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王毅外相訪米!日本政府の安全保障政策は破綻した -島嶼防衛などという無駄、無理、無能な戦術-

2023-10-25 | 小日向白朗学会 情報
 2023年10月24日、NHKは『中国 王毅外相が訪米へ 米中首脳会談に向け調整か 米国務省』とする日本の防衛政策に大きな影響を及ぼす記事を配信した。
『……
アメリカ国務省は、中国の王毅外相が今週26日から首都ワシントンを訪問し、ブリンケン国務長官と会談すると発表しました。
  来月のAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせた米中首脳会談の実現に向けた調整も行われるものとみられます。
アメリカ国務省は23日、中国の王毅外相が今週26日から28日にかけて、首都ワシントンを訪問し、ブリンケン国務長官と会談すると発表しました。
 また、アメリカ政府高官によりますと、期間中、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官とも会談することにしているということです。
会談では、中国が海洋進出を強める南シナ海や東シナ海、台湾について議論するほか、緊迫するイスラエル・パレスチナ情勢やロシアによるウクライナ侵攻、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮をめぐる問題についても議題にするとしています。
政府高官は今回の訪問について「中国との競争を責任あるかたちで管理するために対話のチャンネルを維持する努力の一環だ」としています。
 また今回の訪問では、バイデン大統領と習近平国家主席の首脳会談の調整も行われるものとみられ、来月中旬にサンフランシスコで開催されるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせて、会談が実現するかが焦点となります。
……』
 いよいよ、日本政府が昨年来、強引に開始している安全保障政策が破綻に至ったということが白日の下にさらされることになった。その要点としては、バイデン政権が「一つの中国政策」に回帰したことから台湾有事問題にアメリカ軍は介入しないことになったことが指摘できる。これは、2023年7月18日、『一つの中国政策」の立案者キッシンジャーが中国を訪問し、李尚福国防相と会談して「米中は誤解をなくし、平和的に共存し、対立を避けるべきだ。米国も中国も、相手を敵対視する余裕はないことは、歴史と実践が絶えず証明してきた」と述べたことの延長上にある[ii]。よって、日本政府が立案した「台湾有事とともに中国軍が尖閣列島など島嶼部に侵攻に対してアメリカ軍支援のもとで防衛する」という、いわゆる島嶼防衛という作戦は、成り立たないのだ。
これに付いてはこの件に関しては既に次のスレッドで詳しく書いてきた。
 ところでNHK配信記事にもう一つ注目すべき点がある。それは、王毅外相とサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)との会談が予定されていることだ。サリバンと云えば、2022年08月02 日にペロシ下院議長に台湾を訪問したことから台湾有事を扇動した張本人である。その時期、サリバンが台湾有事について如何なる政策を実施しようとしていたのかを示す記事がある。
それが、2022年9月8日、BLOOMBERG「中国の台湾侵攻、なお「明白な脅威」-サリバン米大統領補佐官」である。
『……
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は台湾に関するバイデン政権のスタンスは変わっていないと述べる一方で、中国による台湾侵攻がなお「明白な脅威」との認識を示した。中国は米政権に「一つの中国」政策を守るよう求めている。
サリバン氏はカーライル・グループの共同創業者デービッド・ルーベンスタイン氏がホスト役を務めるブルームバーグテレビジョンの番組「ザ・デービッド・ルーベンスタイン・ショー:ピアツーピア・カンバセーションズ」のインタビューで、「台湾を巡る軍の有事が起こり得るということが引き続き明白な脅威だと思う」と述べた。
  同氏は台湾侵攻が起こり得る時期については言及しなかったものの、「中国は公式方針として、台湾侵略を選択肢から外さないと表明している」と指摘した。
  サリバン氏はまた、米国の台湾政策を変更することになる台湾政策法案について協議するため、7日中に議会指導部と会う予定だと述べた。同法案は超党派で広い支持を得ており、台湾の事実上の「同盟国」指定や45億ドル(約6500億円)の安全保障援助、国際機関加盟の支援などが盛り込まれている。
……』
 バイデン大統領、ブリンケン国務長官、サリバン大統領補佐官、ヌーランド国務副長官代行は、2022年にウクライナがロシアと和平交渉に付くことを禁じて長期化させてきた張本人たちである。その張本人であるサリバンが、王毅外相と会談を行うというのだ。もし、サリバンが王毅外相との会談で「中国による台湾侵攻」について懸念を伝えたならば、会談は決裂するとともにアメリカ国務省が望む「サンフランシスコで開催されるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議」でのバイデン大統領と習近平総書記との会談は水泡に帰すことになる。したがって、ブリンケン及びサリバンが王毅外相と会談を行うにあたって共通の基盤は「一つの中国」政策に同意しているということなのだ。
 ところが日本政府は「防衛三文書」で日本の仮想敵国を中国、北朝鮮、ロシアとしてしまった。そして仮想敵国が尖閣列島などの島嶼部に侵攻してきた場合に、アメリカ軍と共に防衛戦を実施すると公言して莫大な予算を獲得することに成功してしまった。
