写真は全国知事会会長の麻生福岡県知事らと会談する民主党の小沢代表
(このエントリーはMSN産経ニュースと民主党ニュースを基にまとめました)
【全国知事会が地方分権で民主党代表に要請し、意見交換で意気投合】
民主党の小沢一郎代表は3日、全国知事会会長の麻生渡福岡県知事らと会いました。
自治体の首長と議長は地方六団体と呼ばれる組織に必ず入っています。
6団体=全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会です。ちなみに「町」と「村」は人口1万人をめどに別れており、地方自治法の権限の違いは全くありません。
六団体は統一した行動で国政府に対して政策提言・予算要望をしていて、大変発言力の強い団体です。
佐賀県知事の古川康さんは小沢代表に「民主党とは地方分権社会への理解は一致している」と述べたうえで、代表選を通じて民主党政権での地方分権の行程表を示してほしいと注文しました。小沢代さんが「それなら選挙で民主党を応援してくれなくちゃな」と応じると知事らは苦笑したそうです。
古川さんは、2期目ながら50歳。自治省の官僚時代に“県庁の財務大臣”にあたる長崎県総務部長に出向した経験もあり、地方自治のオピニオン・リーダーの一人です。
【民主党内での地方分権をめぐる2つの考え方】
民主党分権調査会が地方分権に関する最終報告をまとめています。昨年5月に「中間報告」を出しています。
分権調査会会長の玄葉光一郎さんは福島県議、副会長の福田昭夫さんは栃木県知事、事務局長の逢坂誠二さんはニセコ町長を経験した実務派揃いです。
現在1800ある基礎自治体(市区町村)を300に集約し、足腰の強い基礎自治体をつくろうという意見はほぼ全議員が共有しています。
「300」という数字は、衆院の小選挙区の数と同じです。江戸時代の「藩」の数とも同じです。これは偶然の一致ではありません。細川内閣が小選挙区導入の改正公選法を通した時から、地方分権を見すえて「300」にしたのです。嘘だと思ったら、小沢一郎著『日本改造計画』(講談社)にも書いてありますから、ご確認いただきたい。280年間の平和で安定した江戸幕藩体制(パックス・ジャポニカ)を参考にしたのが、「300」です。
民主党内に2つの議論があるのは、現在の都道府県=広域自治体(中間組織)の存在についてです。
小沢さんは国-基礎自治体の「2層制」をずーっと主張しています。
一方、岡田克也さんらは、国-中間組織-基礎自治体の「3層制」は現状通り、維持すべきだと主張しています。
私は「2層制」はいくら何でも無理だと思います。基礎自治体には、人口、面積をはじめとして様々な事情がありますから、それをならしていく上で、広域自治体は必要です。地方公務員批判というのは古今東西ありますが、できる県庁マンは「自分の仕事を少なくできる」人だと思います。国から降ってくる仕事(=ひも付き補助金)を最低限に絞る。そして基礎自治体ができる仕事は基礎自治体におろす。
広域自治体は、国と基礎自治体の間に立って、情報を集め、基礎自治体の相談に乗る。今の県庁もいわば「情報集約・相談センター」の役割が中心です。
中間組織に関しては、自民党は道州制をにらんでいますが、それはブロックごとの中央集権につながるのではないかと私は危惧しています。
【ひも付き補助金→地方一括交付金の行程表を示せ】
で、大事なの財源(税源)です。
まず、ひも付き補助金は全廃すべし。これはできます。自治体の財布に直接入る税源を増やし、国は「地方一括交付金制度」で自治体の財源をしっかり保証・手当てします。
小沢さんはインタビューで「政権交代したら、2年ぐらいでやる」といつもながらアバウトな発言をしています。この発言は「約2年で地方一括交付金を法制化する」という意味だと私は解釈しています。
「ひも付き補助金」は霞が関最大の権力源です。「官官接待」もこの制度が起こした事件です。天下り、官製談合、ムダなハコ物も一掃できる突破口となります。
自治体の財政破たんも避けられます。なぜなら「ひも付き補助金」は国が100%お金を自治体に渡すのでなく、例えば「3分の1」は自治体の財布から出すからです。国道も「国道246号」など「3桁ナンバー」は県が管理させられています。いろいろなインチキがはびこっています。
自治体の足腰が強くなれば、国政府がだらしないときに自治体はバックアップ政府になります。ワシントンのポトマック川の桜。これは日露戦争の戦後処理を米大統領が仲介してくれたお礼ですが、この桜は東京市(尾崎行雄市長)が寄贈したんです。国政府は外国からの借金でヒーヒーしていて、とても桜を贈る余裕などなかったのです。
第45回総選挙の二大政党のマニフェスト対決では、地方分権にも注目してほしいと思います。
おかげさまでベスト10を維持しています。
「政権交代=二大政党制」で「今日よりも良い明日へ!」と思う方は・・・
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民主・小沢代表「分権したいなら選挙応援を」 知事会に迫る(MSN産経)
2008.9.3 19:42
「それなら選挙で民主党を応援してくれなくちゃな」。民主党の小沢一郎代表は3日、全国知事会の麻生渡会長(福岡県知事)らから地方分権推進の要請を受けて意気投合し、分権実現のために衆院選での支援を呼びかけた。
小沢氏は、麻生会長らに対して、「民主党の政策は(知事会の要望より)進んでいる。今の制度をぶっ壊す。国家的な機能以外の権限は、地方に渡すから好きなようにしなさい」と強調。さらに、知事会側が地方消費税の存続など自主財源の確保を求めたことについても「それは今の税制が前提の話だろう。僕らは現在の税制や制度を変えたうえでやるから心配ない」と大幅な財源委譲を語り、麻生会長らを大喜びさせた。
小沢氏はすかさず、政策実現のため選挙で支援するよう求めたが、知事会側は笑うばかりで明言は避けていた。
小沢代表 全国知事会から地方分権求める要望書を受ける(民主党ニュース)
小沢一郎代表は2日午後、党本部にて全国知事会会長の麻生福岡県知事らと面談。地方分権社会の実現に向けての基本的な考えを一致させた。
麻生氏ら全国知事会のメンバーは、代表選挙を前に地方分権のあり方をめぐり要望書を提出。地方分権により(1)国民の自立精神を育て、気骨のある人間を生み出すこと(2)中央官庁は国のあり方、国家戦略を明確にすること――の実現が可能であるとして、その推進に向けて理解を求めた。
古川佐賀県知事は、マニフェストにも明記されているように「民主党とは地方分権社会への理解は一致している」と述べたうえで、代表選挙を通じてその実現に向けて時間軸、プロセスなどを明確に示してほしいと要請。民主党の税制改革大綱において、年金財源など地方消費税の考え方が違うとの指摘に対しては、小沢代表は「違わない」と反論。中央集権の統治機構を前提とする自民党とは異なり、民主党は現在の税制を前提にしたものではないと主張した。旧来の統治機構を壊さなければ新しいものを構築できないとして、地域の問題は地域の判断に委ねるシステムの構築を目指すと明言。国と地方で役割分担し、現在のような補助金システムではなく、本当に地域の人々が必要なことに財源が使えるシステムを構築するとの認識で一致した。