憂いあらん人は・・・：ヤブカンゾウ

ヤブカンゾウ（古名：ワスレグサ）は、梅雨明けの頃に一際目立つ橙赤色の八重咲きの花をつけるユリ科ワスレグサ属の多年草で、中国原産の帰化植物で食用や薬用として栽培されていたものが野生化したと言われています。近縁種のノカンゾウとは一重咲きで区別できます。



ヤブカンゾウは雌しべや雄しべが花びら化して八重咲きになったため種は出来ず、根茎で増えていくそうです。このため人里近くにしかないようです。
学名Hemerocallis・ヘメロカリスはHemero（一日）＋callis（美）で一日だけの美しさ、英名のday-lilyは「一日だけのユリ＝わすれ草」と言うことで、１日で咲き終えてしまうので付けられたそうです。



そして古名のワスレグサは「萱草」と書いて「わすれぐさ」と読ませ万葉集の相聞歌などで詠まれています。また「今昔物語」には「憂いあらん人は萱草（わすれぐさ）を植えて常に見るべし」とあって、憂いを忘れさせる力があるとされているからだと言われています。（私も忘れたいことはいっぱいあるのにこの花を見ても忘れられない！・・・それでいながら大切なことは忘れてしまう・・・単に年かな！）
山菜としては春先に伸びた若芽をおひたしで食べたり、蕾を酢の物や天ぷらで食べたりします。薬草としては利尿やむくみ、不眠症や風邪に効くとされています。


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