田さんに進捗状況を聞いたりして欲しいと思います。みんな新進党の仲間なんですから。


[写真]元新進党衆議院議員の石田祝稔さん、井上義久さん、岡田克也さん、竹内譲さん、野田佳彦さん、山口那津男さん=左から苗字の50音順。

 それにしても、内閣不信任案がどうしたとか、小沢グループや、マスコミっていったい何なんですかね。「What So?(ホワットソー=だからどうした?)」という感じです。国賊です。あるいは仏敵とでも言うんでしょうかね。

 ところで、公明党の元厚労・農水副大臣の石田祝稔さんはこのほど、政府の細野豪志総理補佐官に対して、東京電力から被害者への「補償」という言葉の使い方はおかしい、として、法律上の責任を明確化した「賠償」という言葉で統一するよう要請。細野補佐官は「賠償」で統一する、と指摘を受け止めた、と報じられています。

 先日、八重洲ブックセンターに行ったら、「店員が選んだ苦難を乗り越える書」のコーナーがありました。

 その中に、少年期に読んだジュール・ベルヌの「十五少年漂流記」がありました。SF小説で大ベストセラー作家として人生の成功者となったベルヌは、老境に入り、SFとは無縁のこの冒険小説をしたため、その最後にこう記しました。「もちろん、今後、いかなる小中学生も、このような夏休みを送ることはあり得ない。だが、少年たちが、なんであれ、困難に直面した時には、勤勉、勇気、思慮、熱心の4つがあれば、必ずそれに打ち勝つことができるということだ」(新潮文庫、波多野完治翻訳)。

 いかなる日本国民も、あのような無駄休み(新進党解党)を見ることはあり得ない。あってはいけません。しかし、民公共通の敵、あるいは仏敵(?)とも言うんでしょうか、小沢一郎の息の根を止め、内閣不信任成立の可能性を排除できた現在も、私たちは「困難」に直面しています。しかし必ずそれに打ち勝つことができます。八重洲ブックセンターのコーナーには他に、新田次郎の『劔岳-点の記』もありました。これは、映画『小説吉田学校』の撮影監督などを務めた日本を代表するカメラマンの木村大作さんが初めて監督を務めた映画の原作です。映画好きの岡田さんは、野党時代に知人からこの映画を「ぜひ見た方がいい。池田大作先生も絶賛している」と聞いて、さっそく見て「公に奉じる、ということこういうことなんだな」と強い印象を持ったそうです。私は映画を見たのが遅くて、「ああ、この映画は政権交代の前に見ておかねばならなかったな」と“準備不足”を恥じました。

 勤勉、勇気、思慮、熱心ーーたとえ、戦後のミラクルを再現できなくても、ゆっくりでも、きっちりとていねいに、東北再生を1つずつ前に進めていきましょう。日本を復興できる責任政党は、民主党そして公明党です。日本を前に進めましょう。