これはご存知の弓の竹の先端の穴です。
このように、竹の穴に250本以上の毛を通します。
以前は私もこのように、二つに分けて、結ぶようにしていました。
竹の穴から毛が抜けないようにという事もありますが、
いっぺんに全部の毛をこの直径4ミリの穴に入れることができなかったので二つに分けて入れていたのです。
この方法だとどうしても毛が弓の先端で分かれてしまうのと、
弓を張った時に、微妙に全部が一定の張力になりにくかったのです。
昔のように弓毛を緩めて演奏する人というのが少なくなり、
毛を割とぴんと張って演奏する人も出てきています。
そうなるおtやはりヴァイオリンの弓の毛のようにピンと張って一束になってほしいですよね。
そこで、技術です。
この細い穴にどうやったらこのようにきれいに、毛を通すことができるのか。
そして結び目がないですから、どうやって竹の穴から抜けなくなるのか、
よくテグスでこの部分は竹に巻いていますが、どうしてもいずれ抜けてきてしまいます。
テグスは伸びますから。
そこで致し方なく、先端の毛は二つに結ぶのでしょうか。
それでも十分役割は果たすとは思います。
たったこんな小さなた馬毛を通すだけでも、かなりの知識はいります。
器用な人なら、時間をかけて、何本かずつバラバラ、竹の穴に通すのですが。
二胡の弓の毛は長いです。
通常ヴァイオリンの弓の毛は、80センチもあれば十分足りますが。
二胡の弓は、手元のところで折り返していることもあり、頭を結ぶこともあり、90センチは欲しいのです。
ところが90センチの毛は馬一頭から、数十本きり取れないらしいです。
おかげで随分高額なものになります。(泣く)
技術の知識というのは知ってみると、なんだ!と思うくらい簡単なものが多いです。
江戸指物などで、細かな鋸を使うときなど、どうやってこんなにまっすぐに挽けるのか、
どうやってこんなにきちんと角度を付けられるのか。
それは簡単なのです、ガイドを置いてそれに合わせればよいのです。
中にはそんなことをしなくてもできる人はいますが、
広重の絵などを見ていて、雨の図がたくさんありますね。
筆などほとんど持たない私などにはできもしないのですが、
あのまっすぐな線を筆で描くときには、やはりガイドを使ったようです。
以前右手をまっすぐに動かすには、私はガイドを(例えばテーブル)使えば練習になりますよ
と書きました、でも実際の演奏の時に、そんなガイドを置いているわけにはいきませんね。
やはり手に慣れさせるしかないのです。
これは、本当の意味で技術だといえるでしょう。
たった4ミリの穴に馬毛を、250本入れるのも、技術なのです。
まあ、二胡を弾く右手と同じで慣れれば、そして知識を使えば、
一時間もあればできるでしょう。
え!!!一時間もかかるの??
そうです、このばらばらの毛を、きれいに先端をそろえてみてください。
一時間でできれば早いほうだと思います。
その間に、毛の質も整えるからです。
ほぉさんはえらいです。
そこから、揃えてもらってから、私は、10秒もあれば、この250本の毛を穴に通すことができます。
10秒で??そうこれは技術知識です。皆さんも知ってみればおなじようにできます。
でもこれは、ほぉさんの一時間のおかげなのです。
何しろ彼女はその間に悪い毛は省き、質の良いものだけを、先端を揃えていくからです。
これは技術というより根気です。
皆さんが二胡の弓をまっすぐ弾けるようになるのも根気ですし、
しかし良い音に鳴れと思って弾くと、それは根気ではなく楽しみになるのです。