 日本はアメリカに自衛隊指揮権、航空管制権、電波権を売飛ばしてしまった国家主権の無い国である。なので、日本独自の国家安全保障政策はあり得ない。そのような背景からみれば、アメリカの対中政策が僅か一年の間に180度異なることなどはある意味当たり前なのだ。その結果、日本は、中国にこぶしを振り上げたものの、アメリカが安全保障政策を変更したことで、振り上げたこぶしはそのままで、無様な醜態をされることになってしまったのだ。具体的には、日本政府が言うところの島嶼防衛と称する愚かな作戦は、旧日本軍が太平洋戦争中におこなった島嶼防衛とい大失敗の反省もないまま、新たな玉砕の島を築こうとしているだけなのだ。
 日本はこのまま無様な姿で立ち続けるのであろうかと考えると憂鬱になる。ところで、無能な政権とだらしない野党に見切りをつけてか、独自の動きが活発化してきた。
2023年10月24日、NHK『日中、平和条約発効から45年 関係改善模索も残る懸案』に一中の動きが活発化するきっかけとなる行事を報告している。
『……
日中平和友好条約が発効してから45年となった23日、北京で福田元総理大臣や中国の王毅外相らが出席して、記念式典が開かれました
中国の首都、北京にある釣魚台迎賓館で23日に開かれた式典には、日中両国の関係者およそ200人が出席しました。
この中であいさつした王毅外相は、現在の日中関係について「習近平国家主席は両国関係の重要性は今もこれからも変わらないと指摘した。安定的で互恵的な両国関係は世界にも重要な影響力がある」と述べました
 一方で、台湾情勢や歴史問題については「両国関係の政治的基盤と基本的な信義にかかわる」などと述べて、日本側をけん制しました。
 日本側を代表してあいさつした福田康夫・元総理大臣は、45年前、父親の福田赳夫・元総理大臣が平和友好条約を締結した際、自身も立ち会ったことを振り返り「さらに条約の質を高めていくという努力をしなければいけない。それがわれわれの責務だ」と述べました。
  また北京に駐在する垂秀夫大使は、東京電力福島第一原発の処理水放出を受けた日本産水産物の輸入停止措置などの中国側の対応について「もっとも重要なよりどころは科学と理性である」と日本側の立場を示したうえで、日中関係を再構築するには戦略的な思考が重要だと強調しました。
……』
 この記事の重要な点は、日中平和友好条約締結45周年記念行事を紹介していることではない。そもそも日中が平和友好条約を締結したのは、両国が一致して「一つの中国」を確認したからであった。ところが、日本政府は、昨年来、日本の仮想敵国を中国としたうえに、台湾有事に日本も介入することを公言してしまった。その結果、日本と中国は、平和条約締結後、最悪の関係となってしまった。この点に関して、今月訪米する王毅外相が「安定的で互恵的な両国関係は世界にも重要な影響力がある」と述べていることは、日本が中国を敵国とする関係にあることを解消しようというメッセージなのだ。
 今やアメリカは、人権もイデオロギーもかなぐり捨てて、中国との関係改善に邁進しているが、台湾周辺及び尖閣諸島で散々に危機感を煽ってきたことから現地軍が偶発的な衝突を起すことを警戒するようになった。その様子は、2023年10月25日、日本経済新聞に『米国、中国の次期国防相と対話に意欲 偶発的衝突を懸念』とする記事で確認することができる。
『……
【ワシントン=中村亮】米国防総省のライダー報道官は24日の記者会見で「米国と中国の高官が対話を続け、軍を含むことが極めて重要だ」と述べた。中国の李尚福国務委員兼国防相の解任を受け、後任との国防トップ対話を目指す。
中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は24日、李氏の解任を決めた。中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。全人代常務委は後任を発表していない。李氏は3月に国防相へ選出されていた。
ライダー氏は記者会見で「潜在的な誤解を防ぐために開かれた対話ルートを確保する機会を引き続き探っていく」と言及した。米国は台湾や南シナ海を念頭に偶発的な衝突を避けるため軍同士の対話が必要だと訴えてきた。
米国には李氏の解任が国防トップ対話に向けて追い風になるとの見方がある。中国は李氏が米国の制裁対象となっていることを理由にトップ対話を拒否してきたからだ。
 米中関係をめぐってはブリンケン国務長官やイエレン財務長官、レモンド商務長官が中国との閣僚対話を再開させたが、オースティン国防長官と李氏の会談は見送りになってきた。
11月中旬にインドネシアで拡大東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相会議が予定されている。米中の国防トップが参加すれば、会談する可能性がある。国防トップの会談は2022年11月以来、実現していない。
ブリンケン氏やサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は今週、首都ワシントンで中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相と会談する。米政府高官は国防対話がテーマの一つになると説明している。
バイデン政権は、中国との偶発的な軍事衝突を懸念している。国防総省は10月中旬、中国軍機が米国や同盟国の航空機に対して危険な飛行を繰り返していると非難した。2年間で300件近くの事例があると指摘していた。
……』
 ずばり、アメリカ軍の本音は「台湾や南シナ海を念頭に偶発的な衝突を避ける」ための処置なのである。

 この大失策について、自由民主党と日本外務省は、日本国民にどのように説明する心算なのか。
そして莫大な防衛予算で潤う予定であった経団連は責任の所在を明らかにせよ!
消費税による還付金と云う悪巧みは既に多くの国民の知るところとなっている!
以上(寄稿:近藤雄三)
(NHK配信記事より引用)
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